
日本発の自動運転タクシー、事業化へ前進 newmoとティアフォーが協業を発表
タクシー・ライドシェア事業を展開するnewmo株式会社と、「自動運転の民主化」を掲げる株式会社ティアフォーは、日本国内での自動運転タクシー事業化に向け協業を開始する。
自動運転タクシーは、米国や中国の一部都市では既に一部で実用化が進み、米サンフランシスコでは配車アプリ経由の自動運転車両がライドシェア市場の27%を占めるとのデータも示されている(※Trends – Artificial Intelligence、Bond Capital、2025年5月)。
こうした海外勢の台頭を背景に、急速に高齢化と人口減少が進む日本でも、自動運転による新たな移動サービスの社会実装は待ったなしの状況だ。
政府目標と海外勢の進出
政府は「モビリティDX戦略」において、2027年度までに全国100カ所以上での自動運転移動サービス実現を目指している。最近では、米国や英国に拠点を置く自動運転タクシー事業者が、日本の都市部で公道データ収集を始めるなど、海外プレーヤーの日本市場参入も加速している。こうした中、国内発の自動運転タクシーの早期事業化は、地域の移動インフラを支えるだけでなく、海外勢に対抗する国産モビリティの重要な柱として期待される。
Autowareを活用、1,000台規模の展開へ
両社の協業では、ティアフォーが開発を主導する自動運転用オープンソースソフトウェア「Autoware」を活用。世界各地の多様な環境下で実証実験を重ねてきた実績をベースに、安心・安全な自動運転タクシーの事業化を目指す。
一方、newmoは現在、大阪府内を中心にタクシー車両1,000台以上を保有する事業基盤を活かし、既存のタクシー・ライドシェアオペレーションのノウハウを自動運転領域に応用する考えだ。
将来的には、地域に根ざした自動運転タクシーの展開を大阪から全国へ広げる構想を描く。
両代表が語る「地域の移動インフラを支える使命」「移動で地域をカラフルに」持続可能なモビリティを
ティアフォーの代表取締役CEO・加藤氏は「Autowareを基盤に地域やパートナー企業と自動運転の社会実装を進めてきた経験を活かし、newmoとの協業でタクシー向け自動運転技術の開発を加速する」と述べ、地域に新たな移動インフラを築く意気込みを示す。
また、newmoの代表取締役・青柳氏は「人口減少に伴う地域の深刻な移動課題を解決する手段として、自動運転タクシーは次代のインフラを築く重要な一歩」とし、これまで培ってきたオペレーションの知見を最大限に活用して、日本発の自動運転タクシーを着実に前進させるとした。
「移動で地域をカラフルに」持続可能なモビリティを
newmoは、「移動で地域をカラフルに」をミッションに掲げ、タクシー・ライドシェア・配車アプリなど多様なサービスを展開してきた。地域資源とテクノロジーを組み合わせ、持続可能な交通インフラを築く方針は、自動運転タクシーの社会実装とも親和性が高い。
一方、ティアフォーは世界初のオープンソース自動運転ソフトウェア「Autoware」を基盤に、国内外のパートナーと連携し、自動運転の普及を加速させてきた実績を持つ。
今回の協業が、海外勢に対抗する「日本発の自動運転タクシー」モデルの創出につながるのか、今後の展開に注目が集まる。
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(TOMORUBA編集部)