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6カ月でユーザー30倍、米国で勢い増す「新興SNS」の正体 成長の要は“クローズド”や“特化型”

6カ月でユーザー30倍、米国で勢い増す「新興SNS」の正体 成長の要は“クローズド”や“特化型”

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海外発の「新興SNS」が存在感を増している。2021年に米国で誕生したクローズド写真共有SNS「yope(ヨープ)」は、月間アクティブユーザー数が220万人となり、ユーザー数は6カ月で約30倍に増えた(2025年2月時点)。2011年にニュージーランドで誕生した映画特化型SNS「Letterboxd(レターボックスド)」は、2025年以降にZ世代に爆発的ヒット、ユーザー数は2,700万人を突破した(2026年1月時点)。

世界のスタートアップが取り組むイノベーションの"タネ"を紹介する連載企画【Global Innovation Seeds】第77弾は、米国で注目されている3つの「新興SNS」を取り上げる。見えてきたのは、“クローズド”や“特化型”の戦略だ。

サムネイル提供:SHIBUYA109エンタテイメント、Partiful

友人間で思い出共有「yope」 ユーザー30倍のワケ

クローズド写真共有SNS「yope」は、2021年に米国で創業したYOPEによって誕生した。最大の特徴は、「映え」「アルゴリズム」「フォロワー数」といった“SNS疲れ”を起こす要素を排除したこと。その要点を以下にまとめた。

▲クローズド写真共有SNS「yope」の利用イメージ(出典:yopeのApp Store)

①友人のみの限定アルバム

yopeでは、「ウォール」と呼ばれるアルバム内で写真やメッセージを共有する。ウォールに入れるのは指定したユーザーのみで、見知らぬ人は介入しない。つまり、フォロワー数や外部からの評価を気にせずに済む。

②「加工」しない

InstagramやSnapchatでは当たり前になっている「加工」も、yopeにはない。アプリを起動して撮影した写真のみを無加工で投稿する。カメラロールに保存された写真は使用できない。

③自動でコラージュ

投稿した写真は、相手のスマートフォンのホーム画面にウィジェットとして表示される。また、アプリ内では投稿されるたびに「1枚のコラージュ」が自動作成される。友人や恋人同士の写真がつながり、ストーリーのように表現されるのだ。

▲写真が投稿されるたび、自動でコラージュが作成される(出典:SHIBUYA109エンタテイメントのプレスリリース)

こうした、今までのSNSに“あるようでなかった”機能が、既存のSNSに不満を抱いていた若者に刺さった。2025年2月時点で月間アクティブユーザーは220万人となり、ユーザー数は6カ月で約30倍に増加した。ユーザーの平均年齢は18歳だ。(報道参照)基本機能は無料で提供されており、有料のプレミアムプランを購入すると、より柔軟に使用できる。

yopeは、日本でも写真共有の文化が根付くZ世代に支持を得ているという。若者マーケティング研究機関「SHIBUYA109 lab.」が選ぶ「トレンド予測2026」では、「モノ・コト部門」にランクインした。

国を超えて人気を広げるyopeは、2025年2月時点で、465万ドル(約7億5,000万円)の資金調達を完了。評価額は5,000万ドル(約80億8,000万円)にのぼるという。2025年中に5000万人のユーザー拡大を目指しているとも報じられたが、今のところ続報は見られなかった。

好調が報道される一方で、気になるのはレビューに寄せられた「不満」の声。アップデートにより、「写真が見づらい」「文字が読みづらい」「余白が多すぎる」といった不満が複数見られる。これらの意見に対し、運営チームは「改善を検討している」と丁寧に回答しているものの、せっかくファンになったユーザーが離れてしまいかねない。使い慣れたInstagramやSnapchat、LINEとは明らかに差別化しながら、ユーザーの真の満足を追求していく姿勢が求められそうだ。

