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コロナ禍でも変革をおこす”CHANGER”が育つ場となるか――ONE JAPANによる大企業挑戦者支援プログラム「CHANGE」が始動!

コロナ禍でも変革をおこす”CHANGER”が育つ場となるか――ONE JAPANによる大企業挑戦者支援プログラム「CHANGE」が始動!

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2020年、日本のマーケットは大きな変革を余儀なくされている。猛威を振るった新型コロナウイルス感染症は、市場に未曽有の混乱を招き、社会には新たな生活様式が求められ、アフターコロナの時代のビジネスシーンはまだ誰にも予測がつかない。

ひとつ言えることがあるとすれば、大規模な社会変革には、大企業の革新が不可欠だと言うこと。特に新規事業開発や既存事業変革の中核を担うイントレプレナーの存在感は大きくなるはずだ。こうした潮流を先取りするように、今年5月、大企業の若手・中堅社員を中心とした約50の企業内有志団体が集う実践コミュニティ「ONE JAPAN」は、大企業挑戦者支援プログラム「CHANGE by ONE JAPAN」(以下、「CHANGE」)を立ち上げた。

この「CHANGE」では、大きなチャレンジに臨みながら志半ばで挫折してしまう挑戦者たちに、約3カ月の期間をかけて「支え合う仲間」と「勝ち残るための武器」を提供するという。このプログラムが始動した経緯やセミナーの特色を知るべく、プログラムのFounderを務める濱本隆太氏、ONE JAPAN共同発起人・共同代表の濱松誠氏、山本将裕氏をはじめ総勢9名の事務局メンバーにオンライン取材を敢行した。

【CHANGEプロジェクトチーム】

■池田真梨氏(SOMPOひまわり生命 新規事業企画担当 主任、経済産業省/JETRO 始動 Next Innovator 5期 シリコンバレー選抜メンバー)

■大越瑛美氏(株式会社リコー リコーアクセラレーターTRIBUS事務局)

■金子佳市氏(パナソニック株式会社 社内起業家育成プログラム「GameChanger Catapult」4期テーマリーダー、 調理家電開発エンジニア)

■土井雄介氏(有志新規事業コンテスト A-1 TOYOTA 共同発起人、社内公募制度 2年連続事業化採択者、株式会社Alphadrive)    

■濱松誠氏(ONE JAPAN 共同発起人・共同代表)

■濱本隆太氏(パナソニック株式会社 くらしアップデート推進本部 プロダクトマネジャー/ビジネスデザイナー、元社内起業家育成プログラム「Game Changer Catapult」 企業内アクセラレーター、 ONE JAPAN 大企業挑戦者支援プログラム「CHANGE」 Founder/代表)

■一杉泰仁氏(NTT東日本 経営企画部 ビジネスコーディネーター、経済産業省 始動 Next Innovator 4期 シリコンバレー選抜メンバー)

■福井崇博氏(東急株式会社 フューチャー・デザイン・ラボ 東急アクセラレートプログラム事務局)

■山本将裕氏(ONE JAPAN 共同発起人・共同代表、元NTT東日本 NTTEast Accelerator Program LIGHTnIC 事務局Founder)

挑戦者たちが「挫折」と「否定」を、乗り越えるサポートを。

――まずは今回、「CHANGE」というプログラムを立ち上げた背景を伺えますか?

濱本氏:我々ONE JAPANのメンバーは、それぞれが大企業の中で新規事業開発や企業変革に取り組んでいます。ただ、新規事業の現場は、どうしても「挫折」と「否定」の繰り返しと言いますか。挑戦者が挫折し、前に進めなくなることが多々あります。その結果、辞職してしまう人、異動する人、色々なケースを目の当たりにしてきて、ここを打開する方策はないかと常々考えていました。

――挑戦者が挫折を乗り越えるためのプログラムが作れないかと。

濱本氏:そうです。ONE JAPANというコミュニティの中で、挑戦者が必ずぶつかる壁をともに打ち破っていくような、そんなプログラムを生み出したいと周囲の仲間に相談したのが「CHANGE」を立ち上げるきっかけになりました。

