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【Startup Culture Lab. 2024年度 #4レポート】へラルボニー・タイミー・ファストドクターが登壇!急成長を実現したスタートアップ3社の採用活動を紐解く

【Startup Culture Lab. 2024年度 #4レポート】へラルボニー・タイミー・ファストドクターが登壇!急成長を実現したスタートアップ3社の採用活動を紐解く

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イノベーションを起こし急成長するスタートアップならではの、人材・組織開発に関する学びと知見を広くシェアする研究プロジェクト「Startup Culture Lab.」。2023年は12のテーマを設定し、毎月一回スタートアップの組織開発の経験者・有識者をゲストに招いてトークセッションを無料開催してきた。

2024年度も56社の研究対象スタートアップが決定し、全12回に渡るセッションとワークショップを通じ、急成長するスタートアップの組織支援を進めていく。ーー2024年度の第4回目となるテーマは、「急成長企業における採用計画と採用活動の最適化」だ。スタートアップ3社(へラルボニー・タイミー・ファストドクター)の人事担当者が、優秀な人材を迅速かつ効率的に確保するための戦略を議論。急激な事業拡大に伴う変動する採用ニーズに対応し、効果的な採用計画の策定と柔軟な対応の方法を探っていくセッションだ。

さらに、企業ブランディングや候補者体験の向上を図り、多様な採用チャネルと手法を駆使する重要性についても考察。成功事例やベストプラクティスについて深堀した様子を紹介していく。

【登壇者】

・忍岡 真理恵 氏 / HERALBONY COO

・坂田 優也 氏 / 株式会社タイミー 人材戦略部 部長

・佐田 雅弥 / Startup Culture Lab.フェロー / ファストドクター株式会社 人事部長

・坡山 里帆 氏 / Sworkers 代表取締役 社長(※モデレーター)

へラルボニー・タイミー・ファストドクター、注目スタートアップにジョインした経緯

セッションの冒頭では、それぞれの自己紹介と併せて、今の会社にジョインした経緯と事業内容が語られた。

最初に自己紹介を行ったのはヘラルボニーCOOの忍岡氏だ。同社は知的障害のある方のアートデータを2,500点以上保有しており、自社プロダクトを展開している。売上の数%はロイヤリティとしてアーティストにも還元されるため、障害のある方の収入改善にも繋がっているという。

▲忍岡 真理恵 氏 / HERALBONY COO

「私は経済産業省の官僚からキャリアをスタートしました。その後、留学し、帰国してからコンサルティング会社に入社するものの8ヶ月で退職。それから前職のマネーフォワードというFinTech企業で5年働き、今のヘラルボニーにジョインしています。

今の会社にジョインしたのは、もともとヘラルボニーのファンだったからです。昔からインパクトスタートアップやソーシャルビジネスに興味があり、いつかは自分で携わりたいという気持ちが強くありました。そんな時に一目惚れしたのがヘラルボニーの名刺入れです。それからSNSもフォローしたりとヘラルボニーにどんどんハマってしまって。

その2年後に、ヘラルボニーが経理職を募集しているのを見つけ、経理の知識もあまりないのに長文のメールを送って応募しました。もともと役職に就くつもりはなかったのですが、経営企画室で働いている時に双子のファウンダー(松田崇弥氏・松田文登氏)からCOOを打診されて就任しました」

▲へラルボニーが展開しているプロダクト

続いて自己紹介したのはタイミー 人材戦略部 部長の坂田氏だ。2017年に創業した同社は働きたい人と人手が足りない企業をマッチングするスキマバイトアプリを運営する。現在、全国に14拠点を構え、正社員900名・アルバイト300名という組織体制でサービスを展開している。

「私がタイミーにジョインしたきっかけは、当時のCOOのリファラルです。彼は前職のスタートアップ時代の同僚にあたるのですが、主にファイナンス周りを担当しており先に前職を卒業しました。その後、私が責任者をしていた事業を譲渡したタイミングで、タイミーにいた彼から福岡支社の立ち上げ責任者として声をかけてもらったのがタイミーとの出会いでした。

