TOMORUBA

事業を活性化させる情報を共有する
コミュニティに参加しませんか?

AUBA
  1. Tomorubaトップ
  2. ニュース
  3. 「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㊹〜BPO
「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㊹〜BPO

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㊹〜BPO

  • 10005
  • 9944
2人がチェック!

「リソースが不足していて、重要な業務に集中できない」「業務プロセスを効率化して生産性を高めたい」と思っている企業は少なくないでしょう。そのような悩みの解決策として、近年大きな注目を集めているのが「BPO」です。

TOMORUBAの【「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く】第44弾では、この「BPO」を取り上げ、そのメリット・デメリットや効果的な取り入れ方を紹介していきます。

BPOとは

BPOとは「Business Process Outsourcing(ビジネスプロセスアウトソーシング)」の略で、自社の業務の一部を専門企業に委託することを指します。経理業務や人事業務といったバックオフィス業務に加え、コールセンターやカスタマーサポートなど、委託する業務は多岐に渡ります。

BPOを活用することで、コスト削減や業務効率化、コアな業務への集中などのメリットがある一方で、リスク管理や品質管理が必要となるため注意が必要です。

・アウトソーシングとの違い

自社業務の一部を外部に委託することを「アウトソーシング」といい、BPOもアウトソーシングの一種です。しかし、一般的に言われるアウトソーシングが「単純業務を切り出して委託する」のに対し、BPOは「企業の業務プロセスを一括して委託する」ことを意味します。

そのため、かつてはアウトソーシングと言えばバックオフィスの単純作業を委託するだけでしたが、BPOでは業務プロセス全体を委託するケースも少なくありません。さらには人材育成やマーケティング領域など、コア業務に近しい作業もBPOの対象に含まれており、より経営レベルでの活用が可能です。

・需要が高まる背景

近年、BPOの需要が高まっている背景には深刻な人材不足があります。人材不足によって経営改善までリソースが渡らず、倒産するケースも少なくありません。自社で不足しているスキルやノウハウを補い、人材不足を解決するためにBPOへの需要が高まっているのです。

株式会社矢野経済研究所が発表した「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査を実施(2022年)」によると、2021年度のBPOサービス全体の市場規模は約4.6兆円と右肩上がりで成長しており、今後も引き続き拡大していくと予測されています。

【出典】株式会社矢野研究所「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査(2022年)」

BPOのメリット

BPOを活用することで、どのようなメリットがあるのか紹介していきます。

・コスト削減

BPOを活用することで、大きなコスト削減効果が期待できます。社員を抱える必要がなくなることで人件費を削減できるほか、高額なシステムを導入する必要がなくなるなど技術投資コストも削減可能です。

・業務効率化

BPO導入によって、外部企業の専門的なノウハウを利用できます。高度なスキルを持った人材を採用するとなれば、それだけでも採用費がかかりますし、採用活動をしても採用できるかわかりません。BPOなら、すぐに高いスキルを活用できるため、短期的な成果も期待できます。

・コア業務に集中できる

仕事をしていると様々な業務が発生しますが、その全てが事業の成長に繋がるわけではありません。事業の成長には繋がらなくても、しなくてはいけない非コアな業務を外部企業に委託することで、コアな業務にリソースを集中できるようになります。それだけ事業成長を加速できるでしょう。

・柔軟な業務対応が可能

法律の変更などが合った場合、企業は新しい知識やノウハウを取り入れながら対応していかなければなりません。ただし、それは担当者の大きな負担になります。専門的な知識や技術を持っている外部の企業に委託しておけば、そのような場合も柔軟に対応できるでしょう。

・高品質なサービス提供

BPO企業は特定の業務に特化してサービスを提供しているため、高いスキルや最新技術を利用している可能性が高いです。自社の力だけでは難しい高品質なサービス提供が可能になるため、事業の成長に大きく貢献するでしょう。