また、今回の事務局のメンバーには、経済産業省と独立行政法人日本貿易振興機構が主催する次世代イノベーター育成プログラム「始動Next Innovator」の参加者が多いこともあり、こうしたプログラムも参考に自分たちの経験や知見を活かして、挑戦者の支援プログラムをONE JAPANカスタマイズでやっていこうと企画を進めていきました。

▲濱本隆太氏

CHANGERを生み出し、大企業挑戦者の文化をアップデートする。

――ONE JAPANが「CHANGE」を通して目指すビジョンについても教えてください。

濱本氏:「CHANGE」というプログラム名の通り、本気で自社を変え、社会を変えていく人財を育てたいというのが、一番の目標です。それに、このプログラムを通して「挑戦者自身も変革するんだ」という意味も込めました。

濱松氏:ONE JAPANという団体は、各々の社内で有志団体やコミュニティを立ち上げた人ですとか、社内コミュニティの参加者の集合体、つまりコミュニティベースのプラットフォームとして成長してきました。

でもその一方で、社内起業家や大企業挑戦者を増やす取り組みは、大きく言うと日本のビジネスセクターとして求められていることだ、という風にも考えていたんですね。そうした時に、濱本さんから「もう少し強い“個”をつくること、変革人材を育てることが、ONE JAPANのさらなる加速にもつながるんじゃないか」という提案を受けたのです。

▲パナソニックを退職後、夫婦で世界一周を旅し、先日無事に帰国したというONE JAPAN 共同発起人/共同代表・濱松氏。(過去インタビュー記事はコチラ

――コミュニティの活性化にも好影響を生むのではないかと。

濱松氏:そうです。当時はまだ世界一周の最中だったのですが、ある空港で濱本さんとメッセンジャー電話で1~2時間話し込んで、その場でもう、「やらないといけないよね」「いや、やろう。絶対やりたい」とお互いの意思が固まっていきました。ですから、この「CHANGE」というプログラムでは、本気で自社を、社会を変えていく人=CHANGER(チェンジャー)をつくっていこう、応援していこうというのが根幹にあるんです。

土井氏:私も濱本さんとよく話していたのが、大企業のイントレプレナーはなかなか注目を浴びてこなかったよねと。ベンチャーがいい、大企業がいいという単純な二元論ではなく、日本全体の産業を考えた時に「大企業はイケてない」となってしまったら、それは日本全体にとってマイナスだと思うんですね。その雰囲気を変えるためには組織単位ではなく、“個”が強くなり、注目させていかなければいけない。

そのきっかけとして「CHANGE」が機能すれば、優秀なイントレプレナーが大企業の中にもいることを発信でき、人財を育て上げ、大企業挑戦者の新しい文化をつくっていくことも可能なのではないか、と思っています。

▲土井雄介氏

何度でも立ち上がる挑戦者を増やしたい。

――強い個を作るというお話がありましたが、どのような方に「CHANGE」に参加してほしいとお考えですか? 

濱本氏:「会社に企画を提案したけれど、社内で壁にぶつかってなかなか前に進めなかった」といった経験を持つ方が一番のターゲットです。私たちのこれまでの経験から、どんなに意欲的であっても、大企業の作法が分からず前に進めない人がかなりいると考えていまして、まずはそうした方々をサポートしていきたいと思っています。

他にも、「事業計画を提案したい気持ちはあるけど、なかなか動き出せていない、次のステップに進められない」といった人にもぜひ参加していただきたいなと。

――こうした参加候補者を想定された理由は何なのでしょうか?

濱本氏:例えば私が所属するパナソニックですと、新規事業開発を途中まで走らせたものの、実現には至らず、予算がつかないテーマに落ちてしまうという方を、私も周りでたくさん見てきました。

どうしても新規事業自体、成功確率は高くないですし、挫折がつきものなのですが、そういった方がもう一度挑戦できる、再起できるようにしたいのです。一度崩れたからといって「もう終わりだ」と諦めるのではなく、何度でも立ち上がるメンバーを増やし、育てていきたいという想いから、こうした候補者をイメージしてプログラムを設計しました。

――「これから動き出したい」という候補者についてはいかがですか?

