自動運転の民主化を掲げるティアフォー、Elmとサウジアラビアで自動運転ソリューションを推進へ
自動運転の民主化を掲げる株式会社ティアフォーは、サウジアラビアの大手デジタルソリューション企業Elm社と、自動運転技術の提供および現地実装に向けた戦略的提携に関する覚書(MoU)を締結した。両社は、サウジアラビアの多様な環境に適した自動運転モビリティサービスの実現と、それを支える人材育成を推進していく。
サウジアラビアの環境に適応した自動運転社会の構築へ
2015年設立のティアフォーは、オープンソース自動運転ソフトウェア「Autoware」の開発を主導し、国内外の自動車メーカーや交通事業者と協業を展開。これまで日本国内で多様な環境下での自動運転実証を重ね、社会実装に向けた知見を蓄積してきた。今回のElmとの提携は、中東という新たなフィールドで、自動運転の社会実装と人材育成を両立させる挑戦の始まりといえる。一方Elmは、中東地域においてデジタルソリューションや自動運転技術を展開しており、サウジアラビアにおけるDXの中核を担う存在だ。両社の技術と経験を融合することで、安全性と拡張性に優れた自動運転システムの導入を加速させる構えだ。また、日本とサウジアラビア両政府による産業・イノベーション分野での協力強化の動きとも連動し、国家規模での展開が期待されている。
3つの重点領域で協業を推進
今回の提携では、主に以下の3領域で協力を進める。
ロボットタクシーなど新モビリティの推進
サウジアラビア特有の走行環境や規制に合わせた自動運転型モビリティサービスを展開。観光・物流・都市交通など多方面での活用を想定する。
教育・人材育成プログラムの共同実施
自動運転用オープンソースソフトウェア「Autoware」を活用した大学・研究機関向け教育プログラムや、自動運転レーシング競技などを通じた次世代エンジニアの育成を支援。
中東圏でのAutowareエコシステム構築
ソフトウェア・ハードウェア・人材・研究を有機的に連携させ、自律走行技術の地域的拠点形成を目指す。
「Saudi Vision 2030」実現を後押し
サウジアラビア政府は国家戦略「Saudi Vision 2030」のもと、経済多角化と社会変革を進めており、2030年までに公共交通の15%を自動運転化する目標を掲げており、今回のティアフォーとElmの連携は、その実現に向けた具体的ステップとして位置づけられている。加えて、ティアフォーは経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創事業」の一環として、モビリティサービス構築と人材育成の両輪でサウジアラビアの発展を支援する。
両社代表のコメント
ティアフォー 代表取締役 執行役員 CEOの加藤真平氏は 「2030年のリヤド万博に向け、日本とサウジアラビアの連携が深まる中、Elmとのパートナーシップは自動運転の民主化をさらに前進させる重要な一歩です。技術革新と教育を通じて、現地社会に新しい価値を提供していきます。」と述べた。また、Elm 公式報道官兼マーケティング担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのMajid bin Saad Alarifi氏は、「ティアフォーとの協業は、サウジアラビアがスマートモビリティの国際的リーダーとなるための重要な機会。効率性・持続可能性・生活の質の向上に寄与する」と語っている。
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(TOMORUBA編集部)