1. Tomorubaトップ
  2. ニュース
  3. 長引くコロナ禍で顕著になる“K字経済”とは?格差が拡大する「ヒト」と「企業」
長引くコロナ禍で顕著になる“K字経済”とは?格差が拡大する「ヒト」と「企業」

長引くコロナ禍で顕著になる“K字経済”とは?格差が拡大する「ヒト」と「企業」

  • 6984
  • 6974
  • 6972
3人がチェック!

新規事業やオープンイノベーションのプレイヤーやそれらを実践・検討する企業の経営者はTOMORUBAの主な読者層ですが、こうした人々は常に最新トレンドをキャッチしておかなければなりません。そんなビジネスパーソンが知っておきたいトレンドキーワードをサクッと理解できる連載が「5分で知るビジネストレンド」です。キーワードを「雑学」としてではなく、今日から使える「知識」としてお届けしていきます。

今回は「K字経済」とは何かに迫ります。端的に言えば格差が広がることを指す言葉ですが、コロナ禍が長引く中で世界でK字経済が助長されている地域があります。なぜコロナ禍でK字経済が拡大したのか、日本国内の状況はどうなのか、「ヒト」と「企業」の側面から解説していきます。

経済の二極化が進む「K字経済」はコロナ禍で拡大

K字経済とは富裕層と貧困層などの経済格差が拡大していくことを指す言葉です。右肩上がりのグラフと右肩下がりのグラフがアルファベットのKの字に似ていることから名付けられています。

コロナ禍の影響で経済的に潤う「勝ち組」と、マイナスの影響を受けてしまう「負け組」の差がじわじわと開いてしまう状況が続き、K字経済に拍車をかけています。K字経済はヒト単位でも企業単位でも発生しているのが現状です。

富裕層と貧困層の格差がコロナ禍によって広がる

K字経済の影響の「ヒト」の側面から見ていきます。今に始まったことではありませんが、日本や米国では貧富の差が拡大していることが社会課題となっています。


引用:K字経済とは 富裕層と貧困層が二極化

図のように、米国では上位10%の富裕層が国民所得に占める比率が40%を超えています。対して、下位50%を合計しても国民所得の10%余りにしかなりません。

コロナ禍では、低賃金労働者が雇用環境の悪化など皺寄せをうけやすくなっています。その一方で、コロナ禍で発生した株高の恩恵を上位10%は享受できたのです。2022年7月現在では、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて株価は低調な動きとなっていますが、それでもコロナ以前と比較すれば株価は上昇しているため、K字経済の傾向は継続していると言えるでしょう。

日本も米国ほどではありませんが、格差の二極化があります。所得格差を示すジニ係数を国別に見てみると、日本は先進国のなかでも中程度の格差があることがわかります。


出典:第79回「情報通信分野の投資による経済格差の発生・拡大」

コロナ禍で明暗が別れる企業の業績

K字経済の影響は企業の業績にも現れています。2021年の3月を決算月とする上場企業のうち業績を修正した企業の75%が上方修正し、25%は下方修正だったというデータがあります。

このことから、コロナ禍から回復しつつある企業と出遅れている企業があることがわかります。業種をみるとその傾向は顕著です。当連載のリベンジ消費の回でも引用した「2019、2020、2021年の業種別日毎サービス消費支出額」を参照すると、回復の兆しがあるのは宿泊などで、それ以外の業種はリベンジ消費の傾向が見えません。


出典:年末消費の動向にみる今後のリベンジ消費の形 ~家計調査・日次・品目別支出の動向(2021年12月)~ | 星野 卓也 | 第一生命経済研究所

K字経済からの脱却を測る指標「COVIDレジリエンス(耐久)」

K字経済から脱却できるかどうかを測るひとつの指標として「COVIDレジリエンス(耐久)」があります。これはブルームバーグが毎月まとめている、コロナ時代の世界で最も安全な国・地域の番付「COVIDレジリエンス(耐久)ランキング」で用いられている指標です。社会的・経済的混乱を最小限に抑え、かつウイルス封じ込めに成功した度合いを数値化しています。