山本氏:以前のONE JAPAN CONFERENCEで約1000名にアンケートを取った際、「新規事業などに取り組みたいですか?」という設問で8割の方が「はい」と答えた一方、「実際に行動していますか?」という問いに「はい」と答えた方は3割ほどだったんですね。

ここのギャップが大きいというのは、ひとつ大きな課題だと思っていまして、きちんと埋めていく活動をしたいというのがありました。ですから、「CHANGE」を通して「思いはあるものの行動出来ていない人」も、ONE JAPANが挑戦を後押しできればと思っています。

▲ONE JAPAN共同代表・山本将裕氏。(過去インタビュー記事はコチラ

最大の特色は「コミュニティ」「スキル/マインドセット」「情報発信」。

――具体的なプログラムの内容や特色についても、ぜひ伺いたいです。

濱本氏:「CHANGE」の特徴は大きく3つあります。1つ目は「コミュニティ」。今回は日本産業の各界でイノベーションをリードするトップメンターの方々ですとか、大企業で実際に挑戦をし続けている実践者など、約80名のメンターに協力していただきます。そうした方とのネットワークを育みつつ、共動・共創していきます。

2つ目はスキル/マインドセット。現場の最先端で戦い続けるイントレプレナーから、大企業イノベーションのノウハウや、社内政治の作法など、実践的なスキルを学ぶことができる。さらに現状を変えるためのマインドセットについてもしっかりとプログラムにインストールしていますので、そこを学ぶことができると。

最後の3つ目が情報発信です。これまでONE JAPANが培ってきたメディアリレーションを活かしながら、参加候補者の取り組みを世の中にしっかり発信していきたいなと思っています。

――「コミュニティ」については、どのような取り組みをしていくのでしょう?

濱本氏:今回、プログラムを形成するうえで私が特に重要視しているのが、候補者みんなで共通体験をし、共通言語を取得することです。プログラム期間中にはセミナーやレクチャー、ワークショップを計10数回ほど予定していまして、これらを毎週受けることで全員が「○○ってこうだよね」と共通言語を持ってもらう。

そうすることで、「CHANGE」のメンバー同士が、事業を開発するうえでお互いにアドバイスをしやすくなり、仲間同士でメンタリングし合えるような状態にしたいと思っています。

濱松氏:ONE JAPAN自体、小さいながらも有志団体の集合体としてのコミュニティが出来ているんですね。そのうえで、この「CHANGE」が挑戦者のコミュニティとして育まれていき、今あるコミュニティと重層的に活動し合うことができれば、お互いに良い波及効果が生まれると思っています。

さらにこの良い効果が、コミュニティを超えて各々が所属する企業の方にもある種の刺激や影響を及ぼすようになっていくのではないかと。「彼がやっているなら、僕たち・私たちも頑張ろう」と、企業にまで届くような相乗効果、波及効果をつくっていくのが理想ですね。

――「スキル/マインドセット」に直結するセミナーの見どころは、どんな点でしょう?

一杉氏:今回のプログラムの特徴として、講師の多くが実際に自ら大企業の壁に何度も何度も立ち向かい、それを突破してきたメンバーであるため、「リアルな実践知の集合体」になっていることが非常に大きいと思います。大企業の実践者ならではの成功経験・失敗経験の両方をここまでのリアリティを持って伝えられるのはユニークネスなポイントだと思いますね。

▲一杉泰仁氏

福井氏:大きな組織の中でチャレンジするためには、中身の濃い事業計画を作ることももちろん大事ですが、それと同じくらい協力者を得るとか社内を巻き込むといった姿勢も重要。ですので、組織を動かすための青臭さとしたたかさなどの話もできればと思っています。

▲福井崇博氏

――大企業ならではの経験とノウハウをそれぞれに伝えていくと。

大越氏:大企業ならではといえば、他にはない良さもたくさんあって、本人のやり方次第では企業が抱えるありとあらゆるリソースを活用できます。いかに協力してもらうか、相手側にやる気になってもらうかといったスキルセット・マインドセットができれば、ひとりで起業するよりもかなり短い期間で色々なことができるので、そのあたりもしっかり伝えたいですね。

▲大越瑛美氏

――「情報発信」については、どのような取り組みを考えていますか?

