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電力自由化でいまだに新規参入が増えるのはなぜ?スタートアップにとってのチャンスとは

電力自由化でいまだに新規参入が増えるのはなぜ?スタートアップにとってのチャンスとは

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新規事業やオープンイノベーションのプレイヤーやそれらを実践・検討する企業の経営者はTOMORUBAの主な読者層ですが、こうした人々は常に最新トレンドをキャッチしておかなければなりません。そんなビジネスパーソンが知っておきたいトレンドキーワードをサクッと理解できる連載が「5分で知るビジネストレンド」です。キーワードを「雑学」としてではなく、今日から使える「知識」としてお届けしていきます。

今回は電力の小売自由化です。「2016年に電力自由化された」という情報は知っている人も多いと思いますが、何が自由化されてユーザーや事業者にとってどのような変化があるのか?と問われると難しいのではないでしょうか。

特に、TOMORUBAの読者であるスタートアップや新規事業担当者にとって押さえておくべきポイントを中心に解説していきます。

2000年から段階的に自由化され、2016年に「全面自由化」

電力自由化は長期的な計画で、段階的に自由化が解禁されてきた経緯があります。自由化は大きく分けて3段階で実施され、2000年には大規模工場やデパート、オフィスビルなど大規模な電力を必要とする「特別高圧」と呼ばれる区分の自由化がスタートしました。

その後、2004年には中小ビルや中小工場が対象の「高圧」区分の自由化が施行され、2016年には家庭や商店など「低圧」区分にも自由化の範囲が拡大したことで、全面自由化となったのです。


出典:電力の小売全面自由化って何?|電力小売全面自由化|資源エネルギー庁

今年から新規参入した事業者だけでも50超と、まだまだホットな領域

電力の小売が自由化されたことで当然、電力事業に新規参入する事業者が一気に増加しました。事業者の新規参入は全面自由化された2016年4月1日から増え続け、2021年6月末時点での登録小売電気事業者の数は800を超えています。

今でも新規参入のペースは衰えておらず、今年から参入開始した事業者だけでも50を超えています。2020年-2021年の主要企業12社の売上高の合計は20兆円を超えており、市場の巨大さがうかがえます。

この市場規模のシェアを多くの事業者で競争しあっていくわけですから、利用者にとってはオプションが増えて料金が安くなることに期待がかかります。逆に、事業者にとっては選ばれる理由をどう創り出すかが生命線となりそうです。

全面自由化でユーザーが期待する4つのポイント

電力の小売が全面自由化すると、メリットを受けるのは家庭や商店です。自由化を受けて参入する電力事業者は、このシェアをどれだけ獲得できるかが重要になります。では、ユーザーは電力を選ぶ際に何を期待しているのでしょうか。


出典:電力会社を選ぶポイントランキング 1位は「料金の安さ」で断トツ:何でも調査団


何でも調査団の「電力会社を選ぶ際、ポイントになる(と思う)のは?(複数回答可)」というアンケートでは、「料金の安さ」が男女ともに1位になっています。そのほかにも様々なポイントが寄せられていますが、経産省が挙げているポイントは大きく4つあります。

 1.時間帯別料金など、ライフスタイルに合わせた料金メニュー

 2.省エネ診断、セット割など、新しいサービス

 3.再エネ発電中心のサービス

 4.電気の地産地消

調査結果や1と2にあるように、やはり大きなポイントは価格の安さです。ここは市場の原理から言えば、競争が激しくなるにつれて価格は安くなっていくのは自然の流れです。

では、これから電力事業に参入するならば何が差別化のポイントとなるのでしょう。

共創を軸に付加価値をプラス

スタートアップにとって有力な選択肢になるのは、すでに電力事業に参入している事業者との共創です。宅配収納サービス「サマリーポケット」を運営するサマリーは、電力事業に参入している京葉ガスと提携して新プランを提供しています。

内容は、特定のプランに加入しているユーザーがサマリーポケットのサービスを受けられるというものです。京葉ガスは「総合エネルギー企業」としての顧客基盤を強化する戦略ですが、この戦略にサマリーポケットのバリューがぴたりとはまった形です。

関連記事:宅配収納の「サマリー」×京葉ガス | 収納サービスがついたお得な電気料金プランを発表

電気の地産地消を加速

自由化によって顕在化したのは価格競争だけではありません。ユーザーは好きな事業者から自由に選べるわけですから、電力事業者がどのような種類の電力を供給しているかにも注目は集まります。

例えば、国内の電力の抱える課題としてエネルギー自給率の低さや、化石燃料を原料にした発電による環境への影響があります。事業者がエネルギーの地産地消を促進することで、環境に配慮したユーザーから選ばれる可能性が高まるでしょう。

北海道電力とINDETAILは、プラグインハイブリッド車のEVスタンドのインフラ構築に取り組んでいます。環境問題に関心のあるユーザーは、このような電力会社から電力を買いたいと思うかもしれません。

関連記事:INDETAILと北海道電力、EVスタンドのプラットフォーム構築に関する共同研究の実施

野菜のように「生産者の顔が見える」電力事業者

電気生産者の顔が見える電力事業者として注目を集めているみんなの電力。スーパーに売っている生産者の顔が見える野菜のように、電力を生産した人の顔がわかるのが特徴です。要するに、電力事業者単位よりもさらに細かい単位で、買いたい電力を指定できます。

オーガニックの野菜を選ぶように、再生可能エネルギーを購入できるため、生産者にとってもユーザーにとっても満足度の高い電力売買が実現できるのです。

関連記事:みんな電力がシリーズCラウンドファーストクローズにより11.5億円の資金調達を実施

【編集後記】正しくユーザーに届けられるのかが課題

ユーザーにとってはオプションが増えるのはありがたいことですが、オプションが多すぎるとユーザビリティは悪くなります。競争が激しくなればマーケティングや営業の勝負になってしまいがちです。ユーザーの体験を損ねずに、ユーザーにとって最適なプランを届けられるかが、電力自由化の今後の肝になりそうです。

(TOMORUBA編集部 久野太一)


■連載一覧

第1回:なぜ価格が高騰し話題となったのか?5分でわかる「NFT」

第2回:話題の「ノーコード」はなぜ、スタートアップや新規事業担当者にとって有力な手段となるのか?

第3回:世界的なトレンドとなっている「ESG投資」が、スタートアップにとってチャンスである理由

第4回:課題山積のマイクロプラスチック。成功事例から読みとくスタートアップの勝ち筋は

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  • 新田裕亮

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  • 眞田 幸剛

    眞田 幸剛

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