1. Tomorubaトップ
  2. ニュース
  3. Play to Earn(P2E)はなぜ注目を集めているのか?ビジネストレンドとしての基礎知識
Play to Earn(P2E)はなぜ注目を集めているのか?ビジネストレンドとしての基礎知識

Play to Earn(P2E)はなぜ注目を集めているのか?ビジネストレンドとしての基礎知識

  • 8318
  • 8106
  • 8104
9人がチェック!

新規事業やオープンイノベーションのプレイヤーやそれらを実践・検討する企業の経営者はTOMORUBAの主な読者層ですが、こうした人々は常に最新トレンドをキャッチしておかなければなりません。そんなビジネスパーソンが知っておきたいトレンドキーワードをサクッと理解できる連載が「5分で知るビジネストレンド」です。キーワードを「雑学」としてではなく、今日から使える「知識」としてお届けしていきます。

今回は新しいゲームの形として黎明期を迎えている「Play to Earn(P2E)」について紹介します。結論から言えば、現状ではP2Eはまだ投機性が高く既存のスマホゲームやコンシューマーゲームのように浸透するまでには達していません。

本記事ではP2Eへの参入を促すのではなく、なぜ・どのようにビジネストレンドとして注目されているか、客観的なポイントを抑えて解説していきます。

Play to Earn(P2E)とは、遊ぶことで報酬を得るアプリケーション

P2Eはゲームを遊ぶことで暗号通貨の報酬を得ることができます。Play to Earn以外にもNFTゲームやブロックチェーンゲーム(BCG)と呼ばれることもあります。

ゲーム内のキャラクターやアイテムなどはNFTとなっています。NFTはNon-Fungible Tokenの略で、日本語では「非代替性トークン」や「代替不可能なトークン」と表現されます。この技術をゲームに応用することで、ゲームのキャラクターやアイテムは唯一無二であることが担保され、データは改ざん不可能であり、所有証明をすることができます。

つまり、ゲーム内ではブロックチェーンで管理された資産が流通し、資産は法定通貨にも換金可能であることがP2Eの最大の特徴と言えます。

参照記事:なぜ価格が高騰し話題となったのか?5分でわかる「NFT」

Play to Earn(P2E)アプリケーションで流通する暗号資産の時価総額は9000億円相当

一般的に暗号資産はブロックチェーンに記された情報から、どのように流通しているか可視化されています。そのため、P2Eアプリケーションで流通している通貨の総量を合算すればP2Eの規模感が見えてきます。

暗号通貨の取引量、流通量の推移などのデータをまとめているサイトCoinMarketCapによると、2022年9月時点でP2Eアプリケーションに使われている暗号通貨の時価総額は日本円で約9000億円相当で、1日あたりの取引高は約1000億円となっています。


出典:時価総額別上位Play To Earnトークン | CoinMarketCap

これらは通常の市場規模の算出方法とは異なりますし、暗号通貨の価格はボラティリティが大きく総額のアップダウンも激しいのであくまでも参考程度の数字にはなりますが、それなりの規模にまで成長していることはわかります。

Play to Earn(P2E)の基本的なゲームシステム

P2Eはどのようにして報酬を獲得できるのか、基本的なゲームシステムについて解説しておきます。多くのP2Eゲームがありますが、基本的に報酬を得る方法は3つあります。

1.ゲームを遊んで報酬を獲得する

2.NFTを販売する

3.NFTのオーナーとして貸し出す

まず、P2Eゲームも通常のスマホゲームのようにゲームを遊ぶことで報酬を得ることができますが、この報酬が暗号通貨となります。オンラインでの対戦や指定されたクエストをクリアするなど、一定の条件をクリアすると暗号通貨が得られます。

多くのP2Eゲームは、ゲームを遊ぶために必要なキャラクターやアイテムを購入するためにNFTを購入する必要があります。つまり、P2Eゲームを遊ぶには初期投資が必要になります。高額なNFTであるほど、ゲーム内で獲得できる報酬も上がります。

そして所有しているNFTは第三者に販売することもできます。NFTの価格はユーザーが決めるため流動的で、価格の上下は大きくなることもあります。

P2Eゲームを遊ぶためにはNFTを購入する初期費用が必要だと述べましたが、初期費用を抑える方法としてNFTをレンタルする方法があります。レンタルして報酬を得ると、報酬の一部がNFTのオーナーに還元されるため、NFT所有者はゲームを遊ぶことなく報酬を得られることになります。

