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画像生成AIはなぜ「世界を変える」のか?ビッグテックが拒む「一般公開」と「オープンソース」がもたらす影響力とは

画像生成AIはなぜ「世界を変える」のか?ビッグテックが拒む「一般公開」と「オープンソース」がもたらす影響力とは

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新規事業やオープンイノベーションのプレイヤーやそれらを実践・検討する企業の経営者はTOMORUBAの主な読者層ですが、こうした人々は常に最新トレンドをキャッチしておかなければなりません。そんなビジネスパーソンが知っておきたいトレンドキーワードをサクッと理解できる連載が「5分で知るビジネストレンド」です。キーワードを「雑学」としてではなく、今日から使える「知識」としてお届けしていきます。

今回取り上げるのは「画像生成AI」についてです。テック業界の間では、画像生成AIは革命的な技術だという声がありますが、どのような点が革命的なのでしょうか。また、今までも画像生成AIはあったにも関わらず、なぜ今のタイミングで議論が活発になっているのか、そして懸念や課題はどのようなものか、本記事で解説していきます。

AI関連サービスは軒並み高成長率を続ける見込み

本連載では取り上げたテーマに関する市場規模を冒頭に紹介することが多いですが、画像生成AIについては昨今急激に立ち上がった分野であるため未だ市場規模のレポートがほとんど無い状態です。

参考までに、IT専門調査会社IDC Japanが2022年3月に公開しているAI市場のレポートによると、2022年の売上額はグローバルで4,328億ドルとなっており、今後5年のAI関連サービスの年間平均成長率はどの分野も非常に高い水準となっています。


出典:2022年、AIソリューションへの企業支出は19.6%増加とIDCが予測

品質の高い画像生成AIサービスが立て続けにリリースされ話題に

今年に入って、高いクオリティの画像生成AIサービスが続々と誕生しています。4月にはイーロン・マスク氏も出資している米国のAI開発企業のOpenAIが『DALL・E2』を発表、5月にはGoogleが『Imagen』を発表、そして6月には同じく米国のAI開発企業であるMidjourneyが『Midjourney』を発表しました。DALL・E2とMidjourneyはベータ版として有料版が利用できますが、Imagenは一般公開されていません。

さらに、8月には英国のAI開発企業Stability AIが無料から利用できる画像生成AIサービス『Stable Diffusion』を一般向けに公開しました。

いずれのサービスも、描きたい絵をテキストで指示することでそれに応じた絵をAIが生成してくれるというものです。このような画像生成AIは「世界を変える技術だ」と言われることがしばしばありますが、どのような点が革命的なのでしょうか。

Stable Diffusion無料公開のインパクトは未知数

画像生成AIにはいくつか懸念される点があります。それは「社会への影響が大きすぎる」ということです。大企業にとっては、影響力の大きすぎるプロダクトを一般公開するのはリスクが大きくなります。OpenAIはメガベンチャーと呼ばれる規模ですし、Googleは言わずと知れたビッグテックの一角です。

「影響力」とは具体的に、生成した画像に好ましく無い結果が反映されてしまう可能性があることです。OpenAIは過去に自動で文章を生成するサービスを発表していますが、生成された文章に差別的な文言があることが問題となりました。大企業にとってこのような懸念事項を持ったプロダクトを一般公開することはリスクが大きすぎたのです。

ところが、Stable Diffusionは無料で一般公開されているだけでなく、ソースコードも公開していて、さらに生成した画像はライセンスを明記すれば無料で商用利用することも可能です。Stability AIは画像生成AIサービスをマネタイズの柱にするよりも、自社の価値観である「優秀なAIを民主化する」ことを優先したのです。


▲筆者がStable Diffusionで生成した「絵画風に描いたスタートアップピッチ」のスタディ

これによって誰でも画像を生成し、利用できるようになりますし、ソースコードを参照して別の画像生成AIサービスを開発することも可能になります。

Stable Diffusionが民主化されることでどのようなインパクトがあるのかは未知数で、「プログラム×アート」の分野に詳しいTHE GUILDの深津貴之(fladdict)氏は自身のブログで以下のように語っています。

このAIが世に出れば、創作の世界は大きくかわることは確かだ。商習慣、制作工程、マーケットサイズ、社会的価値…あらゆるものが、数年内に大転換を強いられる。

引用:世界変革の前夜は思ったより静か|深津 貴之 (fladdict)|note

創作にかかるコストが極端に下がることでさまざまな影響が出ることが考えられます。ゲームのアイテムのグラフィックを無制限に生成すること、1ページごとに小説の挿絵をいれること、資料の図を生成することなどです。

加速度的に画像が作成されることで、人間による創作物の総量をAIの作成した作品が上回ることは時間の問題とも考えられます。

【編集後記】国内でも画像生成AIを活用した事例が出てきている

今後どのような展開を迎えるのか予測が難しい画像生成AIについて解説しました。画像生成AIの技術は日本でも活用されていて、フリー画像サイトの『ぱくたそ』はAIで生成した画像の配布を開始しています。また、LINEから日本語の指示でStable Diffusionによる画像生成ができる『お絵描きばりぐっどくん』は友達登録数が200万人を超えるなど、画像生成AIの急速な普及が進んでいることがうかがえます。

(TOMORUBA編集部 久野太一)


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