TOMORUBA

事業を活性化させる情報を共有する
コミュニティに参加しませんか?

AUBA
  1. Tomorubaトップ
  2. ニュース
  3. 「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㊶〜コンテンツマーケティング
「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㊶〜コンテンツマーケティング

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㊶〜コンテンツマーケティング

  • 9754
  • 9747
  • 9746
4人がチェック!

業界やビジネスモデルを問わず、今や多くの企業が取り組んでいる「コンテンツマーケティング」。自社の商品やサービスをターゲットに認知してもらい、必要性を感じてもらうのに有効なマーケティング手法です。

TOMORUBAの【「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く】第41弾では、この「コンテンツマーケティング」を取り上げ、そのメリットや方法を紹介していきます。顧客に対して新たなアプローチを考えている方は参考にしてください。

コンテンツマーケティングとは

コンテンツマーケティングとは「ユーザーにとって価値のある情報を発信し、企業のファンになってもらうことで商品やサービスの購入へと繋げるマーケティング手法」のこと。ターゲットが抱えているであろう悩みや課題に対し、それを解決できるようなコンテンツを継続的に発信することで、自社の製品に対する興味・関心を促していきます。

「コンテンツマーケティング=オウンドメディア」とイメージしている方もいるかもしれませんが、オウンドメディアは情報発信の一手法に過ぎません。記事を配信するだけでなく動画やセミナーなど、ユーザーに届けるコンテンツには様々な種類があります。

どんなコンテンツを、どんな媒体で届ければいいかは、ビジネスの形態やユーザー特性によっても違いますし、組み合わせることで相乗効果も期待できるでしょう。

コンテンツマーケティングが重要視される理由

日本でコンテンツマーケティングが本格的に注目されるようになったのは2014年頃のこと。なぜコンテンツマーケティングが重要視されるようになったのか、その背景を探ってみましょう。

■広告が避けられるようになった

スマホが普及したことにより、私たちは毎日多くの広告を目にするようになりました。企業もユーザーの体験を損なわないよう様々な工夫を重ねて広告を作っていますが、どうしてもユーザーには避けられてしまうもの。

そこで広告に代わって、ユーザーが求めている情報を届けながら、自社の商品・サービスを訴求する方法として注目を集めたのがコンテンツマーケティングです。ユーザーの課題を解決しながら自然に自社に興味・関心を持ってもらえるため、ユーザー体験を損なわずに購入に導けるのです。

■ネットで情報を探しやすくなった

広告が避けられるようになった一方で、多くの消費者は検索によって、興味・関心のある情報を積極的に探すようになりました。そこで注目を集めたのがインバウンドマーケティングです。ユーザーに積極的にアプローチするのではなく、消費者に「見つけてもらう」のが目的のマーケティング手法となります。

そして、インバウンドマーケティングの中でとりわけ有効だと考えられたのがコンテンツマーケティングです。興味のある情報しか求めないユーザーに対し、ユーザーが求めるようなコンテンツを用意すれば見てもらえます。

ユーザーが自ら検索して情報を求めた際に、ニーズに沿ったコンテンツを用意しておくことで、親しみを持ってもらうコンテンツマーケティングが時代の流れにマッチしたのです。

コンテンツの種類

コンテンツマーケティングにおいて、どのようなコンテンツが用いられているのか紹介していきます。

■オウンドメディア・ブログの記事

Webメディアやブログを作成し、テキストベースの記事を公開していきます。顧客の知りたい情報を十分に盛り込めるのがメリットで、作成したコンテンツは半永久的にサイト上に保存しておけます。

SEOはもちろんSNSとの相性もいいので、質の高いコンテンツを作れば、顧客が自然と拡散してくれることもあります。

■ホワイトペーパー

ホワイトペーパーとは、企業が顧客にとって役立つサービスに関連する情報をまとめた資料全般のこと。もともとは政府や公的機関が発行する「白書」を意味しています。ホワイトペーパーをダウンロードする際に、連絡先などの個人情報を入力してもらうようにすれば、自社サービスに興味のある見込み顧客の情報を得られるため一石二鳥です。

■動画

内容や目的はホワイトペーパーに似ていますが、動画の特徴はサービス導入のイメージやツールの操作方法をわかり易く表現できること。特にWebサービスを提供している企業は、使い方をレクチャーする目的で作成するケースも少なくありません。そのためリード獲得のほか、既存顧客のフォローにも効果的です。

■セミナー・ウェビナー

自社サービスの購入に誘導するため、ノウハウや事例をレクチャー方式で教えるコンテンツです。コロナ以前は会場に人を集めて、対面する形式が一般的でしたが、リアルで人を集めるのが難しくなったことでオンラインセミナー(ウェビナー)を開催する企業が激増しました。オンラインで開催することで「商談までは考えてないが、興味はある」という潜在顧客にいち早くリーチできるようになります。

