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4人に1人が高齢者となる「2025年問題」を乗り切れるか?AI×介護の共創事例

4人に1人が高齢者となる「2025年問題」を乗り切れるか?AI×介護の共創事例

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多くのビジネスパーソンが注目するAIビジネスですが、AIには多用に細分化された用途があります。ですから「どの領域のAI活用がアツいか?」に注目するのが正しいビジネス洞察眼と言えるでしょう。TOMORUBAの連載「Break Down AI」では、期待される【AI×○○】の実態に迫り、どのような共創が行われているかに迫ります。

今回は、高齢化社会に突き進む日本では避けて通れない介護分野でのAI活用の実例を見ていきます。高齢者が増え、現役世代が減っていく中で介護の人手不足は深刻さを増しています。近い将来でのブレイクスルーが必須な介護の現場で、現在ではどのような共創が行われているのでしょうか。


介護業務効率化支援システムが2025年には2倍超まで成長

調査会社の富士経済が公開したレポートでは、高齢者/介護関連製品・サービス市場は2025年には9000億円を超える予測となっています。団塊世代が75歳を超え、4人に1人が高齢者となる「2025年問題」は介護業界においてはターニングポイントとされており、高齢者の増加と比例するように介護の市場規模も拡大していく見立てです。

富士経済のレポートの中では、介護関連の中でも特に注目されている分野の筆頭として「介護業務効率化支援システム」が挙げられています。これは主にスマートフォンやタブレットといったIT技術を活用して介護士の業務効率向上を目指すものです。


出典:富士経済

介護業務効率化支援システムの市場規模は2025年に22億円に達する見込みで、2018年比で2.2倍となっています。規模だけ見るとまだまだ小さい市場ですが、テクノロジーの活用へシフトする動きは加速しているのがわかります。

参考ページ:高齢者人口の増加により拡大が予想される 高齢者/介護関連製品・サービス市場は2025年に9,254億円 | マーケット情報 | 富士経済グループ

参考ページ:介護・福祉関連製品・サービス市場を調査 | マーケット情報 | 富士経済グループ

AI×介護の共創事例

ここからは介護におけるAIを活用した共創事例を紹介していきます。

【凸版印刷×インフィック】センシング×AIで介護業務を支援

凸版印刷と介護総合支援事業を展開するインフィックは、少子高齢化の進行により介護従事者が不足しているという社会課題に対して、センシングとAIを活用した介護業務支援システム「LASHIC+」(ラシクプラス)を開発し、2021年1月20日より販売を開始しました。

凸版印刷はこれまで、ICTを活用し介護業界の課題を解決することを目的とした、介護事業者・入居者(被介護者)・その家族の3者のコミュニケーションを円滑化する事業「トライアングルハート支援事業(以下 同事業)」を2017年度より推進してきた背景があります。

今回、凸版印刷とインフィックは、同事業内のコアシステムとして、センシングとAIで介護業務を支援するシステム「LASHIC+」を開発しました。「LASHIC+」は、温度・人感等のセンシングが可能な簡易センサーと、それらの取得情報を統合解析できるAIにより、プライバシーを保護した状態で施設入居者の行動を把握することが可能となります。また、取得したデータをAIが学習することで、施設入居者の普段とは異なる行動(異常行動)を検知し、介護従事者に向けてアラート発報をすることもできます。

こうした簡易センサーによる情報取得とAI学習により、今後も施設入居者個々人に合わせた異常行動を検知、介護従事者の業務負荷軽減に貢献していくとのことです。

関連記事:凸版印刷×インフィック | センシング×AIで介護業務を支援

【メディクルード×エッジマトリクス×NTTドコモ×パナソニック】介護AIソリューションの導入に向けた実証実験を開始

医療・福祉事業を展開するメディクルード、Ai開発のEDGEMATRIX(エッジマトリクス)と、NTTドコモ、パナソニックi-PROセンシングソリューションズ(i-PRO)は、現場でカメラ映像などをAI処理する「映像エッジAI」を活用した介護AIソリューションの実際の介護現場への導入に向けた検証環境の構築および実証実験(以下、同実証実験)を開始しました。

同実証実験の第一弾として、介護施設「かわぐち翔裕園」内にカメラおよび「Edge AI Box」を導入し、「EDGEMATRIX」サービスで提供している徘徊者検知や侵入検知のAIアプリを活用することによる効果の検証および現場の利用環境に合わせたカスタマイズを進めます。また、医療・介護向けの新たなAIの開発および検証も行うとのことです。

