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課題山積のマイクロプラスチック。成功事例から読みとくスタートアップの勝ち筋は

課題山積のマイクロプラスチック。成功事例から読みとくスタートアップの勝ち筋は

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新規事業やオープンイノベーションのプレイヤーやそれらを実践・検討する企業の経営者はTOMORUBAの主な読者層ですが、こうした人々は常に最新トレンドをキャッチしておかなければなりません。そんなビジネスパーソンが知っておきたいトレンドキーワードをサクッと理解できる連載が「5分で知るビジネストレンド」です。キーワードを「雑学」としてではなく、今日から使える「知識」としてお届けしていきます。

今回のテーマは「マイクロプラスチック」です。マイクロプラスチックと聞いて、どんなイメージを持ちますか?正しく処理されなかったプラスチックが海を汚染している、という情報はメディアでもよく取り上げられているので、広く認知されていると思います。

では、スタートアップや新規事業担当者はマイクロプラスチックの課題をどのように捉えておくべきでしょうか。実はアプローチは数多くあります。マイクロプラスチックに関する大局的なファクトを紹介しつつ、どんなチャンスが潜んでいるのか解説していきます。

国内では、プラゴミが6トン流出し、漂着ゴミは30万トンを超える

マイクロプラスチック問題とは、主に海洋中のプラスチックゴミよって発生する問題のことを指しています。環境省の発表している資料「海洋プラスチック問題について」を見ると、想定される被害は4点挙げられています。

  1.生態系を含めた海洋環境への影響

  2.船舶航行への障害

  3.観光・漁業への影響

  4.沿岸域居住環境への影響

同資料に掲載された国別のプラスチックゴミ発生量ランキング(2010年推計)よると、トップは中国で353万トン、2〜5位は東南アジア、アメリカは20位で、日本は30位の6万トンとなっています。


出典:海洋プラスチック問題について 環境省

発生量上位の国は先進国のものづくりの拠点となっている点や、リサイクル対応が未発達であることなどから、深刻な量のプラスチックゴミを排出してしまっています。

一方、国内に漂着する海洋ゴミの量は年間31~58万トン(平成25年度データ)に及びます。プラスチックゴミ発生量だけでなく、漂着する海洋ゴミの問題も抱えているのが現状です。

環境省のグッド・プラクティスから見えるソリューション

環境省では、国内企業の中から、マイクロプラスチック発生抑制、流出抑制または回収に資する日本企業等の取組や技術を、グッド・プラクティス集として12の事例を紹介しています。

これらの事例がどのようなアプローチをしているかタイプ分けしていくと、いくつかのパターンが浮かび上がってきます。


図のように、グッド・プラクティスとされているソリューションは3つのタイプに分類されます。

 ・流出プラゴミの減少

 ・代替素材開発

 ・プラゴミの回収

スタートアップや新規事業担当者がマイクロプラスチックの課題に取り組むのであれば、これらのアプローチから施策を打つのが近道となりそうです。

関連ページ:マイクロプラスチック削減に向けたグッド・プラクティス集

マイクロプラスチックのソリューションタイプ別の事例

実際に3つのアプローチでマイクロプラスチック問題に取り組んでいる企業の事例を紹介します。

【流出プラゴミの減少】京大発スタートアップ「ピリカ」のマイクロプラスチック調査サービス「アルバトロス」

京都大学発のスタートアップであるピリカは、ごみ拾い活動を共有・促進するSNS「ピリカ」、画像解析技術で広範囲のポイ捨て状況を調査できる「タカノメ」など、ゴミに関する課題解決を専門としています。

その中でも、マイクロプラスチックに特化したプロダクト「アルバトロス」は、マイクロプラスチックの実態を調査することで、流出の抑制を提案するサービスです。独自のマイクロプラスチック調査技術を持ち、国連環境計画などでも採用されるなど実績も豊富です。

関連記事:ごみ拾いSNS「ピリカ」やマイクロプラスチック調査サービス「アルバトロス」を提供するピリカ、総額1億円の資金調達

【代替素材開発】石灰石を主原料とする新素材「LIMEX(ライメックス)」

TBMが開発した石灰石を主原料とする新素材「LIMEX(ライメックス)」は、ここ数年でプラスチックの代替素材として一気にプレゼンスを発揮しています。LIMEXは劣化しにくく、ロスが少ないリサイクル性能の高い素材でもあり、各分野から注目が集まっています。

LIMEXは素材として優れていることもさることながら、大企業との共創事例が非常に多いことも特徴です。TOMORUBAでも幾度となくニュースとして取り上げています。

関連記事:三菱鉛筆×LIMEX|石灰石から生まれた“減プラ”ボールペン『uni LIMEX』を共同開発

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【プラゴミの回収】対馬市×アスクルによる漂着ゴミを活用したサーキュラーエコノミー

前述した通り、プラスチックゴミの発生量は東/東南アジアが多いです。そして、アジアのゴミの多くは潮流の関係から日本海側に漂着します。対馬市も海外から漂着するゴミに悩まされていますが、この問題をアスクルとの共創で解決しようとしています。

アスクルは海洋プラスチック問題に取り組む中で、対馬市と提携しサーキュラーエコノミー活性化を実施しています。

対馬市内で回収した海洋プラスチックごみを加工した再生樹脂による商品の開発、および販売を検討しているほか、対馬スタディツアーを通じ、回収された海洋プラスチックごみの再利用を促進するといった取り組みをしています。

関連ページ:対馬市とアスクル、SDGs連携協定を締結 サーキュラーエコノミーの活性化と海洋プラスチックごみ対策を協働で推進

【編集後記】大企業や自治体の課題をスタートアップが解決できるか

ESG投資編でも書きましたが、世界のトレンドは持続可能性に移行しつつあります。大企業や自治体は環境へ配慮した活動をすることでブランド力や信頼感を得ていくでしょう。マイクロプラスチックに関しても、もしスタートアップが独自の技術やプロダクトを持っていれば、大企業や自治体との共創に発展する可能性は高まるため、チャンスに溢れた分野と言えるでしょう。

(TOMORUBA編集部 久野太一)


■連載一覧

第1回:なぜ価格が高騰し話題となったのか?5分でわかる「NFT」

第2回:話題の「ノーコード」はなぜ、スタートアップや新規事業担当者にとって有力な手段となるのか?

第3回:世界的なトレンドとなっている「ESG投資」が、スタートアップにとってチャンスである理由

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