【編集後記】まずは安定した運営を期待

P2Eはまさに黎明期のカテゴリで、ゲームシステム自体は既存のスマホゲームと比較してもかなりシンプルです。一方で、ゲーム内資産は暗号通貨やNFTであるため暗号通貨用のウォレットや、暗号通貨取引所で通貨を購入する必要があるなど、ハードルは高くなっています。

また、ゲームのアップデートなどによってゲームバランスが変わると、所有しているNFTの価格が大きく変動してしまうケースがあります。そのため、投機目的として参入してくるユーザーが多いのでしょう。

P2Eはメタバース技術とも相性が良いとされていますから、まずは安定して運営されているP2Eが誕生してキャズムを超えてくれば、一般にも浸透しはじめるのではないでしょうか。

関連記事:市場規模1兆ドルも射程の『メタバース』で何が起こる?すでに始まっている仮想空間での経済活動とは

(TOMORUBA編集部 久野太一)


■連載一覧

第1回:なぜ価格が高騰し話題となったのか?5分でわかる「NFT」

第2回:話題の「ノーコード」はなぜ、スタートアップや新規事業担当者にとって有力な手段となるのか?

第3回:世界的なトレンドとなっている「ESG投資」が、スタートアップにとってチャンスである理由

第4回:課題山積のマイクロプラスチック。成功事例から読みとくスタートアップの勝ち筋は

第5回:電力自由化でいまだに新規参入が増えるのはなぜ?スタートアップにとってのチャンスとは

第6回:「46%削減」修正で話題の脱炭素。46%という目標が生まれた経緯と、潜むビジネスチャンスとは

第7回:小売大手がこぞって舵を切る店舗決済の省人化。「無人レジ」の社会実装はいつ来るか?

第8回:実は歴史の深い「地域通貨」が、挑戦と反省を経て花ひらこうとしているワケ

第9回:音声配信ビジネスが日本でもブレイクする予兆。世界の動向から見える耳の争奪戦

第10回:FIREブームはなぜ始まった?「利回り4%」「生活費の25倍の元本」など、出回るノウハウと実現可能性は

第11回:若年層は先進層と無関心層が二極化!エシカル消費・サステナブル消費のリアルとは

第12回:「ワーケーション」は全ての在宅勤務社員がターゲットに!5年で5倍に成長する急成長市場の実態

第13回:なぜいま「Z世代」が流行語に?Z世代の基礎知識とブレイクしたきっかけを分析

第14回:量子コンピュータの用途は?「スパコン超え報道」の読み解き方はなど基礎知識を解説

第15回:市場規模1兆ドルも射程の『メタバース』で何が起こる?すでに始まっている仮想空間での経済活動とは

第16回:『TikTok売れ』はなぜ起こった?ビジネスパーソンが知っておきたい国内のTikTok事情

第17回:パンデミックが追い風に。マルチハビテーションが新しいライフスタイルと地方の課題解決を実現できる理由

第18回:Web3(Web3.0)とは何なのか?Web1.0とWeb2.0の振り返り&話題が爆発したきっかけを解説

第19回:フェムテックで先行する欧米と追従する日本。市場が活気づいている背景とは?

第20回:withコロナに「リベンジ消費」は訪れるか?消費者の“意向”と実際の“動向”からわかること

第21回:子供が家族の介護をサポートする「ヤングケアラー」の実態と、その問題とは?

第22回:半導体不足はなぜ起きた?米中貿易摩擦、巣ごもり需要、台湾への依存などを解説

第23回:【ビジネストレンドまとめ】注目を集めた5つの事業ドメインとは?

第24回:長引くコロナ禍で顕著になる“K字経済”とは?格差が拡大する「ヒト」と「企業」

第25回:「パーパス」とはなぜ注目されるのか?誰のためのものか?5分でわかる基礎知識

第26回:NFT・メタバース・Web3はどう違う?注目を集める「新しいエコシステム」5選

第27回:サステナブルのさらに先いく「リジェネラティブ」とは?実践企業や背景を解説

第28回:16年で2倍に膨れ上がった『電子ゴミ』は何が問題なのか。唯一の解決策とは?

第29回:サウナビジネスはグローバルで健全な成長も、国内ではサウナユーザーは激減。サウナビジネスの最新事情

第30回:【ビジネストレンドまとめ】話題となった「社会課題」トレンド6選

新規事業創出・オープンイノベーションを実践するならAUBA(アウバ)

AUBA

eiicon companyの保有する日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA(アウバ)」では、オープンイノベーション支援のプロフェッショナルが最適なプランをご提案します。

チェックする場合はログインしてください

コメント9件