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スタバとブルーボトルを使い分ける「ポリガマスロイヤルティ」とは?ブランドは“囲い込み”から“共存”へシフト

スタバとブルーボトルを使い分ける「ポリガマスロイヤルティ」とは?ブランドは“囲い込み”から“共存”へシフト

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新規事業やオープンイノベーションのプレイヤー、そしてそれらを実践・検討する企業の経営者は、常に最新トレンドをキャッチしておかなければなりません。そんなビジネスパーソンが知っておきたいトレンドキーワードをサクッと理解できる連載が「5分で知るビジネストレンド」です。キーワードを「雑学」としてではなく、今日から使える「知識」としてお届けしていきます。

今回のテーマは 「ポリガマスロイヤルティ」 です。単一ブランドへの忠誠ではなく、気分やシーンに応じて複数のブランドを使い分ける新しい消費行動が広がっています。本記事では、その背景や事例、企業がポリガマスロイヤルティを使いこなすためのヒントを解説します。

ポリガマスロイヤルティとは複数のブランドを使い分ける消費行動

「ポリガマスロイヤルティ(Polygamous Loyalty)」とは、消費者が単一のブランドに強く忠誠心を持つのではなく、複数のブランドを状況や気分によって使い分ける行動を指すマーケティング概念です。「ブランドロイヤルティ=単一ブランドへの固定的愛着」という従来の前提が崩れつつあるなかで、近年マーケティング研究において注目度が高まっています。

たとえばコーヒーでいえば、

・日常使いはコンビニコーヒー

・打ち合わせや作業はスターバックス

・自分へのご褒美はブルーボトル

というように、同じカテゴリーでも“役割の違うブランド”を自然に併用する行動が典型です。ブランドスイッチ(乗り換え)とは異なり、ポリガマスロイヤルティは「複数のブランドすべてに一定のロイヤルティを持ち併存する」点が特徴です。とくに、Z世代を中心に「そのとき最も自分に合うものを選ぶ」という価値観が定着し、それが消費全体の構造を変えつつあります。

いまポリガマスロイヤルティが注目される背景

いまポリガマスロイヤルティが注目される背景には、生活者の価値観と選択肢の多様化があります。

・SNS・レビュー文化が「固定ファン」を生みにくくした

SNSやレビューサイトの普及によって、ブランドの価値は企業が語るストーリーよりも、「他者の評価」や「実体験の共有」により決まりやすくなりました。その結果、「昔からこのブランド一択」というロイヤルティよりも、その時々で最も評判のいいもの、話題のものを試す行動が自然になっています。

・サブスク・D2Cの増加で「試しやすさ」が向上

コスメ、食品、アパレル、スキンケアなど、多くの領域でD2Cブランドやサブスクリプションが増加し、消費者はこれまで以上に低コストで複数のブランドを試せるようになりました。また、商品単価の下落や小容量展開も増え、「失敗しても痛くない」設計が普及したことも要因です。

・Z世代の価値観シフト

Z世代は、「常に最適解を選び続けたい」という“合理的な感性”と、「推しを複数持つ」ような“多元的な好み”を同時に持ち合わせています。ブランドを「使い分けること自体が自然」であり、むしろ「一途である必要がない」という感覚が主流になりつつあります。

ポリガマスロイヤルティをビジネスに取り込むための3つの示唆

いま、ブランドは「囲い込み」を前提とした戦略からの転換を迫られています。消費者のポリガマスロイヤルティをしっかりと見極めて、ビジネスに反映するためのヒントをいくつか紹介します。

・「独占」より「共存」を前提にする

自社ブランドがすべてのシーンを占有することは現実的ではありません。むしろ、他ブランドとの共存を前提に、「どのシーンで選ばれるブランドになるか」を明確にすることが重要です。

・シーン別・文脈別の訴求が重要

同じカテゴリでも、「朝の時短」「ご褒美」「仕事中」などシーンによって求められる価値はまったく異なります。「◯◯なときはこのブランド」という「文脈で選ばれる理由」を作り込むことが鍵になります。

・顧客データ分析とパーソナライズが再評価される

ブランド横断で顧客の利用傾向を分析すれば、自社の立ち位置や「奪えるシーン」が鮮明になります。また、顧客ごとの嗜好を踏まえたレコメンデーションや、がっちり囲い込まない“緩やかな関係性づくり”も効果的です。

ポリガマスロイヤルティによって受け入れられている企業事例

【海外】コーヒーカテゴリーで進む“文脈別の使い分け”

アメリカの都市部では、スターバックスで日常的に作業し、特別な時間にはブルーボトルや個人が経営するロースターに行くといった行動が一般化しています。このようにコーヒーカテゴリー内でも「高頻度利用(利便性)」「ご褒美」「コミュニケーションの場」など、シーンごとにブランドの役割が明確に分かれています。

【国内】アパレルECの併用(ZOZO / SHEIN / ブランド公式)

日本の若年層では、

・トレンドを広くチェックするのはSHEIN

・着用イメージの安心感はZOZO

・こだわりの一着はブランド公式サイト

というように、価格帯・用途・安心感でブランドを使い分ける行動が当たり前になっています。

ポリガマスロイヤルティ拡大による市場の変化と企業がとるべきアクション

ポリガマスロイヤルティの広がりにより、企業はブランド戦略の見直しを迫られています。

まず、ロイヤルティ=占有率という考え方が変わります。これからは、“シェア・オブ・シチュエーション(特定シーンで選ばれる確率)”が競争軸になります。そのため、ブランド間の境界線は曖昧になり、異業種同士のコラボや、ブランド横断のおすすめ提案(AIレコメンド)などが増えるでしょう。

こうした変化を踏まえると、企業がとるべきアクションは次のようなものが考えられます。

・カスタマージャーニーを「シーン軸」で再構築すること

・顧客が複数ブランドを併用する前提で、自社ブランドの“役割”を定義し直すこと

・囲い込むよりも、軽くつながり続ける仕組み(ポイント、アプリ、コミュニティなど)を設計すること

ブランドは「一途に愛される存在」から、「必要な場面で必ず選ばれる存在」へと進化していく必要があるのです。「どこで買うか」よりも、「その商品を買う最適なチャネルはどこか」が重視されている点がポイントです。

編集後記

“ブランドへの一途さ”は、もはや現代の消費者には必須条件ではありません。むしろ、複数のブランドを自由に行き来しながら、自分に最適な選択肢を見つけていくのが当たり前の行動となりつつあります。企業に求められるのは、顧客がどんな時に自社ブランドを選ぶのか、その“瞬間”の価値を徹底的に磨くことです。ポリガマスロイヤルティは「顧客を奪い合う発想」ではなく、「適切なシーンを勝ち取る発想」へ転換するためのヒントを与えてくれます。

(TOMORUBA編集部 久野太一)

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  • 眞田幸剛

    眞田幸剛

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