コンテンツマーケティングを行うメリット

コンテンツマーケティングを行うことで、どのようなメリットがあるのか紹介します。

■企業の資産になる

オウンドメディアの記事や動画など、コンテンツマーケティングのために作成したコンテンツは企業の資産として蓄積されていきます。オウンドメディアであれば継続的なアクセス流入が期待できますし、動画やホワイトペーパーは営業資料としても使えるでしょう。

オフラインのセミナーも撮影しておけば、特典として利用したり、ウェビナーとして公開するなど、様々な用途に使えます。

■マーケティングの費用対効果が高まる

資産としてのコンテンツが蓄積されていくと、費用対効果は徐々に高まっていきます。過去に公開したコンテンツからも継続的に集客を見込めるため、一つひとつのコンテンツの集客力が弱くても雪だるま式で集客を増やせるでしょう。

長期的に運用できれば、低コストでも成果を期待できます。

■顧客ロイヤリティを高められる

顧客ロイヤリティとは「顧客が企業に持つ愛着」のこと。コンテンツマーケティングは押し売りではなくユーザーの課題を解決しながら価値を提供していくため、顧客からの信頼を得やすくなるのです。顧客ロイヤリティが高ければ、商品やサービスの継続率が高くなり、結果的にLTV(Life Time Value/顧客生涯価値)の向上に繋がります。

■企業の信頼性が高まる

コンテンツを豊富に用意しておくことで、サイトに集まったユーザーからの信頼を得やすくなります。必要最低限の情報しかないサイトと、消費者目線で情報を提供しているサイトでは、候補者の方が信頼して相談できると思えるでしょう。また、発信したコンテンツが他の媒体にポジティブに掲載されることで、会社の存在をアピールできるチャンスにも繋がります。

■潜在層にもアプローチできる

コンテンツマーケティングでは、潜在層にも自然にリーチできるのが特徴です。潜在層は自身が抱えている課題やニーズに気づいていない、もしくは気付いていても気にしていないため、ニーズを喚起するコンテンツを発信することでアプローチが可能になります。

たとえば転職サービスの場合、仕事のスキルやノウハウ系の記事を発信することで、転職活動をしていない人にも読んでもらえます。定期的に記事を読んでもらえれば、いざ転職活動を始めた際に最初に想起してもらえるでしょう。利益に繋がるまでに時間はかかりますが、ターゲットの裾野を大きく広げられます。

■優れたコンテンツは拡散される

優れたコンテンツはSNSを通じて拡散される可能性があります。コストをかけずとも多くの人に企業を知ってもらうことができるため、新たな見込み顧客の開拓にも繋がるでしょう。

コンテンツマーケティングの注意点

様々なメリットのあるコンテンツマーケティングですが、当然ながらデメリットもあります。

■成果が出るまで時間がかかる

コンテンツマーケティングでは、ユーザーのニーズを高めるところからスタートするため、すぐに購買に繋がるとは限りません。様々な記事を読むフェーズ、検討するフェーズなど、様々なフェーズを経て購買に至るため、成果が出るまで時間がかかるのです。

加えてオウンドメディアであれば、ユーザーに見つけてもらいやすいよう検索結果で上位表示させるにも時間はかかります。競合などとの兼ね合いもありますが、少なくとも100記事は必要だと覚悟しておきましょう。

成果が出るまでに時間がかかることを理解していないと、せっかくコンテンツを制作したのに、途中で頓挫してしまうケースもあり得ます。コンテンツマーケティングに取り組む際には、時間がかかることを社内で理解してもらい、具体的なKPIを設定して取り組みましょう。

■コンテンツ制作のコストが発生する

広告などに比べて費用を節約できるコンテンツマーケティングですが、当然ながらコストはゼロではありません。動画であれ記事であれ、コンテンツを作るには費用がかかります。

オウンドメディアを作るとなれば、初期費用としてサイト構築のデザインや、CMSの費用がかかります。無料のサービスを使うこともできますが、SEOの効果を高めるのが難しくなるでしょう。記事の作成を依頼するなら文字単価1円~10円程度が目安です。

中長期的には費用対効果が高いマーケティング手法ですが、初期段階では全く成果が出ないのにコストばかり発生するため、しっかりと予算を組んでおきましょう。

コンテンツマーケティングの進め方

実際にどのようにコンテンツマーケティングを始めればいいのか紹介していきます。

■目標設定

まずはコンテンツマーケティングで何を成し遂げたいのか、具体的に目標を設定しましょう。問い合わせを増やしたいのか、それともユーザーの裾野を広げたいのか、認知度を上げたいのか。目標によってコンテンツの内容も変わってきますし、戦略も変わってきます。

コンテンツマーケティングの軸となるので、ゴール設定は最初に明確にしていきましょう。

■ペルソナを設定する

目標が決まったら、そんな人にコンテンツを発信するのかペルソナ(ターゲット像)を決めます。年代や性別だけでなく、職業や家族構成、趣味、ライフスタイル、価値観など、はっきりと人物像がイメージできるほど具体的に作り上げましょう。

