新型コロナウイルスが中国と日本の経済に与える影響とは?
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(2020/1/30日筆記)
こんにちは、中国資産家のリーです。
中国の武漢を中心に新型コロナウイルスが広まっていて大きなニュースになっています。
日に日に感染者・死亡者も増えている状況で日本と中国の間で仕事をしている私にとっても大変影響を受ける出来事です。
実は中国に対して3000万枚のマスクを提供するようなお仕事もいただいており、そのような状況の中、私や私の会社でキャッチしている情報をまとめることで、日本の皆さんにもお役に立てることがあるのではと思い記事にすることにしました。
新型コロナウイルスについて語ろうと思ったら、どのくらい感染が広まっているかだとか、予防や治療はどうすればいいかなどが気になる人が多いかもしれません。
それはそれで、もちろん大事なことではありますが、私は多く語らないことにします。新型コロナウイルスの一般的な情報については、厚生労働省のウェブサイト等を参考にしてください。デマをばらまく人たちも多いので、安易に不確実な情報を信じたり、拡散に加担したりしないようにしてください。
その上でこの記事では、中国と日本の両方でビジネスをしてきた私だから話せることとして、新型コロナウイルスの発生によって、中国で起こっていること、これから起ころうとしていること、およびその背景を知ることで、中国という国のことを日本のビジネスマンの方に理解していただく意図でお伝えしてきます。
新型コロナウイルスが発生したことによる影響と現状
まず、現状どうなっているのかを日本側、中国側、それぞれの視点でまとめてみましょう。
中国側の現状
2019年12月下旬 医療物資が足りない(一般人用マスク、医療従事者向け物資、等)
2020年1月上旬 中国国内で一般向けマスクを高額(市場価格から最大で10倍以上)で転売する業者が多発、詐欺も横行→中国政府や当局が逮捕等で対策
2020年1月中旬 中国国内でマスクを供給できる者がいなくなり供給がストップ
2020/1/20 同時に中国政府が指定(認定)するものでなければ販売、及び中国への通関を規制→N95規格と規格クリアの証明書、等が必要
2020/1/24 日本や各国から中国宛てに送られる物資が上記を満たしていなければ停滞荷物となる
2020/1/28 結果、税関での停滞が増え、中国圏(大陸、マカオ、香港、等)への国際郵便が遅延
2020/1/30現在 現在に至る
日本側の現状
2020年1月中旬 中国への物資提供にフラグが立つ
2020/1/20 各製造元(メーカー)が代理店への供給を制限
2020/1/24 ちょうど中国が春節期間(旧正月)ということもあり、中国で作っている物資の製造がストップ→日本国内倉庫にある在庫で対応(この時点でかなりの高騰:最低でも約2-3倍)
2020/1/25 中国側からの証明書各種を求められ始め、供給側(メーカー)が対応に遅延
2020/1/28 日本国内で初の感染者(ヒトからヒトへの感染)が確認され始める→この時点で各メーカーが自国内での流行を予測し、海外向けの供給を完全に停止
2020/1/30現在 現在に至る
これらの現状に至るまでの背景を解説します。
中国南部の工場事情
そもそも、日本の医療物資メーカーさんの多くは、人件費の安さを求めて、長らく中国への製造業務の業務委託を行っていました。
もっと例を出すと、中国の南部、广州市(深センの北)の隣に位置する东莞市(ドングァン)という都市には、中国だけでなく、日本や世界中のメーカーの工場が集まっている都市で有名でした。
ここ最近は、米中貿易摩擦の影響を受けてこれら工場やその管理会社が軒並み倒産しています。
最近で言うと、リコーがこの地域に工場を作り、中国の雇用を助けた救世主になったのでは、と個人的には考えています。
(参考:https://jp.ricoh.com/release/2020/0109_3)
さて、話を戻して、この工場達は、日本から発注を受けて、安い人件費(つまりはコスト)で製品を製造し、日本に納品して、日本の販売会社や代理店、等が売っていくという図式が通例でした。
旧正月(春節)が一大イベントとなる中国文化
日本の方々にとって、1年の始まりの年始といえば1月1日のお正月ですよね。
年末年始の休みも、その前後に設定されると思います。
中国では、そこまで新暦のお正月は重視されず、むしろ旧正月(春節)の前後に大型連休があります。
つまり、中国には、旧正月(春節)では、「ゲルマン民族の大移動」並みに、人が動きます。
これまで国内移動がほとんどでしたが、最近は海外旅行に出かける人も増えています。旅先の一番人気は、日本です!
