TOMORUBA

事業を活性化させる情報を共有する
コミュニティに参加しませんか?

AUBA
  1. Tomorubaトップ
  2. ニュース
  3. 『ChatGPT』の何がすごい?Google一強時代をおびやかすポテンシャルとは
『ChatGPT』の何がすごい?Google一強時代をおびやかすポテンシャルとは

『ChatGPT』の何がすごい?Google一強時代をおびやかすポテンシャルとは

  • 9463
  • 9193
  • 9182
10人がチェック!

新規事業やオープンイノベーションのプレイヤーやそれらを実践・検討する企業の経営者はTOMORUBAの主な読者層ですが、こうした人々は常に最新トレンドをキャッチしておかなければなりません。そんなビジネスパーソンが知っておきたいトレンドキーワードをサクッと理解できる連載が「5分で知るビジネストレンド」です。キーワードを「雑学」としてではなく、今日から使える「知識」としてお届けしていきます。

今回取り上げるのは『ChatGPT』です。ChatGPTはビジネストレンドである前に、ひとつのプロダクト名ですが、そのインパクトはすさまじく、またビジネスモデルも常識外れであるため、特集のテーマにしました。

ChatGPTがなぜこれほど話題になっているのかを、客観的な情報をもとに解説していきます。

ChatGPTはチャット形式で自然言語処理タスクをこなすAI言語モデル

ChatGPTは人間のように自然な文章を生成することができる人工知能の言語モデルです。ChatGPTを開発したOpenAIはYコンビネーターの元代表であるサム・アルトマン氏がCEOを務める会社で、共同設立者としてイーロン・マスク氏も名を連ねていましたが、2018年に幹部を退職しています。

OpenAIはChatGPTだけでなく、2022年6月にAIによる画像自動生成サービス『DALL·E 2』をリリースしたことでも話題になったばかりです。


OpenAIのホームページより

参照記事:画像生成AIはなぜ「世界を変える」のか?ビッグテックが拒む「一般公開」と「オープンソース」がもたらす影響力とは

ChatGPTは自然言語処理タスクにおいて高い性能を発揮しています。例えば、文章の生成、翻訳、対話などの様々なタスクをチャット形式で行うことが可能です。日本語にも対応しています。

ChatGPTは有料化が検討されている

非常に高性能であることがChatGPTの特徴ですが、それにも関わらず公式のウェブアプリは利用が無料で、ほぼ制限なく使えます(2023年1月現在)。

では、ChatGPTはどのようなビジネスモデルを検討しているのでしょうか。OpenAIが運営するChatGPT以外のプロダクトでは『画像モデル』『言語モデル』のAPIを公開しており、開発者は自らのアプリケーションやサービスにそれらの機能を組み込むことができます。APIの利用は従量課金となっているので、ChatGPTもAPIの利用料でマネタイズする可能性があります。

前述の画像自動生成サービス『DALL·E 2』はリリース当初は無償で利用可能でしたが、2022年9月から有料版のみの提供に切り替えています。

CEOのサム・アルトマン氏はChatGPTのマネタイズについて、自身のTwitterでインフラのコストがかさむことから「どこかのタイミングで有料にしなければならない」とツイートしています。

ChatGPTは凄まじい速さでユーザーを獲得しており、リリースから5日で100万ユーザーに達したと創業者のグレッグ・ブロックマン氏がツイートしています。Instagramが75日、Spotifyが150日で100万ユーザーに達したことを加味すると、圧倒的なスピードであることがわかります。

さらに、サム・アルトマン氏のTwitterにイーロン・マスク氏が「チャットあたりのコストは?」と質問したところ「一桁セントだ」と回答しています。チャットあたり、十円前後のコストがかかっており、毎日コスト莫大なコストがかかっていることが予想できます。

ChatGPTの公式Discordではサービスの維持と改善を目的に有料化の検討を始めたことを発表しており、コミュニティ内で『ChatGPT Professional』のパイロット版の参加者募集のアンケートを実施しています。

ChatGPTとマイクロソフトがタッグを組み、Google一強時代を終わらせる?

米メディアのセマフォーが、マイクロソフトがOpenAIに100億ドルの投資を検討していると報じ話題になっています。取引は破談になる可能性もあるとのことです。マイクロソフトは2019年にもOpenAIに10億ドルの投資をしています。

マイクロソフトは検索エンジンBingを運営していますが、BingはChatGPTと統合する検討を始めているとも報道されています。

このBingの動きに対して、競合である検索最大手のGoogleでは経営陣が「コード・レッド」を宣言したとニューヨークタイムズが報じており、長年一強時代を築いてきたGoogleにとって、ChatGPTが脅威であることが伝えられています。

Googleも対話型AIのLaMDAを開発していて、ChatGPTと同等の精度が出ているとされていますが、LaMDAがGoogle検索を置き換えるプロダクトになるかは不明です。というのも、Google検索は広告収入が主な収入源であり、Googleの最も大きな売上の柱のひとつです。そのため、Google検索をLaMDAに置き換えるにはビジネスモデルの問題を解決しなければならないのです。