「映像エッジAI」の活用により、映像データをクラウドにアップロードすることなく、現場に設置する「Edge AI Box」内でAI処理を行ったデータから異常の検知などを行うことが可能となるため、介護を受ける人や職員のプライバシーを保護しながら映像ソリューションを利用することができるメリットがあります。

同実証実験では、複数の「映像エッジAI」の介護現場での検証を予定しており、介護機能に限らず、防犯など施設のセキュリティ強化も見据えて、「映像エッジAI」の活用を検討する予定です。

関連記事:メディクルード×エッジマトリクス×NTTドコモ×パナソニック | 介護AIソリューションの導入に向けた実証実験を開始

【ハタプロ×武田病院グループ】AIロボットによる口腔と摂食嚥下の機能維持・向上支援プログラムの実証実験を開始

AIロボットベンチャーのハタプロは「AIロボットによる高齢者の口腔と摂食嚥下の機能維持・向上支援プログラム(オーラルフレイル予防プログラム)」を、武田病院グループとの連携のもと、京都市産業観光局及び公共財団法人京都高度技術研究所の支援を受け、研究開発に取り組んでおり、その一環として実証実験を行っています。

ハタプロは、公共財団法人京都高度技術研究所主催の、京都の医療従事者から臨床ニーズの発表を行う「京都臨床ニーズマッチング会」において、武田病院グループとAIの共同研究を行い、地域社会の課題解決に取り組むことで同意しています。

高齢者のQOL向上を目的とした同プログラムは、AIロボットとの対話形式でおこなうフレイルチェック及び口腔機能のトレーニングを搭載しています。 利用者の状態やレベルに合わせて提供内容の変更が可能なため、無理なく継続できるようアルゴリズムを構築しているとのこと。

共同研究の一環として、ハタプロが製造・販売をおこなうAIロボット「ZUKKU(ズック)」に搭載されている自動対話技術と画像解析技術を応用し、武田病院グループが提供する医療介護技術及び関連情報を学習させた「オーラル(口腔)フレイル予防プログラム」のプロトタイプを開発し、令和2年11月から実証実験を開始しています。

関連記事:ハタプロ×武田病院グループ | AIロボットによる高齢者の口腔と摂食嚥下の機能維持・向上支援プログラムの実証実験を開始

【オリックス・リビング×Aeolus Robotics】介護現場でのAI搭載型ロボットの実用化に向け提携

オリックス・リビングは2019年6月、米国のAeolus Robotics Corporationとコンサルティング契約を結び、AI搭載型サービスロボット「アイオロス・ロボット」の導入に向けた実証試験などを行いました。

「アイオロス・ロボット」は、高度なAIセンサーを搭載し、さまざまな機能を備えた自律型ヒューマン支援ロボット。空間認識機能および物体検知能力による周辺の環境地図の作成と自律走行が可能で、2本のアームを使用し物品の運搬をすることができます。

この提携により、オリックス・リビングが介護施設運営で蓄積した知見や課題解決のノウハウをAeolusに提供し、実際の活用シーンに即したユーザビリティの向上を共同で行います。具体的には、介護施設の構造や設備を踏まえたロボットの性能評価と機能の向上、介護スタッフによるスマートフォンやタブレット端末を用いた操作性の確認、そして、ロボットに代替可能な業務の洗い出しと実行に向けた検証などを想定しているとのことです。

関連記事:介護現場でのAI搭載型ロボットの実用化に向け、オリックス・リビングと米国Aeolus Roboticsが提携

【編集後記】介護支援と健康寿命維持、両輪でのAI活用が重要

AI活用が実践されている背景は、介護に限らず人手不足が大きなウエイトを占めています。介護支援がICTによって効率化することも重要ですが、被介護者数を抑える観点から言うと同じくらい健康寿命の維持も大切なファクターです。

高齢者一人あたりを支える現役世代の数は減少していますが、AIをはじめとしたテクノロジーによる介護の効率化、そして高齢者の健康支援、この両輪がかみ合って行かなければ、超高齢化社会を乗り越えられないかもしれません。

TOMORUBA編集部


シリーズ

Break Down AI

多くのビジネスパーソンが注目するAIビジネスですが、AIには多用に細分化された用途があります。ですから「どの領域のAI活用がアツいか?」に注目するのが正しいビジネス洞察眼と言えるでしょう。「Break Down AI」では、期待される【AI×○○】の実態に迫り、どのような共創が行われているかに迫ります。