そして、みなさん、がっつりお休みを取られ、家族でお正月のお祝いをする、というのが通例です。
旧正月の中国は、人が全員いなくなったのではないか、というほど、みなさんおうちで家族でテレビを見たり、食事をしたり、という時間の過ごし方をされます。
旧正月、春節期間は、工場も他のオフィスワークも完全に業務や工程がストップするとお考え下さい。
この背景があって、旧正月期間は直前に在庫を多めに入れて対応する、という方法か、あるいは少ない人数でも工場を稼働する、という業務委託契約になる企業が多かったことでしょう。
新型コロナウイルスの発生によりマスクが不足
ここで、新型コロナウイルスが発生して爆発的に感染者が増えていくということが起こったというわけです。
商売根性が旺盛な人の多い中国では、「やばい、マスク絶対売れる!」という発想に至る方も多く、中国にあるありったけのマスクが転売業者によって買い占められました。
一般用だろうが、医療用だろうが、関係なくオークションサイト等で販売をされて、2倍、3倍、5倍、、、果ては10倍とマスクの値段が高騰していったわけです。
ちなみに、2月に入る前後では日本でも似たような状況になっているようですね。どこの国の人でも似たようなことを考えるということでしょう。
さて、これを見ていた中国政府や当局は、「これはいかん!また犯罪が横行する!」ということで、こういう法外な値段で商売している代理店を軒並み逮捕や拘留、果ては牢屋へぶち込むなどの、その場しのぎの対策を取っていったのです。
その結果、新型コロナウイルスが発生したことでマスクが必要なのにも関わらず、マスクを販売している業者が軒並みいなくなってしまい、需要と供給のバランスが崩壊し、供給が0、需要が100の状態になってしまったのです。
再び「これはいかん!」ということで、それでも商売根性まる出しの中国の方々は、「中国にないなら日本に頼め!」となって日本につながりのある企業や個人がどんどん発注し、日本から大量のマスクがEMS(国際スピード郵便)やSAL(エコノミー空港便)で出荷されていったのです。
新型コロナウイルス流行後の中国政府の思惑
ここで、中国政府は「待て待て!」と考えます。
そもそも中国政府は元々「自国で作ったものを、自国で売り、自国で消費する」ことを良しとしていました。
そりゃそうですよね。中国には多大な人的リソースがあるのです。にも関わらず「自国のものより(分かってはいるけれども質の良い)日本のもの買うのは許さん!」となったわけです。
ここで、中国政府が一気に中国に入国する全てのものに規制をかけ始めました(これが上記の表で言う2020/1/20頃の話です)。
中国政府は、共産党の文化的に法律を変えて規制をかける、ということはしません。あえて、達成できないような追加条文を課すことがほとんどです。
例えば、外資系企業を中国から追い出したいと思ったら、外資系の企業がビジネスをできなくなるような法律を作るようなことをするのではなく、「家賃を100倍にして立ち退かざるを得ない状況にしてしまう」といったような形で規制をかけるようにしていくのです。
中国の規制によって支援物資を持ち込むことができなくなる
下記の表は中国政府が発行したものですが、つまり特定の種類のマスク(N95規格)以外は中国国内に持ち込むことはできませんという規制をかけてきたのです。
(これが表で言う2020/1/24頃の話です)
出典元:中国政府発行情報元
私の会社もこの前後で3000万枚のマスクの発注を中国から受けていたのですが、途中で規制がかかったことによって、マスクの準備をするのがとても大変でした。日本ではマスクがなかなか売っていないという状況に2月に入る前後ではなっていたと思いますが、それは私たちが動いたことも一因ではあるかもしれません。
ほとんどの医療物資はMade-in-Chinaであり、春節休みで在庫しかないという状態でしたが、コロナの影響で、いよいよ中国で作らせていて良いのか、という考え方も出てきます。
どういうことかというと、
「新型コロナウイルスのような大量に菌がまん延しているであろう渦中にある国で、こんなにも高品質が求められる中国という土地で、しかもこれからどんな追加契約条文を課されるか分からない中国の工場とのやり取りで本当に大丈夫だろうか、もうすでに、中国がコスト安というのは過去の話で、正直そんなに安くもなくなったし、現地の管理も面倒だから、そろそろこれを機に脱・中国をしてもいいんじゃないか…」
という日系企業ならではの考え方が出てきてもおかしくない、というのが、私個人の見解です。
一方で、中国政府の方針から自国内での流通や詐欺・犯罪の規制もあり、中国政府の指導・指定する物資の義務付けを行い始めます。
日本側のその他のメーカーからこのタイミングで、ウィルスの殺菌効果のあるものの販売販促ができませんかというお問い合わせがきています。
殺菌効果の期待できるオイル(食用)
各ウィルスの死滅効果のあるマスク用繊維
某飲料品メーカー様の乳酸菌飲料
その他
かねてより、自国製品を自国で売りたかった中国政府の方針、考え方にいよいよ拍車がかかり他国からの輸入にはますます厳しい規制がかかり始めるだろうと予測しています。
ですので、中国に必要なものを販売できるビジネスチャンスだと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、現実的にはさまざまな規制が壁になってくる可能性がありますので、慎重に参入を検討していただくのが良いかと思います。
今後の中国側の対応(予測)
