
宇宙空間を“まるごと再現” ― JAXAと共創、スペースデータがISS内ロボットのデジタルツイン比較実証に成功
株式会社スペースデータは2025年6月19日、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟内で取得したロボット「Int-Ball2」の動作データを活用し、同社が開発するデジタルツイン技術との動作比較実証を初めて成功させたと発表した。
今回の取り組みは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「きぼう有償利用制度(非定型サービス)」を活用し、ISS内で稼働する船内ロボット「Int-Ball2」実機の動作データを取得。それを地上にいながらにしてデジタル空間上に忠実に再現することで、現実とバーチャルの挙動を比較検証する試みだ。4月21日にJAXA筑波宇宙センターで第1回の軌道上実証が行われ、2025年10月まで計6回の実証が予定されている。
実機と仮想空間がほぼ同じに ― 高精度の再現性を確認
宇宙開発において、地上で宇宙環境をいかに正確に模擬できるかは、機器開発の成否を分ける重要な要素だ。スペースデータでは、Phase I「見た目の比較」から始まり、Phase II「動作の比較」、Phase III「物理の比較」へと段階的に検証を進めていく計画だ。最終的には、力やトルクなど制御データレベルでも現実の挙動とデジタルツインを一致させることを目指す。
同社はこうした高精度シミュレーターを活用することで、宇宙機器の開発サイクルを短縮し、開発コスト削減にも貢献する考えだ。
バーチャル宇宙体験の民主化を目指す
スペースデータの掲げるミッションは「宇宙の民主化」。今回の実証で得られた知見は、遠隔地から宇宙ロボットを操作できる「アバター宇宙飛行士」体験や、地上にいながら仮想空間内で宇宙を歩き、作業する「バーチャル宇宙旅行」の実現にもつながる。
「誰もが宇宙にアクセスできる未来をつくる」。そんな壮大なビジョンに向けて、宇宙とデジタルを融合させた技術開発を加速させていく。
なお、スペースデータはKDDIと連携し、バーチャルISS内でのロボット動作実証にも取り組んでいる。
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(TOMORUBA編集部)