映画特化型「Letterboxd」 映画好きを魅了した5つの要因

映画特化型SNS「Letterboxd」は、2011年にニュージーランドで生まれた。鑑賞した映画のレビューや記録、5つ星評価を投稿できるほか、他ユーザーの投稿にリアクションをしたり、特定のテーマで投稿をリスト化したりもできる。公式情報がまとまった映画データベースや映画評論家による批評ではなく、映画好きの人々による投稿が特徴だ。

▲映画特化型SNS「Letterboxd」が近年人気を拡大している(出典:Letterboxdの公式ホームページ)

基本的な機能は無料で使えるが、有料のプロプランを購入すると全機能にアクセスできる。また、特定の映画を有料でレンタルできるサービス「Letterboxd Video Store」も備える。

それほど注目されていなかった同SNSにとって転機となったのは、「コロナ禍」だった。外出できなくなり時間を持て余した人々が映画を観るようになり、ニーズが急増。2020年初頭に170万人だったユーザー数は、2026年1月時点で約15倍の2,700万人を突破した。

Letterboxdとそれほど変わらない時期(2010年10月)にリリースされたInstagramは、今や14.78億人の月間アクティブユーザー数(Statista参照、2022年1月時点)を誇る。比較するとLetterboxdの成長スピードはゆるやかだが、映画好きのニーズを満たすことで、独自のポジションを確立している。以下に、成長を促進した5つの要因をまとめた。

①主役は「映画」であり、「人」ではない

一般的なSNSは、「アカウント=人」が主役になる。その点、Letterboxdは主役が「映画」となる。フォロー、いいね、コメントといった通常のSNSにある機能は備えているが、InstagramやX、TikTokほどの承認欲求は抱きづらい。そのため、使い続けるストレスが少ないと予想される。映画を軸としたUIではあるが、各ユーザーが鑑賞した映画やレビューの結果から、自ずと“その人らしさ”が浮かび上がる側面もある。

▲「映画」を主役にした収集心理を突くUIを採用している(出典:Letterboxdの公式ホームページ)

②「収集心理」を突く

鑑賞した映画のコレクションを記録することで、プロフィール上にコンテンツが溜まっていくのは、心理的な満足度につながりやすい。プロフィールには「お気に入りの映画4本」のほか、これまでに鑑賞した映画やレビュー、作成したリストなどが一覧で閲覧できる。収集心理を突くようなUIは、当初からLetterboxdが注力した要素だったという。

③「UGC」の自然発生

映画を主役に据えたことで、他のSNSでLetterboxdの投稿をシェアしやすいのも特徴だ。各ページには、FacebookやXでシェアするための専用ボタンを設けている。また、投稿をキャプチャして投稿をシェアする人も多い。米国などでは、Letterboxdのキャプチャ画像(以下参照)が独自のフォーマットとして認識され、定着しているという。

▲独自フォーマットが定着し、他SNSでも共有しやすい(出典:Letterboxdの公式X)

④映画業界からの支持を獲得

映画業界から支持を獲得したことも、新規ユーザーの獲得や信頼向上に役立ったとされる。例えば、米国の映画監督・脚本家・プロデューサーを務めるマーティン・スコセッシ氏は、スポンサーシップとしてではなく、自ら自身のアカウントを作成。またたく間に約48万人のフォロワーを集めた。また、イギリスのシンガーソングライターで俳優のCharli XCXさんのアカウントが突然開設された際も、Web上で話題を集めたという。そのほか、「アカデミー賞(オスカー)」や米国の映画製作・配給会社「NEON」などの公式アカウントもある。

⑤魅力的な動画コンテンツ

Letterboxdでは、InstagramやTikTok等のSNSで拡散されやすい端的な動画シリーズを作成し、高い人気を得ている。その代表格が「Four Favorites(4つのお気に入り)」で、映画俳優や監督などの著名人に4つのお気に入り映画をインタビューするもの。例えば、米国女優のインデ・ナバレッテさんのインタビュー動画は、TikTokで28万を超える「いいね」を集めている。