海外からの輸入品に関しては、(特に医療物資関係は)少なくとも以下三点の資料が義務付けられます(下記画像資料)
製造ライセンス規約
医療機器用登録証明書
テストとレポート/レポートと検出と分析
出典元:中国政府発行情報元
中国国内の工場で中国の国内消費を目的とし、医療物資メーカーが製造を開始し、他国に頼らない道の模索とそれを叶える意思決定の速さ・実行力の高さが発揮されることでしょう。
上記により製造された中国の国内メーカーから、新型コロナウイルスが広まっている海外への出荷もなされていくことで、中国品質の高さが世界に知れ渡る可能性があります。
また、コロナウィルスへの対抗ワクチンの研究、開発、及び中国資本製薬会社の成長が加速していくことでしょう。アメリカ資本製薬会社も同様にワクチンの研究を進めているので勝負をどちらが制すかが鍵です。
(参考:https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/01/post-92262.php)
まとめ
そもそも中国は自国で作って自国で売って自国で消費する、という方針があった一方で、日本などの品質の高い商品を高い関税払ってでも仕入れていたのですが、いまいち政府もパワーを使ってこれらを思うように制御するきっかけがなかったわけです。
が、新型コロナウイルスの一件が(表現が悪いのですが敢えて言うと)不幸中の幸いで、これでようやく海外からの製品に名実ともに規制をかけられるきっかげができたわけです。
これからは医療物資に限らず、より多くのものに、規制がどんどんかかっていきます。
現に日本の東北地方で作られたものにはやはり(放射性物質がついていないことを証明するための)証明書が複数課されています。
(参考:https://www.maff.go.jp/j/export/e_shoumei/china_shoumei.html)
こういうことがこれからも増えるのではないか、というのが私の読みです。
こういった、中国政府の思惑によって、いくらでも規制がかかってしまう可能性があるのが、中国に対してビジネスをしていくにあたってのリスクだと言えるでしょう。
とはいえ、圧倒的な人口を抱える中国は大きな市場です。このチャンスを日本の方にも提供したいと思いますので、ぜひ機会があれば一緒に皆さんとなにかできればと思います。興味があったら相談をしてください。
光本 貴一 / Kiichi MitsumotoJupyter株式会社 / Jupyter Inc
Chat GPTのようなGPTモデルの登場により、多くの業界で働き方に変化がもたらされると予想しています。これらの変化に対応できる効果的なシステムソリューションを開発し提供することが私たちの使命です。 2024年現在、勤怠管理システムは数多く存在しますが、私たちが求める機能を備えたシステムに出会ったことはありません。私たちは「ないものには理由がある」と考え、それを克服する決意です。私たちの目標は、ないものをあるものに変え、勤怠管理システムに自由をもたらすことです。この事業を通じて、個人の働き方を改善し、社会の生産性向上に貢献することを目指しています。 また、開発においては、ユーザーが使いたくなるシステムを提供することで、システムに新たな自由と可能性をもたらし、意義のある事業を展開することを目指しています。 We anticipate that the emergence of GPT models, such as Chat GPT, will bring changes to work styles across many industries. Our mission is to develop and provide effective system solutions to adapt to these changes. As of 2024, there are many attendance management systems available, but we have not encountered a system that possesses the functions we require. We believe that “there is a reason for the absence of something,” and we are determined to overcome this. Our goal is to turn what does not exist into something that does, bringing more freedom to attendance management systems. Through this business, we aim to improve individual work styles and contribute to the enhancement of societal productivity. Additionally, in our development, we aim to provide systems that users want to use, bringing new freedom and possibilities to the systems and developing meaningful businesses.
Jupyter株式会社 / Jupyter Inc
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