クリエイターの6割が収益化!国内で広がる「クリエイターエコノミー」の実態と事例
新規事業やオープンイノベーションのプレイヤーやそれらを実践・検討する企業の経営者はTOMORUBAの主な読者層ですが、こうした人々は常に最新トレンドをキャッチしておかなければなりません。そんなビジネスパーソンが知っておきたいトレンドキーワードをサクッと理解できる連載が「5分で知るビジネストレンド」です。キーワードを「雑学」としてではなく、今日から使える「知識」としてお届けしていきます。
今回のテーマは「クリエイターエコノミー」です。技術の進化で創作活動が民主化され、多くの人がクリエイターと呼ばれるようになりました。そのため、クリエイターをとりまく環境はここ数年でがらりと変わり、経済圏(エコノミー)を形成しています。
クリエイターエコノミーはどのように発達し、社会にどんな影響を与えるのでしょうか。解説していきます。
クリエイターエコノミーとは個人のクリエイターが収入を得ることで形成された経済圏
クリエイターエコノミーとは、個人のクリエイターが収入を得ることで形成された経済圏です。インターネットが発展したことで、個人が誰でもクリエイターになることが可能になり、組織に所属することなく収入を得ることが可能になり、さらに個人のクリエイターを支援し、顧客となることもハードルが下がっています。クリエイターエコノミーによって、生産者と消費者の双方にとってオンラインの経済活動ができる場が広がっています。
米国のベンチャーキャピタルSignalFireが作成したクリエイターエコノミーのカオスマップでは、クリエイターエコノミーの種類は3種類に分けられています。
●メディアプラットフォーム:YouTube、TikTok、インスタグラム、Twitchなどのコンテンツを配信するプラットフォーム
●インフルエンサーマーケティング:クリエイターの創作物を広告やマーケティングに活用するサービス
●課金プラットフォーム:消費者が直接クリエイターの創作物を購入するなど、課金によるコンテンツ売買ができるプラットフォーム
出典:What is the creator economy? Influencer tools and trends | SignalFire
クリエイターエコノミーはクリエイターだけでなく、消費者(ファン)、サービス、プラットフォームなどのプレイヤーが形成している経済圏だと言えます。
クリエイターエコノミーの国内市場規模は1.4兆円
マーケティング企業のNeoReachが2021年に公開したレポートによると、グローバルのクリエイターエコノミーの市場規模は約1,042億ドル(約14兆円)となっています。また、クリエイターエコノミー協会と三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2022年に共同で実施した調査では、国内のクリエイターエコノミーの市場規模は1.4兆円となっています。つまり、グローバルの10%程度のシェアを日本市場が占めていることになります。
同調査では、15〜69歳の男女の10%がクリエイターとして活動しており、クリエイターの約6割は収益を得ていることがわかっています。クリエイターの平均収入は12.8万円/月で、月収100万円を超えているクリエイターは全体の2%とのことです。
国内で加速するクリエイターエコノミーの事例
政府は2022年6月に閣議決定した骨太の方針の中の社会課題の解決に向けた取組として、「クリエーターの創作活動の支援」を盛り込んでいるなど、今後もクリエイターエコノミーの広がりは国内で加速していくことが予測されます。
国内でクリエイターエコノミープラットフォーム『Mechu』を開発・運営するミーチューは2022年11月、JR東日本グループのCVCであるJR東日本スタートアップからなどから7000万円の資金調達を実施し、総額調達額は2.4億円に達しています。
また、大日本印刷は2017年からクリエイターエコノミープラットフォーム『FUN'S PROJECT』を始動しています。アニメやマンガ、ゲームなど日本が強みを持つカテゴリのコンテンツに注力し、ブロックチェーン技術を導入した販売システムを取り入れるなど、先進的な事例を生み出しています。
参照記事:クリエイターエコノミープラットフォームを運営するミーチュー | 資金調達を実施し、JR東日本スタートアップと資本業務提携
参照記事:コンテンツビジネスの影の立役者・DNPが、共創の力でクリエイターとファンをつなぐ
【編集後記】今後さらに多くの人が経済圏に関わるように
SNSでなにかしらの投稿をしたり、それを閲覧していればクリエイターエコノミーに含まれるわけですから、クリエイターエコノミーに関わらず生活することが難しいくらい経済圏が広がっていると言えるでしょう。さらにクリエイターの6割がマネタイズしているというファクトからもわかるように、収益化のハードルは限りなく低く、誰でも収益を得ることが可能な状態になりました。今後、技術の発展も重なってこの流れは一層加速しそうです。
(TOMORUBA編集部 久野太一)
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