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位置情報を活用する「ジオターゲティング」がマーケティングに新風を巻き起こしている理由とは?市場動向や活用事例を紹介

位置情報を活用する「ジオターゲティング」がマーケティングに新風を巻き起こしている理由とは?市場動向や活用事例を紹介

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新規事業やオープンイノベーションのプレイヤーやそれらを実践・検討する企業の経営者はTOMORUBAの主な読者層ですが、こうした人々は常に最新トレンドをキャッチしておかなければなりません。そんなビジネスパーソンが知っておきたいトレンドキーワードをサクッと理解できる連載が「5分で知るビジネストレンド」です。キーワードを「雑学」としてではなく、今日から使える「知識」としてお届けしていきます。

今回取り上げるテーマは「ジオターゲティング」です。位置情報を活用したマーケティング手法のことを指しますが、なぜジオターゲティングに注目が集まっているのでしょうか。また、既存のターゲティング広告とはどのような差があるのでしょうか。そしてどのようなプレイヤーにとってメリットがあるのか、解説していきます。

ジオターゲティングはスマホやノートPCから取得した位置情報を活用するマーケ手法

ジオターゲティングとは、スマートフォンやノートPCなどの位置情報を活用したマーケティング手法です。取得した位置情報は主に広告配信のターゲティングに利用され、ユーザーの趣味趣向にあわせた広告を配信できます。

位置情報を取得する方法はいくつかあります。スマートフォンやPCなどのデバイスに搭載されているGPSやIPアドレス、利用しているWi-Fi、またはビーコンのデータをジオターゲティングに活用しています。これらの情報は個人情報ですので、前提として個人情報を特定できないように秘匿性が保たれていると考えて良いでしょう。

一般的なターゲティング広告がユーザーの属性やウェブサイトの閲覧履歴などの情報を元に趣味趣向を推測して広告を配信していたのに対して、ジオターゲティング広告は位置情報から得た行動履歴から趣味趣向を推測して広告を配信することができます。

ジオターゲティングの市場規模は2025年に1900億円に成長する見込み

ジオターゲティングの市場規模は堅調に成長を遂げています。矢野経済研究所が2020年11月に公開したレポート「位置・地図情報関連市場に関する調査」では、2017年度から2025年度までの年平均成長率(CAGR)は6.3%となり、2025年の位置・地図情報関連市場規模は1,906億円に到達すると予測しています。

2020年度にはコロナ禍の影響で伸び率が下落していますが、その一方で感染症患者を追跡するツールとして世界各国が位置情報のモニタリングに至る監視テクノロジーの実験・導入に踏み切るなど、新たな可能性の模索も始まっています。

出典:位置・地図情報関連市場に関する調査を実施(2020年) | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所

ジオターゲティングを活用してできること

ジオターゲティングだからこそできるマーケティングとはどのようなものでしょうか。例えば、ユーザーがサッカースタジアムに頻繁に通っていることが行動履歴から取得できた場合、ユーザーがサッカー好きであることがわかります。

ウェブサイトの閲覧履歴でユーザーがサッカー好きかどうか判別するためには、例えばサッカー関連のウェブサイトの閲覧履歴が残っているなどの条件が必要ですが、ジオターゲティング広告であれば行動履歴からユーザーの趣味趣向を推測することができます。

また、ユーザーの位置情報と地域の特性を分析することで、スーパーマーケットや小売店、不動産店舗といったローカルな事業者の集客にも活用することも可能です。

前述の矢野経済研究所のレポートでは、ジオターゲティング分野ではグーグルが一歩リードしている状態であるとしながら、将来展望としていくつかのビジネスチャンスを示唆しています。

1.グーグルのプラットフォームにうまく乗ってアプリを作る

2.グーグルの捨てた部分もしくはグーグルがやりきれない部分をビジネスにする

3.他社との提携により、動態解析などの分析機能を強化した形のサービスにする

4.グーグルの得意なスマホ分野でなく、日本企業の得意な分野(例えば自動車、ウォッチ、建設機械、農業機械など)に着目する

ジオターゲティングを活用した国内事例

ジオターゲティングを活用した事例を紹介していきます。いま最も勢いのある位置情報アプリであるwhooは、リリースから3ヶ月で1000万ダウンロードを突破し、今年3月にMIXIから20億円の資金調達を実施したことでも話題となりました。

whooは友達と位置情報を共有することができるSNSで、これまではSnap社のZenlyというアプリがこの分野ではトップを走っていました。ところがZenlyがサービス終了したことで、国内ユーザーはwhooに鞍替えし、ユーザーを伸ばしています。whooはまだマネタイズをしていませんが、Zenlyと同様にアプリ上に広告を掲載することで、独自の位置情報データを使ったジオターゲティング広告を展開する可能性が高いでしょう。

参照記事:位置情報共有アプリ「whoo」を運営するLinQ、MIXIから最大約20億円の資金調達を実施

三菱商事、マップル、HERE Technologyの3社は、ジオターゲティングを観光業で活用するためのアプリを開発しています。会津若松市で実施された実証実験では、観光スポットである鶴ヶ城の訪問客にHEREのルーティング機能を活用してスポットをめぐるコースをアプリで提示し、レンタサイクルなどのモビリティの予約まで完結できます。

また、ユーザーの属性・格好情報とレンタサイクルのGPSから取得できる移動情報をかけあわせて分析することで、パーソナライズされた旅程提案、ストレスフリーな移動体験の実現などを目指しています。

参照記事:三菱商事×マップル | モビリティ×地域コンテンツの実証実験を「スマートシティ会津若松」で開始

【編集後記】どこまでパーソナライズされるか注目

広告商品にとってターゲティングの精度は価値に直結するキーポイントなので、ジオターゲティングのように新たな切り口でのターゲティング手法はとても貴重です。

オンライン広告は時に邪魔者扱いされてしまうケースもありますが、精度高くパーソナライズされれば生活はぐっと豊かになるでしょう。昨今では個人情報の取得に関して規制が厳しくなりつつありますが、ジオターゲティングはプライバシーにしっかり配慮した形で成長してほしい分野です。

(TOMORUBA編集部 久野太一)

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