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サステナブルのさらに先いく「リジェネラティブ」とは?実践企業や背景を解説

サステナブルのさらに先いく「リジェネラティブ」とは?実践企業や背景を解説

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新規事業やオープンイノベーションのプレイヤーやそれらを実践・検討する企業の経営者はTOMORUBAの主な読者層ですが、こうした人々は常に最新トレンドをキャッチしておかなければなりません。そんなビジネスパーソンが知っておきたいトレンドキーワードをサクッと理解できる連載が「5分で知るビジネストレンド」です。キーワードを「雑学」としてではなく、今日から使える「知識」としてお届けしていきます。

今回は「リジェネラティブ」について解説します。日本では聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、欧米では急速に広まりつつある概念です。国内ではここ数年、「SDGs」や「サステナビリティ」といったキーワードを耳にすることが増えましたが、その延長の概念ともいえるでしょう。

先進的な企業では「リジェネラティブ」を企業のパーパスに据えていることも増えていますから、国内でもこれからのビジネストレンドになり得る可能性は大きいキーワードです。

「リジェネラティブ」は再生、「サステナブル」は持続可能性

「リジェネラティブ(regenerative)」は日本語で「再生」という訳されます。昨今の欧米では自然環境を回復させより良くする、という文脈で用いられることが多い言葉です。

近い意味の言葉で「サステナブル(sustainable)」がありますが、これは「持続可能な」という意味なので、環境を今以上に悪化させず地球が持続可能な状態を維持しよう、というニュアンスになります。

サステナブルな状態を実現できたとしても、これまで環境を破壊してきた影響がなくなるわけではありません。リジェネラティブは環境を維持できる状態を作ったうえで、さらに改善していく必要があるという考え方です。

リジェネラティブはサステナブルの延長線上にある概念と言えるでしょう。

農業、繊維など…リジェネラティブビジネスが本格化

現在では企業がビジネスにサステナビリティを取り入れることは珍しくなくなりました。同じように今度は、リジェネラティブをビジネスに取り入れる企業が増えてきています。リジェネラティブビジネスが活発になりつつある背景はいくつかあります。

世界のサーキュラーエコノミー(循環経済)を牽引する存在である投資ファンド『エレンマッカーサー財団』は、サーキュラーエコノミーを実現するための3原則のひとつに「Regenerate natural systems(自然のシステムを再生する)」を掲げています。

同様に、フィンランドの投資ファンド『フィンランド・イノベーション基金(Sitra)』が2022年5月に発表したレポート「根本原因への取り組み~循環型経済による生物多様性喪失の阻止」でも、リジェネラティブに触れています。


出典:Tackling root causes – Halting biodiversity loss through the circular economy

Sitraはサーキュラーエコノミーへの貢献度が高い分野として「食料・農業」「森林」「建築・建設」「繊維・生地」を挙げており、そのうち「食料・農業」「森林」「繊維・生地」の3分野でリジェネラティブの原則が肝心であると明記しています。

リジェネラティブをパーパスに取り入れるパタゴニアや三井化学

ビジョンやミッションのように、社会にどのような価値を提供するかを示す「パーパス」を掲げる企業が増えていますが、リジェネラティブをパーパスに取り入れている企業が増えています。

代表的なのは「パタゴニア」です。パタゴニアは独自のリジェネラティブ・オーガニック農法によって土壌の健康、動物福祉、労働、農家に配慮したサーキュラーエコノミーを実践しています。


参照:リジェネラティブ・オーガニック(RO) | パタゴニア | Patagonia

パタゴニアは2017年に「リジェネラティブ・オーガニック認証プログラム」の制定を支援しています。要するにリジェネラティブな農法を実践する農家に認証を与えて、リジェネラティブ・オーガニック農法を拡大させる活動をしています。認証農家が増えることで土壌の健康、動物福祉、労働、農家がソリューションの一部となるのです。

国内でもリジェネラティブをパーパスに掲げている企業があります。三井化学は2022年4月に新たなブランド『​​BePLAYER(TM)/RePLAYER(R)』を立ち上げていますが、ブランドパーパスは「素材の素材から世界を刷新し、リジェネラティブなライフスタイルを実現する」となっています。


参照ページ:BePLAYER™-RePLAYER® | 三井化学株式会社

【編集後記】サステナブル同様にリジェネラティブも国内で浸透するか

サステナブルやカーボンニュートラルなど、欧米で活発に議論されている環境関連のトピックは数年遅れで日本に上陸する傾向があります。リジェネラティブを実践している国内企業はまだ数少ないですが、三井化学のような大手企業がパーパスに取り入れるなど、今後国内でもリジェネラティブの導入が浸透するのではないでしょうか。

(TOMORUBA編集部 久野太一)


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