BPOのデメリット

様々なメリットのあるBPOですが、当然デメリットも存在します。どのようなデメリットがあるのか紹介するので、事前に対策しておきましょう

・リスク管理が必要

委託する業務によっては大事なデータをBPO企業に共有することもあります。BPO企業もセキュリティ対策は十分に行っていると思いますが、情報漏洩などのリスクはゼロではありません。どのようなリスクが存在するのか洗い出し、万が一の場合の対策もしておきましょう。

・コミュニケーションの調整が必要

BPOを活用したからといって、完全に放置していいわけではありません。特に営業やマーケティング領域では、常に状況が変化するため、密にコミュニケーションをとる必要があります。BPO企業とのコミュニケーションコストも想定しておきましょう。

・業務の把握が難しくなる

外部の企業に委託した業務は、その全貌を把握しづらくなります。委託する企業によっては細かく報告してくれる場合もありますが、ブラックボックスが多いと、思ったような成果に繋がりません。そのようなリスクを避けるために、契約時に細かく報告を上げてもらえる約束にしましょう。

・BPO企業に依存してしまう

あまりにBPO企業に頼りすぎてしまうと、切り替えるリスクが高くなります。委託している業務に関して社内にノウハウが蓄積されないため、BPO企業がいないと業務が行えなくなってしまうのです。会社の方針で内製化したいと思った時に、大きなハードルになる可能性もあります。

・コスト削減に反するケースもある

コストを削減するためにBPO企業を利用しても、契約の内容によっては逆にコストが増えるケースもあります。たとえば予期せぬトラブルが発生した場合、その対応もBPO企業にお願いしなければならず追加料金が発生する場合などです。

BPO企業を活用する際のポイント

BPO企業のメリットを最大化するためのポイントも紹介していきます。

・業務内容の明確化

BPOを導入する前に、まずは委託する業務の内容を明確にしておきましょう。業務内容を明確にすることで、無駄な業務を省くことができますし、どんな企業に委託すればいいか考える際の参考にもなります。

・ベンダー選定の重要性

BPOを成功させるには、信頼できる企業に委託することが重要です。しっかりと条件を明確にしておき、複数の企業を比較しながら慎重に選びましょう。手間はかかりますが、どの企業に委託するかでコストや成果が何倍にも変わるので、手間をかけてでもしっかり選んでください。

・契約書の明確化

BPO企業に委託する際には、委託する内容を明確に契約書に落とし込みましょう。サービス内容や品質基準はもちろんのこと、万が一のことが起きた時の対応も必要です。どんなリスクがあるのか洗い出しながら、契約書を作成してください。

・コミュニケーションの確立

先述したように、委託する業務によってはBPO企業とのコミュニケーションが成功の鍵になります。コミュニケーションの質と量について、付き合いを続けながら最適解を見つけていきましょう。たとえば「最初の3ヶ月は毎週のミーティング、それ以降は2週間に一度」などフェーズによって切り替えるのもおすすめです。

BPOサービスの選び方

BPOサービスを選ぶ際に、どのようなポイントを重視すべきか紹介します。

・提供サービスの内容や品質

BPOサービスを選ぶ際には、提供されるサービスの内容や品質を確認することが重要です。業務内容によっては事前に確認することが難しい場合もあるため、過去の実績などを参照にしながら、自分たちが求めるレベルの内容を提供してくれるのか確認しましょう。

・信頼性

リスクを最小限に抑えるためにも、信頼性も重要なポイントです。長年の実績や受賞歴があればわかりやすいですが、そのほかにもセキュリティ対策を徹底しているか、コンプライアンスに問題がないか確認することで信頼性を確かめられます。

・料金体系

料金体系も重要です。どんなにサービス内容の質が高くても、料金が高すぎては自社の利益を圧迫してしまいます。事前にどれだけのコストをかけてもいいのか予算を決めて、サービス内容とのバランスを見ながら検討してください。

・カスタマーサポート体制

質問やトラブルがあった時に、迅速かつ丁寧に対応してくれるかも重要なポイントです。契約前の対応を見れば、サービス提供中の対応も見えてくるでしょう。メールにすぐに返信してくれるか、電話が繋がりやすいかなど、細かいサポート体制も確認してください。

