
白糠町のカレイが“空を飛ぶ”? 株式会社イミュー×北海道白糠町、新たな高付加価値漁業モデルに挑戦
「地域に根を張り、日本を興す」を掲げる株式会社イミューが、北海道白糠町で進める高付加価値漁業の官民連携プロジェクト第2弾として、「空飛ぶタンタカプロジェクト」が本格始動した。地元で“タンタカ”と親しまれるカレイを活魚のまま、東京へ運ぶという前例のない試みで、地域資源を最大限に生かした持続可能な一次産業の新たな収益モデルを描く。
アイヌ語に由来する“タンタカ”の魅力を全国へ
白糠町は北海道東部に位置し、太平洋に面した豊かな漁場を有する町だ。この地域では「マツカワ(松皮)カレイ」「柳カレイ」が水揚げされ、カレイ類の中でも特に味が良いとされている。地元ではカレイを「タンタカ」と呼び、その語源はアイヌ語に由来するという。地域に根付いた呼称は、白糠の海が育む恵みを象徴している。
官民連携の“鮮度保持水槽施設”が生む付加価値
イミューは2024年9月から白糠町および白糠漁業協同組合とともに「鮮度保持水槽施設」の運用を開始。漁獲した魚を生きたまま港に持ち帰り、ストレスを軽減して低活性化させることで、魚体を落ち着かせ臭みのない身を作り出す技術だ。初年度は天然ブリでの実証実験に挑戦し、船上選別や神経締め・血抜きなど、新たな流通ノウハウを確立した。
この成功を足がかりに、2025年6月からは“タンタカ”の活魚輸送に挑む。ブリの技術を応用し、鮮度保持水槽で活かしたまま空輸することで、前浜の味をそのまま東京の食卓へ届ける。
最短24時間で豊洲へ “空飛ぶタンタカ”誕生
「空飛ぶタンタカプロジェクト」では、白糠で水揚げしたカレイを、釧路空港から空輸し東京・豊洲市場へと送る。イミュー独自の鮮魚物流網に陸路運送会社、航空会社が連携することで、最短24時間以内の活魚流通を実現した。このスピード輸送によって、漁師が手塩にかけて育てた魚が最高の鮮度で消費者に届き、付加価値を最大化できる仕組みとなっている。

持続可能な地域漁業モデルを全国に
イミューの代表取締役・黒田氏は、「この取り組みは前浜の水産物を高付加価値化するだけでなく、地域の新たな収益モデルを構築するものです。漁師さんと共に持続可能な一次産業の未来を切り拓きたい」と語る。今後は“タンタカ”に続き、未利用魚やその他の海産物への応用も視野に入れる。なお、すでに白糠町では、イミュー子会社の株式会社シラリカが「極寒ぶり®」や「本ししゃも」のブランド化を進めており、ふるさと納税やPRを通じて全国にその価値を届けている。
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(TOMORUBA編集部)