なぜいま「Z世代」が流行語に?Z世代の基礎知識とブレイクしたきっかけを分析
新規事業やオープンイノベーションのプレイヤーやそれらを実践・検討する企業の経営者はTOMORUBAの主な読者層ですが、こうした人々は常に最新トレンドをキャッチしておかなければなりません。そんなビジネスパーソンが知っておきたいトレンドキーワードをサクッと理解できる連載が「5分で知るビジネストレンド」です。キーワードを「雑学」としてではなく、今日から使える「知識」としてお届けしていきます。
今回取り上げるのは「Z世代」です。2021年の新語・流行語大賞にもノミネートされたZ世代ですが、言葉の意味や特徴、なぜ今年流行したかを説明できる人は少ないのではないでしょうか。Z世代の基礎知識に加えて、今年に入ってからのZ世代に関するトレンドを分析してみました。
Z世代とは1990年後半頃から2012年頃に生まれた世代を指す
Z世代(ゼットせだい)とは「1990年後半頃から2012年頃に生まれた世代」のことを指します。
特定の世代を指す言葉はZ世代以外にもいくつかあります。
●Z世代:1990年後半頃から2012年頃生まれ
●ゆとり世代:1987年頃から2004年頃生まれ
●ミレニアル世代:1983年頃から1995年頃生まれ
●Y世代:1981年頃から1990年台後半頃生まれ
Z世代の語源とされているのは「X世代」です。X世代は、1991年に出版された小説「ジェネレーションX」からきており、作中では1960年代から1980年代初頭の世代を指しています。X世代の次の世代を前述したY世代と呼び、さらにY世代の次の世代をZ世代と呼ぶようになったと考えられています。
Z世代はデジタルネイティブでモノに固執せず、D&I意識が高い
Z世代の特徴はいくつかあります。まずはデジタルネイティブであること。生まれた時からPCやスマートフォンが身近なものでありITリテラシーが高いと言われています。これは一つ上の世代であるミレニアル世代の特徴でもあります。さらに、Z世代は物心がついた時からSNSが普及していたためSNSネイティブでもあります。個人が発信することは自然なことであり、オープンなコミュニケーションが身についています。
次に挙げられる特徴はモノに固執しないことです。上の世代だと家や車、ハイブランドの商品などを所有することがステータスとされてきましたが、Z世代にとってこれらのモノは購入せずともシェアリングエコノミーやサブスクサービスで利用することができます。
もうひとつ特徴を挙げると、Z世代はダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の意識が高いです。認定NPO法人ReBitがZ世代に対して行ったD&Iに関する調査では、「職場においてD&Iが推進されていることは、職業を選択する際や、働き続ける上で重要な要素だと思いますか?」という問いに、「そう思う/ややそう思う」と答えた割合は97.1%にのぼりました。
参考ページ:【新型コロナ拡大以降のD&I意識調査】Z世代の65%がダイバーシティ&インクルージョンをより重要視するように。多様な人財が活躍できる風土や、働き方の多様性を推進する...
情報番組でZ世代が特集され全国的な知名度に
冒頭でも述べたように、Z世代というワードは2021年の新語・流行語大賞にノミネートされました。とはいえ、情報感度の高いビジネスパーソンにとってZ世代は数年前から聞き馴染みのあるワードではないでしょうか。なぜ2021年になってZ世代が流行語と呼ばれるようになったのでしょうか。
上図はGoogle トレンドで直近5年の「Z世代」の人気度の動向を調べたものです。たしかに2021年以降Z世代の人気度はボリュームが増しているように見えます。
今年だけに絞って見てみると、3月14日〜20日の期間でトレンドがスパークしていることがわかります。そしてそれ以降は人気度がベースアップしているようです。
おそらくこのトレンドの要因は、20日に放送された情報番組のZ世代特集だと思われます。Twitterでこの期間に絞って「Z世代」でキーワード検索をすると、この特集について言及しているツイートが大量に出てきます。
これまで感度の高いビジネスパーソンに認知されていたZ世代が、テレビで特集されたことで知名度が全国に拡大されたと見ることができそうです。
【編集後記】Z世代がイノベーションを起こすか
Z世代はデジタルネイティブでD&I意識が高いため、優秀な人材が多そうです。その反面、価値観の近いコミュニティを大事にし、組織への帰属意識が低い傾向もあるため離職率が高いことが企業にとっては課題となるでしょう。
Z世代がイノベーションを起こす人材へと成長するには、企業側がZ世代などから共感を得られるビジョンを提示し、従業員のエンゲージメントを獲得できるかが鍵になってきそうです。
(TOMORUBA編集部 久野太一)
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