参照ページ:ブルームバーグCOVID耐性ランキングの補足説明 - Bloomberg

この指標が高いほど、コロナ禍の影響を食い止め、なおかつ経済的なダメージも最小限に抑えられている状態です。2022年のランキングでは53か国中、1位がノルウェーとなっており、米国は死亡率の高さから30位となっています。日本はワクチン接種は進んでいるものの、「ワクチン接種後の越境可能ルート」が53か国中52位となっており、ランキングを下げる要因になっています。

【編集後記】不安要素が多く見通しが不透明

K字経済というワードが語られるようになったのは、コロナ禍が長期化の様相を呈してきた2021年からですが、2022年7月現在ではロシアの軍事侵攻もありK字経済がどう展開するのか読みにくい状況です。アメリカではバイデン大統領が富裕層や法人への増税を進め所得の再配分によってK字経済の進行を食い止めようとしています。岸田内閣も同様に経済の柱として再配分を掲げていますが、世界情勢が不安定なため見通しは不透明なままです。

(TOMORUBA編集部 久野太一)


■連載一覧

第1回:なぜ価格が高騰し話題となったのか?5分でわかる「NFT」

第2回:話題の「ノーコード」はなぜ、スタートアップや新規事業担当者にとって有力な手段となるのか?

第3回:世界的なトレンドとなっている「ESG投資」が、スタートアップにとってチャンスである理由

第4回:課題山積のマイクロプラスチック。成功事例から読みとくスタートアップの勝ち筋は

第5回:電力自由化でいまだに新規参入が増えるのはなぜ?スタートアップにとってのチャンスとは

第6回:「46%削減」修正で話題の脱炭素。46%という目標が生まれた経緯と、潜むビジネスチャンスとは

第7回:小売大手がこぞって舵を切る店舗決済の省人化。「無人レジ」の社会実装はいつ来るか?

第8回:実は歴史の深い「地域通貨」が、挑戦と反省を経て花ひらこうとしているワケ

第9回:音声配信ビジネスが日本でもブレイクする予兆。世界の動向から見える耳の争奪戦

第10回:FIREブームはなぜ始まった?「利回り4%」「生活費の25倍の元本」など、出回るノウハウと実現可能性は

第11回:若年層は先進層と無関心層が二極化!エシカル消費・サステナブル消費のリアルとは

第12回:「ワーケーション」は全ての在宅勤務社員がターゲットに!5年で5倍に成長する急成長市場の実態

第13回:なぜいま「Z世代」が流行語に?Z世代の基礎知識とブレイクしたきっかけを分析

第14回:量子コンピュータの用途は?「スパコン超え報道」の読み解き方はなど基礎知識を解説

第15回:市場規模1兆ドルも射程の『メタバース』で何が起こる?すでに始まっている仮想空間での経済活動とは

第16回:『TikTok売れ』はなぜ起こった?ビジネスパーソンが知っておきたい国内のTikTok事情

第17回:パンデミックが追い風に。マルチハビテーションが新しいライフスタイルと地方の課題解決を実現できる理由

第18回:Web3(Web3.0)とは何なのか?Web1.0とWeb2.0の振り返り&話題が爆発したきっかけを解説

第19回:フェムテックで先行する欧米と追従する日本。市場が活気づいている背景とは?

第20回:withコロナに「リベンジ消費」は訪れるか?消費者の“意向”と実際の“動向”からわかること

第21回:子供が家族の介護をサポートする「ヤングケアラー」の実態と、その問題とは?

第22回:半導体不足はなぜ起きた?米中貿易摩擦、巣ごもり需要、台湾への依存などを解説

第23回:【ビジネストレンドまとめ】注目を集めた5つの事業ドメインとは?

新規事業創出・オープンイノベーションを実践するならAUBA(アウバ)

AUBA

eiicon companyの保有する日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA(アウバ)」では、オープンイノベーション支援のプロフェッショナルが最適なプランをご提案します。

チェックする場合はログインしてください

コメント3件