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16年で2倍に膨れ上がった『電子ゴミ』は何が問題なのか。唯一の解決策とは?

16年で2倍に膨れ上がった『電子ゴミ』は何が問題なのか。唯一の解決策とは?

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新規事業やオープンイノベーションのプレイヤーやそれらを実践・検討する企業の経営者はTOMORUBAの主な読者層ですが、こうした人々は常に最新トレンドをキャッチしておかなければなりません。そんなビジネスパーソンが知っておきたいトレンドキーワードをサクッと理解できる連載が「5分で知るビジネストレンド」です。キーワードを「雑学」としてではなく、今日から使える「知識」としてお届けしていきます。

今回取り上げる話題は『電子ゴミ』です。デジタル化が進み、誰もがスマートフォンを持ち歩くようになり、私たちの生活は便利になりました。しかし急激なテクノロジーの進化の負の側面として電子ゴミの問題が浮上しています。

電子ゴミはスマホ、PC、ゲーム機などから排出されるゴミ

電子ゴミとは、中古利用されずに分解、リサイクル、処分された家電製品や電子機器の総称で、電気電子機器廃棄物やE-Waste(Electronic waste)、WEEE(Waste Electrical and Electronic Equipment)とも呼ばれます。

身近な製品だとスマートフォン、パソコン、ゲーム機、冷蔵庫、テレビ、エアコン、照明機器などから多く排出されています。

電子ゴミには希少金属(レアメタル)が含まれている場合があり「都市鉱山」とも呼ばれるほど活用のポテンシャルを持っていますが、その一方で鉛や水銀といった有害物質だけでなく温室効果ガスであるフロンガスを含むものもあり健康被害や環境悪化の懸念があります。

電子ゴミは5年で21%増加、16年で倍増する予測

電子ゴミの問題は2020年7月に国連が公表したレポート「The Global E-waste Monitor 2020」をきっかけに注目を集めるようになりました。レポートでは、2019年の電子ゴミの排出量は5,360万トンにのぼるとされており、これは5年で21%も電子ゴミ排出量が増えたことを示しています。

地域ごとの電子ゴミ排出量は以下の通りとなっています。

・アジア:約2,490万トン

・アメリカ大陸:1,310万トン

・ヨーロッパ:1,200万トン

・アフリカ:290万トン

・オセアニア:70万トン

レポートによれば、電子ゴミは2030年までに7,400万トンに増加する予測となっており、16年のあいだに倍増する見込みです。

電子ゴミ増加に伴う問題はさまざま

電子ゴミが増えると具体的に何が問題なのでしょうか。前出のレポートではさまざまな問題点を指摘しています。

・廃棄物から排出される温室効果ガスは二酸化炭素換算で9,800万トンと推計(2019年)され、これは全世界の排出量の0.3%

・鉛や水銀などの健康・環境に悪影響の有害物質が含まれており、例えば水銀は電子ゴミに年間50万トン含まれている

・2014年と比較して最も急激に増加している電子ゴミは温度交換機器(7%増)であり、続いて大型家電(5%増)および照明器具と小型家電(それぞれ4%増)

・電子ゴミに関する政策や法令を整備している国は78カ国あるが、国際電気通信連合(ITU)が定めた電子ゴミ関連法を制定する国の割合を50%にするという目標からは大きく乖離している

このように、電子ゴミが抱えている問題は多面的です。発展途上国では、電子ゴミからレアメタルを取り出す危険な作業を強いられている子供や若者がいるなど、間接的に発生している問題も無視できません。

電子ゴミ問題の解決策は正しくリサイクルすること

電子ゴミが抱える問題は複雑ですが解決策はシンプルで、正しくリサイクルされる電子ゴミの割合を高めていくことです。

2019年時点で全世界の電子ゴミの排出量は5,360万トンありますが、このうち正規の処分ルートで改修されたのは17.4%(930万トン)にとどまっています。

下図は電子ゴミの排出量が多い国の「一人当たりの排出量」と「正式に回収された割合」を記していますが、インド、ブラジル、ロシア、インドネシアは正式に回収された割合が極端に低いことがわかります。


引用:電子廃棄物の問題 - GNV

インドには電子ゴミ関連法があるにも関わらず機能していない状態で、ロシア、インドネシア、ブラジルにはそもそも電子ゴミに関連する法律が存在していません。

日本は世界の平均よりも高い22%が正規のルートで回収されています。家電リサイクル法が施行されたことで、対象となっている家電について、消費者は適正なリサイクル料金を支払って家電を引き取ってもらう必要があります。

また、小売業者には引き取り義務があり、メーカーにはリサイクル義務が課せられ、リサイクル率の目標(55〜82%)が設定されています。

このように各国の法整備と、正しいリサイクルの割合を増やしていくことで持続可能な状態を作っていく必要があるのです。

【編集後記】消費者の意識が重要に

家電や電子機器は中古品の流通が活発になり便利になりましたが、処分する際には消費者側のリサイクル意識が問われます。筆者も対象の家電を処分する際にリサイクル料金が思ったよりも高く驚いた経験があります。

東京オリンピックのメダルが電子ゴミを100%再利用して作られたことが話題になっていましたが、このような普及活動を地道にしていくことで問題解決への意識を高めていかなければ持続可能性は保てないでしょう。

(TOMORUBA編集部 久野太一)


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