▲著名人への「Four Favorites」シリーズは高い人気を得ている(出典:Letterboxdの公式TikTok)

その他、監督や俳優が自分の映画に対するLetterboxdのレビューを読み上げるという動画シリーズもある。ユーザーからすると、「自身のレビューが監督や俳優本人に読まれるかもしれない」という高揚感もあるはずだ。Letterboxdの各種SNSの公式アカウントは軒並み100万フォロワーを越え、Instagramに至っては300万人近くまで伸びている。

イベント特化型「Partiful」 広告費なしで若者に広めた仕掛け

2人の女性起業家により2020年に米国で創業した「Partiful(パーティフル)」。イベント特化型のSNSとして、「イベントの計画」「招待」「出席確認の追跡」「リマインダー」「チケット販売」「思い出共有」まで一気通貫で担う。報道によれば、Partifulは世界100カ国以上で数百万人のユーザーを獲得。米国では、若年層における「パーティーの定番ツール」になっているという。

▲イベント特化型SNS「Partiful」が、米国のZ世代から支持されている(出典:PartifulのApp Store)

同分野には、日本でも使われている「Eventbrite」やAppleが2025年2月にリリースした「Apple Invites」、米国等で支持される「Evite」など競合が多い。Facebookでも、かなり以前から「イベント機能」は提供されている。

そんななかでPartifulが支持されている最大の理由は、「カスタマイズ性」と「無料」の2点だと言われている。「誕生日祝い」「ディナーイベント」「新築祝い」などのカテゴリーごとに豊富なデザインが用意され、そのバリエーションは数千にも及ぶという。

▲デザインが豊富でカスタマイズすると「自分らしさ」が表現できる(出典:Partifulの公式ホームページ)

実際にWebツールで試してみると、「背景」「イラスト」「絵文字の種類」「書体」などの見栄えだけでなく、「アンケートの追加」「同伴者の有無」「ゲスト名の表示有無」など、想像以上に細かくカスタマイズができた。使い方も容易で、数分でイベントページが完成する。

▲Partifulの利用イメージ。柔軟にデザインを変えられる(出典:Partifulの公式ホームページ)

「チケット販売」などの高度な機能は有料となるが、「イベントの作成」「招待状の送信」「全てのデザインと基本機能」は無料で提供されている。この“自由さ”や“気軽さ”が若年層に受け入れられ、広告費をかけずに新規ユーザーの獲得に成功しているのだという。

収益源は、コアユーザーが購入する「有料プラン」であり、「広告枠」や「利用動向データ」の販売はしていない(2026年4月時点の報道より)。同社が参考にするのは、190カ国以上から1億2,000万人以上が利用するアスリート向けSNS「Strava(ストラバ)」のビジネスモデル。Stravaでは、コアユーザーへの有料プランの販売で数億ドルの収益を得ているそうだ。

2026年1月には、恋愛関係の促進を目的とした新機能「Crush」もリリース。イベント参加者間で、「好意を抱いた相手」に匿名で“好意”を示すことができるものだ。最大10人までの好意の通知が可能で、相手からも好意が示されると、ツール内でのDMが可能になる。

ただし、通知には2人が最後に一緒に参加した「イベント名のみ」が記載され、興味を示した人の身元は明らかにされない。「新たなTinder」とも言われ、これも若年層が使いたくなる巧みな仕掛けかもしれない。

編集後記

今回紹介した3つは、既存のSNSでは対応しきれていない領域の「利便性」や「楽しさ」を突き詰め、若年層を中心に利用者を増やしている。国内では、若年層に「デジタルデトックス」が流行していると言われ、その背景には“中毒性”のあるアルゴリズムへの抵抗感がある。より健全に人付き合いや情報収集、自己表現をしたい人々にとって、「クローズド」や「特化型」は賢明な選択なのかもしれない。

(取材・文:小林香織) 

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  • 米田健太郎

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  • 眞田幸剛

    眞田幸剛

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