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時間効率にお金を払うタイパ消費。Z世代が課金するグルメ、エンタメ、ECの特徴とは

時間効率にお金を払うタイパ消費。Z世代が課金するグルメ、エンタメ、ECの特徴とは

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新規事業やオープンイノベーションのプレイヤーやそれらを実践・検討する企業の経営者はTOMORUBAの主な読者層ですが、こうした人々は常に最新トレンドをキャッチしておかなければなりません。そんなビジネスパーソンが知っておきたいトレンドキーワードをサクッと理解できる連載が「5分で知るビジネストレンド」です。キーワードを「雑学」としてではなく、今日から使える「知識」としてお届けしていきます。

今回のテーマは「タイパ消費」です。この動向は近年の消費者行動、特にZ世代における市場の新たな需要を理解するための重要な概念となりつつあります。本記事では、タイパ消費の現状とその背景、さらにはこれがビジネスにどのように影響を与えているかを探ります。

時間効率を重視するZ世代に支持されるタイパ消費

タイパ消費とは、時間効率(タイムパフォーマンス)を優先した消費行動を指す言葉で、主にZ世代のライフスタイルと価値観に関連しています。この世代は生まれた時からデジタル技術やソーシャルメディアと接している「デジタルネイティブ」であり、その消費行動もオンラインとオフラインの境界が曖昧です。

タイパと近い概念に費用対効果(コストパフォーマンス)を重視する「コスパ」という概念があります。コスパは支払った金額(コスト)に対してそれに見合う効果や体験が得られたかを重視するのに対して、タイパは費やした時間に対して得られた成果や満足感を重視するという点で異なります。

Z世代にとって「タイパが良い」とされているカテゴリは、トレンディな飲食店、手軽な内食、Eコマース、エンターテイメント施設といったものが挙げられます。加えて、持続可能性や倫理的な消費に重点を置いていることも特徴となっています。さらに、Z世代は体験型の消費を好む傾向があり、その範囲は文化的なものからクリエイティブなイベントまで、様々なアクティビティが含まれています。

タイパ消費の影響拡大が追い風となる分野

マーケティング専門メディアの日経クロストレンドが半期に一度公開している「トレンドマップ2023下半期」によると、タイパ消費は消費トレンドのカテゴリでスコア上昇率がトップとなっています。

出典:日経クロストレンド「今後伸びるビジネス」2023年下半期ランキングを発表

タイパ消費がトレンドとなることで追い風を受ける市場はいくつもあります。動画共有SNSの『TikTok』をはじめとするSNS市場、仕事の合間を縫って片手で食べられるワンハンドフードや短時間で料理が作れるミールキットといった内食市場、時短でスキンケアやメイクができる化粧品市場などが挙げられます。

タイパ消費の拡大はZ世代が主な原動力となっていますが、ミールキットなどは忙しい共働き夫婦世代の需要も反映しています。そのためタイパ消費はZ世代を中心に幅広い世代に波及していくことが予想されています。

Z世代に支持されるタイパ消費を提供するビジネス事例

Z世代のタイパ消費をターゲットにしたビジネスの事例をいくつか紹介します。

タイパグルメがそろう商業施設『EATo LUMINE(イイトルミネ)』

出典:BAKERs’ Symphony – HATCONNECT

今年4月にJR新宿駅のエキナカ商業施設としてオープンした『EATo LUMINE(イイトルミネ)』では、タイパ、コスパを意識した28店舗が集結しています。象徴的な店舗である『BAKERs‘ Symphony』には、100店舗以上のパン屋から集めた1000種類以上のパンが楽しめます。自分の足でお気に入りのパン屋を探す時間を省いて、多くの人気店舗から集まった人気のパンを選ぶことができるタイパグルメのお手本と言えるでしょう。

ディズニーリゾートなどで取り入れられるアトラクション予約

エンターテイメント分野のタイパ消費として代表的なものは東京ディズニーリゾートでも2022年5月から取り入れられている時間指定によるアトラクション予約です。追加料金を支払うことで効率的にパーク内を楽しめるようになるため、人気を集めています。

また、ディズニーシーに新たに誕生した『ファンタジースプリングス』のエリア内にオープンする『ファンタジースプリングスホテル』の宿泊者には新エリアを優先的に楽しむことができるオプションもあります。

いずれも比較的高額ではありますが、タイパを重視する消費者にとっては決して高いものではないと受け入れられています。

参照ページ:【公式】東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテル

即時性・双方向性を兼ね備えたライブコマース

Z世代はオンラインショッピングを好む傾向があります。なかでも小売業者がインスタグラムやTikTokを活用したライブコマース(ライブ配信での販売)は、その場で商品が購入できる即時性や、コメントなどで配信者とコミュニケーションができる双方向性を兼ね備えており、タイパ消費を牽引しています。

国内でも、ライブコマース事業を手がけるクリップスと、ケーブルテレビ事業を手がける日本デジタル配信は共同で、ライブコマースをケーブルテレビでも配信する事業を展開しています。ライブコマースの露出面をテレビにまで拡大させることで、ターゲットの裾野を広げ、売上が最大化することに期待がかかっています。

参照記事:クリップス×日本デジタル配信 | ケーブルテレビでのライブコマース番組放送の実証実験を実施

編集後記

Z世代はデジタルネイティブであり、費やした時間に対して得られる体験を重視する傾向があることがわかりました。タイパ消費として人気の飲食店、テーマパーク、デジタルマーケットプレイスなど、幅広い市場で拡大していくタイパ消費が、Z世代だけでなく様々な世代に波及していくことが予想されます。

(TOMORUBA編集部 久野太一)

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