【編集後記】仕事の壁打ち相手として日常的に利用できる

筆者もChatGPTがリリースされて以降、毎日のように利用しています。特に、記事の切り口や構成を考える時、壁打ち相手としてChatGPTに質問することで仕事の効率が格段に上がったと感じます。また、本業ではないHTML/CSSを書かなければならない時も、ChatGPTにレビューしてもらうと清書されてフィードバックされるので便利です。これほどライフチェンジングなサービスが無料で使えることで、人間とAIの距離がグッと縮まったのではないでしょうか。

(TOMORUBA編集部 久野太一)


■連載一覧

第1回:なぜ価格が高騰し話題となったのか?5分でわかる「NFT」

第2回:話題の「ノーコード」はなぜ、スタートアップや新規事業担当者にとって有力な手段となるのか?

第3回:世界的なトレンドとなっている「ESG投資」が、スタートアップにとってチャンスである理由

第4回:課題山積のマイクロプラスチック。成功事例から読みとくスタートアップの勝ち筋は

第5回:電力自由化でいまだに新規参入が増えるのはなぜ?スタートアップにとってのチャンスとは

第6回:「46%削減」修正で話題の脱炭素。46%という目標が生まれた経緯と、潜むビジネスチャンスとは

第7回:小売大手がこぞって舵を切る店舗決済の省人化。「無人レジ」の社会実装はいつ来るか?

第8回:実は歴史の深い「地域通貨」が、挑戦と反省を経て花ひらこうとしているワケ

第9回:音声配信ビジネスが日本でもブレイクする予兆。世界の動向から見える耳の争奪戦

第10回:FIREブームはなぜ始まった?「利回り4%」「生活費の25倍の元本」など、出回るノウハウと実現可能性は

第11回:若年層は先進層と無関心層が二極化!エシカル消費・サステナブル消費のリアルとは

第12回:「ワーケーション」は全ての在宅勤務社員がターゲットに!5年で5倍に成長する急成長市場の実態

第13回:なぜいま「Z世代」が流行語に?Z世代の基礎知識とブレイクしたきっかけを分析

第14回:量子コンピュータの用途は?「スパコン超え報道」の読み解き方はなど基礎知識を解説

第15回:市場規模1兆ドルも射程の『メタバース』で何が起こる?すでに始まっている仮想空間での経済活動とは

第16回:『TikTok売れ』はなぜ起こった?ビジネスパーソンが知っておきたい国内のTikTok事情

第17回:パンデミックが追い風に。マルチハビテーションが新しいライフスタイルと地方の課題解決を実現できる理由

第18回:Web3(Web3.0)とは何なのか?Web1.0とWeb2.0の振り返り&話題が爆発したきっかけを解説

第19回:フェムテックで先行する欧米と追従する日本。市場が活気づいている背景とは?

第20回:withコロナに「リベンジ消費」は訪れるか?消費者の“意向”と実際の“動向”からわかること

第21回:子供が家族の介護をサポートする「ヤングケアラー」の実態と、その問題とは?

第22回:半導体不足はなぜ起きた?米中貿易摩擦、巣ごもり需要、台湾への依存などを解説

第23回:【ビジネストレンドまとめ】注目を集めた5つの事業ドメインとは?

第24回:長引くコロナ禍で顕著になる“K字経済”とは?格差が拡大する「ヒト」と「企業」

第25回:「パーパス」とはなぜ注目されるのか?誰のためのものか?5分でわかる基礎知識

第26回:NFT・メタバース・Web3はどう違う?注目を集める「新しいエコシステム」5選

第27回:サステナブルのさらに先いく「リジェネラティブ」とは?実践企業や背景を解説

第28回:16年で2倍に膨れ上がった『電子ゴミ』は何が問題なのか。唯一の解決策とは?

第29回:サウナビジネスはグローバルで健全な成長も、国内ではサウナユーザーは激減。サウナビジネスの最新事情

第30回:【ビジネストレンドまとめ】話題となった「社会課題」トレンド6選

第31回:Play to Earn(P2E)はなぜ注目を集めているのか?ビジネストレンドとしての基礎知識

第32回:脅威の市場ポテンシャルが期待されるクラウドゲーム。GAFAMやソニー、任天堂が参入するポイントを解説

第33回:FIRE、マルチハビテーションなど注目を集めるライフスタイルに関連するビジネストレンド4選

第34回:「ロボアドバイザー」はミレニアル・Z世代になぜ人気?コロナ禍で加速する新しい資産運用の形

第35回:加速する人への投資。岸田首相「5年で1兆円」の方針表明で注目集めるリスキリングとは?

第36回:画像生成AIはなぜ「世界を変える」のか?ビッグテックが拒む「一般公開」と「オープンソース」がもたらす影響力とは

第37回:クリエイターの6割が収益化!国内で広がる「クリエイターエコノミー」の実態と事例

第38回:ドローン分野でも特に熱い「空飛ぶクルマ」は加速度的な成長見込み!ユースケースやリードする国内企業とは