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驚異的な成長が見込まれる『デジタルヒューマン』の有力なユースケースとは?チャットボットとどう違う?

驚異的な成長が見込まれる『デジタルヒューマン』の有力なユースケースとは?チャットボットとどう違う?

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新規事業やオープンイノベーションのプレイヤーやそれらを実践・検討する企業の経営者はTOMORUBAの主な読者層ですが、こうした人々は常に最新トレンドをキャッチしておかなければなりません。そんなビジネスパーソンが知っておきたいトレンドキーワードをサクッと理解できる連載が「5分で知るビジネストレンド」です。キーワードを「雑学」としてではなく、今日から使える「知識」としてお届けしていきます。

今回取り上げるのは「デジタルヒューマン」です。近年、ChatGPTをはじめとしたAIプロダクトが飛躍的な成果を出し始めていますが、デジタルヒューマンも近い将来に大きな成長が期待されている分野です。

今後デジタルヒューマンがどのように活用されるのか、市場規模や事例などを踏まえながら展望を解説していきます。

デジタルヒューマンはデジタル空間で人間のようにふるまう3DCGキャラ

デジタルヒューマンとは、人間のような動きや表情を生成できる3DCGキャラクターの総称です。デジタルヒューマンの技術は、大きく分けて「3Dモデリング」「モーションキャプチャ技術」「人工知能(AI)技術」の3つの要素から構成されることがほとんどです。

ChatGPTのようにAIを駆使して双方向のコミュニケーションをとることができますが、デジタルヒューマンはチャットボットとは異なり人間と似た見た目をしていて、感情や声の抑揚などがあるため、より人間同士のコミュニケーションと近い体験を提供することができます。

デジタルヒューマンが担うことができる業務の具体例はいくつかあります。

カスタマーサービス

デジタルヒューマンをカスタマーサービスに活用することで、24時間365日、迅速かつ丁寧な対応を実現することができます。また、デジタルヒューマンは、人間の感情を理解して対応することができるため、顧客満足度の向上にもつながります。

教育

教育分野でも活躍が期待されています。例えばデジタルヒューマンをオンラインスクールの講師として活用することで、一人ひとりの学習レベルに合わせて学習を進めることができます。その他にも、デジタルヒューマンを模擬患者と見立てて、看護師や医師といった医療従事者のトレーニングに活用することもできるでしょう。

エンターテインメント

デジタルヒューマンはエンターテインメントとも相性が良いとされています。例えば、映画やテレビドラマ、ゲームなどのコンテンツにデジタルヒューマンを活用したキャラクターを登場させることで、よりリアルにコンテンツを楽しむことができます。また、ライブ配信やオンラインゲームなどにデジタルヒューマンを活用すれば、メタバースの世界をよりリッチに楽しむことができるはずです。

参照記事:市場規模1兆ドルも射程の『メタバース』で何が起こる?すでに始まっている仮想空間での経済活動とは

マーケティング

デジタルヒューマン活用方法の本命のひとつはマーケティングでの活用でしょう。例えば、デジタルヒューマンをモデルとして登用して広告や宣伝に活用することで、ブランドの価値をアピールをすることができます。また、デジタルヒューマンをチャットボットの上位互換として活用することで、顧客とのコミュニケーションをより効果的に行うことができます。

デジタルヒューマンの市場規模は2032年まで年平均成長率34%で推移する見込み

デジタルヒューマンの市場は急激な速度で成長しています。米国の調査会社EMERGWN RESEARCHが2023年7月に公開したレポートによると、デジタルヒューマンアバターの市場規模は2022年に295億ドルで、2032年には5612億ドルとなる予測です。これは予測期間(2023-2032年)の年平均成長率(CAGR)が34%に及ぶ計算です。

出典:Digital Human Avatar Market Size, Share, Industry Forecast by 2032

この34%という成長率は非常に高いもので、例えば、ビッグデータのCAGR(2022-2030年)が11%であることや、クラウドコンピューティングのCAGR(2021-2030年)が19%であることと比較するとわかりやすいでしょう。

地域別に市場規模を見ていくと、2022年時点では北米が最大のシェアを占めました。アジア太平洋地域は2032年までの予測期間で最もCAGRが高くなると予想されており、中国企業のテンセントが生成AIテクノロジーにおいて先行していることなどからシェアを拡大する見込みです。ヨーロッパでもエンタメやファッションといった業界でデジタルヒューマンが導入されることで、安定したCAGRで推移することが予想されています。

デジタルヒューマンの活用事例

人型AIプラットフォーム『LUDENS』を開発する日本のAIベンチャーであるクーガーは、独自の技術で構築した『バーチャルヒューマンエージェント(VHA)』を開発し、デジタルヒューマンのプロダクト『RACHEL(レイチェル)』をリリースしています。

出典:RACHEL

レイチェルは人間のように直感的でありながら高度な検索や分析能力を持っています。ひとりひとりにパーソナライズされたコミュニケーションをとることができ、2022年11月には大手コンビニチェーンのファミリーマートのフランチャイズ5000店舗がレイチェルを導入し、商品の発注支援を支援している事例があります。

他にも、デジタルヒューマンによるVTuber『Neuro-sama』は、ライブ配信プラットフォームTwitchで約40万人のフォロワーを抱える人気のストリーマーとして人気を博しています。Neuro-samaにどのような技術が用いられているかはあまり明かされていませんが、開発者のVedal氏はKAI-YOUのインタビューで大規模言語モデル(LLM)が使われていることを明かしています。

【編集後記】デジタルヒューマンはエンタメ領域から一般層に浸透していきそう

デジタルヒューマンはチャットボットに表情やしぐさ、感情が加わったものだと考えるとわかりやすいです。より人間とのコミュニケーションに近づいていくことで、私たちの生活を変えていくことが予想されますが、やはり相性がいいのはエンタメ領域でしょう。例えば、現時点ではリアル店舗の店員さんがデジタルヒューマンに置き換わるとやや抵抗感がありそうですが、ゲームのキャラクターをデジタルヒューマンに置き換わっても抵抗は少なそうです。エンタメをきっかけにデジタルヒューマンが当然のように認識され始めたら、一気に普及していきそうな予感がします。

(TOMORUBA編集部 久野太一)

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