常識をアップデートするWEB3.0スタートアップ!最先端を行く5社が描く未来とは――eiicon meet up!!イベントレポート
去る2月16日、eiicon companyオリジナルピッチ企画「eiicon meet up!!vol.6」がSHIBUYA QWSにて開催された。このイベントは新規事業・オープンイノベーションコミュニティの活性化を目的に、話題のスタートアップ企業がピッチを行い、共創につながる“出会い”を生み出す場としての役割を持つ。
昨年11月に開催した第5回「カーボンニュートラル」に続く今回のテーマは、「WEB3.0スタートアップ~常識をアップデートするWEB3.0~」だ。様々な社会課題の解決を目指す5社(Scalably、UPBOND、Final Aim、プレイシンク、フィナンシェ)が登壇し、事業やビジョンについて会場に語り掛けた。本記事では、同イベントの様子をダイジェストでお伝えする。
※後日、各社の個別インタビューを『meet startups!!』ページにて掲載予定です。
【Scalably】 世界中のコミュニティをビジネスチャンスに
■Scalably株式会社 CEO/Co-founder 山本 純矢氏
Scalablyはコミュニティの力をビジネスに活用する支援をしているWeb3スタートアップ。今やコミュニティという言葉が世界中のVCから注目されており、新しい概念として捉え直されている。同じ興味関心を持った人たちの集団であるコミュニティは、そのまま市場になるからだ。
一方、日本企業が抱えている課題はグローバル化。英語が話せる人が少ないために、海外のコミュニティに対してアプローチできないでいる。Scalablyは翻訳AIなどを活用しながら、自分たちのビジネスにマッチした世界中のコミュニティに直接アプローチできるプラットフォームを開発。東南アジア、西アジアへ展開を開始している。
今年6月には企業の広報チャンネルやSNSを登録するだけで、簡単にグローバル・コミュニケーションを可能にするサービスをローンチ予定だ。すでに凸版印刷との協業も進めており、6ヶ月にわたる取り組みで大きな成果を出したと紹介した。
【UPBOND】 独自のWallet技術で企業のWeb3.0化を加速
■株式会社UPBOND 代表取締役 水岡 駿氏
UPBONDは企業のWeb3.0活用を、独自のWallet技術で支援しているスタートアップ。これまで建設業界や小売業界など、さまざまな業界のWeb3.0化を支援してきた。
Web3.0の時代では、これまで企業側が保有していたデータを、個人が管理できるようになる。しかし一方で、その変化を事業に活かせている企業は多くはない。UPBONDは独自の技術と、これまでのWeb3ビジネスのノウハウを活かし、新たな事業の展開を支援している。
たとえば顧客のボディデータを活用してビジネスを展開したい企業は多くいるが、デリケートなデータだけに、それを最大限活用することができていない。UPBONDはセキュリティに強い技術を利用することで、ヘルスケアなど多様なシーンでの活用を後押ししている。
また、建設業界ではキャリアウォレットの導入も進めており、職人たちのデジタル化を推進し、業務効率化を進めた。職人たちがシステムにログインして連絡や報告をするだけでトークンを得られる仕組みを活かし、建設業界のDXを加速させている。
【Final Aim】 製造業の課題をWeb3.0で解決
■株式会社Final Aim 取締役最高デザイン責任者 横井 康秀氏
Final AimはWeb3.0技術で製造業の課題を解決するスタートアップだ。Web3.0がもつトレーサビリティやスマートコントラクトによる自動化という特徴をトリガーにし、長いバリューチェーンを持つ製造業の課題を解決するために様々な取り組みを行っている。
これまでソニーやパナソニックをはじめ、世界中の名だたる大企業との実績を重ねてきた。たとえばソニーが持つFeliCa技術にブロックチェーン技術を組み合わせるプロジェクトや、パナソニックのトレーサビリティやメタバースへの活用なども手がけている。
その他にも、グローバルメーカーが多拠点でデータを連携させる仕組みなども開発。アメリカにおいても、これからDXを進める段階の大企業もあるということで、大きな市場があると話した。
※Final AimのPRページは以下よりご覧ください。
https://auba.eiicon.net/projects/35231
【プレイシンク】 既存事業をNFTウォレットでアップデート
■株式会社プレイシンク 代表取締役 尾下 順治氏
プレイシンクは、企業のNFT活用を加速させるスタートアップだ。デジタルアートに使われたことで、一気に認知度を高めたNFT。しかし、本来デジタルアートはNFTの可能性の一部でしかないものの、「NFT=デジタルアート」という認識が広がったことで、NFTの可能性が狭まってしまった。
プレイシンクが提供する「NFTCloak」は、既存サービスのユーザーアカウントに簡単にウォレットを付与することができるサービス。ブロックチェーンの持つ透明性や堅牢性を気軽に取り入れることができる上、ユーザビリティの高さも兼ね備えている。
また、一般的にNFTをビジネスに組み込む際にはGASという手数料のようなものが発生するが、プレイシンクはそれを自社で負担することによって、NFT導入のハードルを下げた。すでに様々な大企業での活用を進めており、大きな成果を上げている。
※プレイシンクのPRページは以下よりご覧ください。
https://auba.eiicon.net/projects/35691
【フィナンシェ】 トークンによってファンコミュニティを熱狂させるプラットフォーム
■株式会社フィナンシェ 取締役COO 田中 隆一氏
フィナンシェは「10億人の挑戦を応援するクリエイターエコノミーの実現」を目標に、Web3サービスを展開するスタートアップ。Web3の特徴である、トークンによるインセンティブの仕組みを活用して、様々なプロジェクトに熱狂的なファンを巻き込んでいくプラットフォームを開発している。
すでにスポーツやエンターテインメント、地方創生など総数200以上のプロジェクトがプラットフォーム上に存在しており、多くのファンが継続的に支援している。ファンは、プロジェクトオーナーが発行したトークンを購入することでサポーターとなり、様々な特典を得たり、投票機能を使ってプロジェクトの運営や意思決定にも参加可能だ。
また、トークンはサポーターのニーズに応じて価値が上下しており、トークンの売買によって利益を得る可能性もある。サポーターたちにとって、コミュニティを盛り上げるモチベーションとなる数々の機能が備えられている。
実際にスポーツチームのグッズのデザインを投票で決めて商品化されるケースも増えており、サポーターたちもプロジェクトオーナーと共創して、その過程を楽しんでいるという。スポーツ以外にも、アニメや映画を作るプロジェクトや、地方創生のプロジェクトなど、様々なファンコミュニティが生まれている。
――5社のピッチが終了した後は、登壇者と参加者によるネットワーキングが実施された。「eiicon meet up!!」の次回開催は5/25を予定しており、未病ヘルスケアスタートアップが登壇する。なお、公式facebookで情報を発信しているのでぜひチェックいただきたい。
取材後記
ゲームやアートなど、エンタメ領域で認知度が高まったWeb3.0だが、その可能性はいまだ未知数。大企業の中にも「Web3.0を取り入れたいが、自分たちのビジネスにどう活かせるか分からない」と思っている担当者も少なくないはずだ。そのような企業は、ぜひ今回登壇したスタートアップたちに声をかけてみてはいかがだろうか。Web3.0によって、様々な業界のビジネスがどのようにアップデートされていくかが楽しみだ。
(編集:眞田幸剛、取材・文:鈴木光平、撮影:齊木恵太)