ペルソナはコンテンツを作成する際の基準にもなるため、チームメンバーが全員が同じ共通認識を持てるほど明確に作り込んでください。

■カスタマージャーニーの作成

カスタマージャーニーとは、見込み顧客が商材を認知し、購買に至るまでの様々な接触点や利用体験を可視化し、理解を深めるプロセスのこと。カスタマージャーニーを可視化したカスタマージャーニーマップを作成することで、顧客をより深く理解し、顧客目線でのマーケティングPDCAが回しやすくなります。

■コンテンツを作成する

コンテンツを作成する前に、まずはコンテンツマップを作成しましょう。コンテンツマップとは、サイトのコンテンツ構成を可視化したもの。サイトのどの部分に、何のコンテンツを置くか図を作ることで、より効果的にコンテンツの選定・作成・追加していくことができます。ユーザーに価値を届けるために、どんなコンテンツが必要なのか一目で分かるでしょう。

コンテンツの届け方

コンテンツは作成するだけでなく、ユーザーにリーチされるよう適切な方法で届ける必要があります。どのような方法があるのか紹介しましょう。

■SEO

SEOとは「検索エンジン最適化」のこと。Googleなどの検索エンジンからの評価の高いコンテンツを作成させることで、特定のキーワードで検索された際に上位表示させ、流入を増やす施策を行います。上位に表示させるには時間と手間はかかりますが、一度上位表示させると中長期的に潜在顧客を獲得できるのが大きなメリットです。

■メールマガジン

企業が保有する顧客リストにメールを一斉配信すること。プッシュ型でコンテンツを配信できるため、企業側が打ち出したい情報を多くの人に送れるのが魅力的。一斉送信できるため、メルマガ配信ツールがあれば低コストで実施できるのもメリットでしょう。メルマガの目的を考慮しながら、適切なタイミングでメールを送ることで、納得感を持ってアクションしてもらえる可能性が高まります。

■SNS

FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSは、コンテンツマーケティングに欠かせません。サービスによって特徴が違うため、それぞれの特徴を活かしながら運用することで、多くの見込み顧客をユーザーすることが可能です。総じてファン形成やブランディングに有効で、成功事例などをシェアすることでSNS経由でのリード獲得や受注に繋げられます。

■プレスリリース

他のサイトや報道関係者に取り上げて、自社サービスや経営に関するニュースを取り上げてもらえるようプレスリリースを打つのも有効です。Web配信サービスを使えば、メディア関係者以外も閲覧できるため、広く露出させるために有効な手段と言えるでしょう。

編集後記

コンテンツマーケティングは、すぐに成果が出ずに地味な作業も多いため、長期的な目線で根気よく取り組まなければならないマーケティング手法です。しかし、一度軌道に乗れば低コストで自社の商品やサービスを広げられる貴重な財産になるでしょう。初期費用を抑えてスタートできるのも魅力の一つ。スモールスタートでもいいのでコツコツ続けてみてはいかがでしょうか。

(TOMORUBA編集部 鈴木光平)

■連載一覧

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く①〜ポーターの『5フォース分析』

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く②〜ランチェスター戦略

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く③〜アンゾフの成長マトリクス

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く④〜チャンドラーの「組織は戦略に従う」

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑤〜孫子の兵法

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑥〜VRIO分析

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑦〜学習する組織

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑧〜SWOT分析

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑨〜アドバンテージ・マトリクス

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑩〜ビジネスモデルキャンバス(BMC)

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑪〜PEST分析

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑫〜PMF(プロダクト・マーケット・フィット)

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑬〜ブルーオーシャン戦略

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑭〜組織の7S

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑮〜バリューチェーン

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑯〜ゲーム理論

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑰〜イノベーター理論

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑱〜STP分析

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑲〜規模の経済

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く⑳〜ドミナント戦略

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉑〜LTV

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉒〜IPO

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉓~MVP戦略

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉔〜プラットフォーム戦略

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉕〜ジレットモデル

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉖〜フリーミアムモデル

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉗~フリー戦略

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉘〜ダイナミックプライシング

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉙~ストックオプション

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉚~コア・コンピタンス経営

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉛~コストリーダーシップ戦略

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉜~マーケティング近視眼

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉝~ロングテール戦略

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉞~ファブレス経営

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㉟~マーケティングファネル

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㊱〜RFM分析

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㊲〜IPビジネス

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㊳~キャッシュマシン

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㊴〜D2C

「勝つための学び直し」ビジネス戦略論を読み解く㊵〜PPM分析

新規事業創出・オープンイノベーションを実践するならAUBA(アウバ)

AUBA

eiicon companyの保有する日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA(アウバ)」では、オープンイノベーション支援のプロフェッショナルが最適なプランをご提案します。

チェックする場合はログインしてください

コメント4件

  • 宗野惠樹

    宗野惠樹

    • Upendo株式会社
    0いいね
    チェックしました
  • 眞田 幸剛

    眞田 幸剛

    • eiicon company
    0いいね
    チェックしました