・自分たちの業界に精通しているか

業務の内容によっては、業界ごとに商習慣が異なる場合があります。特に営業やマーケティング領域は、業界が変われば勝手も違うでしょう。どんなに他業界で実績があっても、自分たちの業界での実績がなければ、成果を出せる確率は低くなってしまいます。実績を確認する場合は、自社業界の実績がないか忘れずに聞きましょう。

・BPO導入によるコスト削減効果

BPOを導入した場合、どれくらいコストが削減できるのか予め試算してみましょう。思ったよりもコストが削減できないとわかった場合、自社で業務を続ける選択肢も考えなければいけません。この後に紹介する方法を参考に、BPOのコスト削減効果を上げることも検討してください。

BPOでコスト削減を最大化するには

最後に、BPOによるコスト削減効果を上げる方法を紹介します。

・業務の外部委託範囲の見直し

どの業務を委託するか見直すことで、コスト削減効果を高めることができます。たとえば一連の業務プロセスの中でも、自社で行うと無駄が多い業務、逆に自社の強みが発揮できる業務というものがあるでしょう。自社の得意な業務を委託しても、さほどコストを削減できないどころか、逆にコスト高になってしまうリスクもあります。どの業務を委託すれば効果が高いか、必要な業務に絞って委託してください。

・契約条件の交渉

BPO企業との契約条件を交渉することでコスト削減を最大化することができます。例えば、契約期間やサービス内容、価格、SLA(Service Level Agreement:サービス品質保証)などの条件を適切に交渉することで、コスト削減を実現できるでしょう。

・業務プロセスの改善

業務プロセスに無駄が多い状態でBPOを活用しても、無駄なコストが発生してしまいます。今の業務プロセスに無駄がないか見直すか、もしくはプロセス改善のコンサルティングも依頼できるBPO企業を選びましょう。初期費用は高くなりますが、中長期的に利用することを考えると無駄なコストを抑えられます。

・委託先を慎重に選ぶ

BPOを導入する場合、ベンダーの選定が重要です。複数の企業を比較検討し、適切な企業を選定することで、コスト削減を最大化することができます。また、コミュニケーションや関係性の構築にも注力することで、BPOの効果を最大化できるでしょう。

(TOMORUBA編集部 鈴木光平)

■連載一覧

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く①〜ポーターの『5フォース分析』

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く②〜ランチェスター戦略

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く③〜アンゾフの成長マトリクス

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く④〜チャンドラーの「組織は戦略に従う」

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑤〜孫子の兵法

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑥〜VRIO分析

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑦〜学習する組織

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑧〜SWOT分析

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑨〜アドバンテージ・マトリクス

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑩〜ビジネスモデルキャンバス(BMC)

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑪〜PEST分析

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑫〜PMF(プロダクト・マーケット・フィット)

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑬〜ブルーオーシャン戦略

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑭〜組織の7S

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑮〜バリューチェーン

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑯〜ゲーム理論

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑰〜イノベーター理論

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑱〜STP分析

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑲〜規模の経済

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑳〜ドミナント戦略

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉑〜LTV

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉒〜IPO

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉓~MVP戦略

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉔〜プラットフォーム戦略

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉕〜ジレットモデル

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉖〜フリーミアムモデル

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉗~フリー戦略

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉘〜ダイナミックプライシング

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉙~ストックオプション

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉚~コア・コンピタンス経営

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉛~コストリーダーシップ戦略

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉜~マーケティング近視眼

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉝~ロングテール戦略

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉞~ファブレス経営

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉟~マーケティングファネル

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㊱〜RFM分析

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㊲〜IPビジネス

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㊳~キャッシュマシン

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㊴〜D2C

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㊵〜PPM分析

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㊶〜コンテンツマーケティング

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㊷〜両利きの経営

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㊸〜バランススコアカード

新規事業創出・オープンイノベーションを実践するならAUBA(アウバ)

AUBA

eiicon companyの保有する日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA(アウバ)」では、オープンイノベーション支援のプロフェッショナルが最適なプランをご提案します。

チェックする場合はログインしてください

コメント2件