
JR東日本スタートアップ×ECOMMIT×Idein、「不要品」が次のモノづくりを支える実証実験が始動
JR東日本スタートアップ、ECOMMIT、Ideinの3社が手を組み、駅を起点とした資源循環の新たな取り組みがスタートした。2025年4月23日よりJR八王子駅で実証実験として始まった本プロジェクトは、単なるリサイクルにとどまらず、AI技術を活用した「未来のモノづくり」へとつながる試みだ。
AI×リユースで生まれる新しい資源循環のかたち
この取り組みでは、ECOMMITが提供する資源循環サービス「PASSTO(パスト)」の回収ボックスと、IdeinのエッジAIカメラ「Actcast」を駅構内に設置。不要になった衣類や雑貨などを回収するだけでなく、AIによって利用者の傾向データ(性別・年代・利用時間帯など)をリアルタイムで解析し、地域におけるCO2削減効果や回収状況を可視化する。


駅ナカサイネージで“環境行動の見える化”を実現
注目すべきは、その情報がサイネージを通じて駅構内に発信され、利用者にとって環境行動の「見える化」がなされている点だ。こうしたデータは匿名化されており、個人情報を含まず、クラウド送信も行われない設計となっている。プライバシーを守りながらも、データドリブンなサービス改善や商品開発に役立てられるのが特徴だ。
さらに、実証実験期間中には「通常のPASSTOBOXでは受け入れられない品目の回収イベント」や「回収品を活用したフリーマーケット」も開催予定。単なる不要品の処理にとどまらず、「価値あるものを次の誰かに渡す」場として、地域住民が参加できる体験型イベントが設けられる。
「PASSTO」が実現するCO2削減と資源の未来
PASSTOは、「次の人に渡す、未来へつなぐ」という意味を込めた造語。回収された品は98%以上がリユース・リサイクルされ、単純焼却と比べてCO2排出量を大幅に削減する。つまり、利用者がPASSTOに不要品を入れるその一手が、サステナブルな社会に直結するというわけだ。
駅という「人が集まる場」であることに着目し、そこを起点にした資源循環の社会インフラづくり。JR八王子駅の駅係員もPRに加わり、地域全体での環境意識の共創を目指している。
このように本プロジェクトは、環境対策・データ活用・地域巻き込みといった複数の社会課題を横断的に解決しようとする実証実験であると同時に、未来の生活やモノづくりのあり方そのものを問い直す挑戦でもある。
「いらないもの」に込められた価値を見つけ出し、次につなぐ。そうした視点の転換が、これからの循環型社会を支える鍵となるのかもしれない。
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(TOMORUBA編集部)