濱松氏:ONE JAPANの特徴は54社の仲間が集まっていること。だからこそ、各企業への細かいアプローチができます。54社の仲間たちがそれぞれに会社の内側に発信して広めていければ、一度の打ち上げ花火で終わらず、各社の中で新しい挑戦に対して「やってみよう」という熱があがり、カルチャーが醸成されていくと思うんですね。

ですから、様々なメディアに協力をあおいでコミュニティの外側へ発信することと、企業の内側への発信、その両方を責任をもってやっていきたいと思っています。

▲2019年9月に開催された「ONE JAPAN CONFERENCE 2019」。立ち見が出るほど活気のあるイベントとなった。

今だから提供できるプログラムにぜひ参加してほしい。

――では最後に、事務局メンバーの皆さんから読者にメッセージをお願いできますか?

池田氏:今回の「CHANGE」では現状を打破するための考え方や課題解決の姿勢など、様々な刺激と学びを得られる場を提供し、皆さんの事業計画が実現するためのきっかけになればいいなと思っています。

▲池田真梨氏

大越氏:「CHANGE」を通してコミュニティの裾野がさらに広がれば嬉しいですし、ONE JAPANの活動に関わってもらえる機会にもなればと思っています。

金子氏:大企業に所属していても、新規事業の創出プログラムやスキームがない人がたくさんいらっしゃるでしょうし、一度挫折した時に周囲に応援者がいないこともあると思います。そうした方々を、この「CHANGE」というプログラムを通してサポートしていきます。

▲金子佳市氏

土井氏:「CHANGE」はONE JAPANが掲げる「辞めるか、染まるか、変えるか」の中で、「変える」に一番寄与するプログラムだと思っています。ワクワクするような世界を一緒につくっていけるような、そういった活動がしていきたいですね。

濱松氏:ONE JAPANの成り立ちは、新規事業に取り組む有志団体のコミュニティをつくり、集団の力で何かうねりを起こしていこうということだったんですけど、その大元は全て「絶対これをやりたい」という個人の想いとか、「やらねばならない」という使命感から始まっていると思います。

なので、今回の「CHANGE」によって、改めて多くの個人の想いがチームに、組織に、社会にどんどん伝わっていって「お、あの人がやっているなら俺もやろう」「私もやってみよう」という大きな挑戦の文化をつくっていきたいですし、「やりたい」「やってみよう」という人をできるだけたくさん増やしていきたい。私たちも一生懸命やっていきますので、一人でも多くの方が手をあげてくれたらなと思っています。

濱本氏:この「CHANGE」は、数年前ではきっと実現できないプログラムだったと思っています。人脈の面でも、実践知などのノウハウの面でも、しっかり蓄積した今だからこそプログラムにして出すバリューがあるなと思っていますので、ぜひ参加と応援をよろしくお願いします。

一杉氏:「CHANGE」は大企業をもっと面白く、社会をワクワクと変革させるプログラムだと本気で思っています。私たちも主催者側と参加者側という線を引くのではなく、その一線を越えて、参加者の皆さんと一緒に面白いことをやっていきたいですね。

福井氏:ONE JAPANというコミュニティ自体が高め合える仲間の集団だと思っています。そんなコミュニティによる「CHANGE」を通して、参加者の皆さんにはスキルセットだけでなく、「志を高める」ことも体感していただけるかなと思います。

山本氏:「大企業を変えたい」「社会を変えたい」といった志向から参加する方も多いと思いますが、私としてはまずは参加者自身が「自分を変える」きっかけになるようなプログラムに出来ればと考え、準備を進めています。なので、ぜひ自分を変えたい方、参加をお待ちしています。

取材後記

時代の節目を迎え、新たな挑戦に意欲を燃やすイントレプレナーは多いはずだ。同様に、一度は高い壁に挑むも事業創造のノウハウが足りず、あるいは組織の力学に阻まれ、辛酸を舐めた経験者も決して少なくないだろう。ONE JAPANはそうした挫折を経てなお立ち上がろうとする挑戦者や、環境に恵まれず日の目を見なかったこれからの人材にこそ「CHANGE by ONE JAPAN」プログラムを提供したいと考えている。

コロナ禍で明らかになった組織課題や社会課題から新たなビジネスチャンスが生まれる可能性も十分ある。変革を求める人物にとって、今が好機になるかもしれない。

(編集:眞田幸剛、取材・文:太田将吾)

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