入社の決め手は2つあって『サービスの良さ』と『人の良さ』です。私がジョインしたのは2019年のことで、当時22歳の代表・小川が30人くらいの仲間とサービスを作っているところでした。オフィスに遊びに行った時に当時のコアメンバーと話をさせてもらった際に『絶対にこのサービスを世界一にするから仲間になってください』と誘われたのが面白いと思ったのです。

代表だけでなく、メンバー全員がサービスの可能性を信じている。その熱意に感銘を受けてジョインすることに決めました」

▲坂田 優也 氏 / 株式会社タイミー 人材戦略部 部長

最後に自己紹介をしたのはファストドクターの人事部長である佐田氏。同社は救急往診とオンライン診療によって、夜間・休日の医療ニーズに応えるサービスを展開している。「生活者の不安と、医療者の負担をなくす」をミッションに掲げながら、診療時間外を中心に医療にアクセスできない患者の不安を解消。医療機関や自治体、企業と連携しながら、夜間・休日の医療提供をサポートしている。

「私はもともと自動車メーカーの人事として、労務の仕事をしていました。10年ほど働いた頃に、ヘルスケアの領域に興味を持ち始めてキャリアチェンジしました。

ファストドクターにジョインしたきっかけは、医療機関を通して患者さんと直接接点を持っているということ。一次情報に一番近いところで仕事をするということは、それだけに改善スピードも速く、日本の医療を良くしていけると思ったのです。また、当時はコロナ禍で、様々な医療課題が顕在化していました。社会課題解決をはかるスタートアップとしてそうした状況の中で急速に組織を拡大する必要があり、組織編成を担う人事部を立ち上げるため、ファストドクターに最初の人事担当として入社しました」

▲佐田 雅弥 / Startup Culture Lab.フェロー / ファストドクター株式会社 人事部長

3年で700名を採用したタイミーの人事戦略

いずれもここ数年で急激に組織規模を拡大しているスタートアップ。会場の誰もが気になるのは、どのように採用チームを組成し、どんな採用施策を行ってきたのかということだろう。そのテーマで最初に語ったのがタイミーの坂田氏だ。

同社の組織規模の推移を見てみると、2021年に正社員が180名、22年に400名、23年に600名、そして現在900名にまで成長している。驚くべきは、採用チームが立ち上がったのは2021年の半ばで、同年11月に坂田氏が受け継いだということ。坂田氏が採用に携わってから3年で700名もの人を採用してきたことになる。

当時の採用チームは10名。営業職の採用担当が5名、企画職の採用担当が3名、エンジニアの採用担当が2名という内訳だったという。わずか10名程度で700名の候補者を採用してきた経緯について、坂田氏は次のように語った。

「振り返ってみて良かったと思うのが、私がHRの経験がなかったことだと思います。当時、『今期400名採用しよう』というオーダーがあった時に、それがどれほど難易度が高いミッションであるかを理解していなかったからです。

当時の採用チームのメンバーにHR経験者がほとんどおらず、営業出身のメンバーが多かったので『どうしたら目標を達成できるか』という一心で採用活動に没頭しました。ありがたいことに人材採用の重要性については経営陣がかなり理解をしてくれていたことから、一定のリソースと予算は用意いただけていました。最初は主にエージェントを活用しながら採用活動を始めました」

登壇者からは、「そんな急激に組織が大きくなったら退職率が上がったり、カルチャーが崩壊したりしなかったのか」という質問がとんだ。その質問に対する坂田氏の答えは「退職率は5%程度」というもの。

「この数字が良いか悪いかは置いておいて、私たちも早期退職が増えないようにケアはしていました。それはカルチャーを守ることにも繋がっていますが、採用プロセスにおいて私たちのミッション・ビジョンに共感しているかチェックしています。

採用フローの中で、必ずバリューにフィットしているか、我々のミッションやビジョンに共感してくださっているか。その裏付けとなる原体験があるかを選考フローの中でしっかりと確認するフローを確立していたことが功を奏したと思います。また、採用プロセスにおいては、候補者の方に急拡大の様子をできるだけリアルにお伝えし、一定カオスな状態であることを事前に伝えてます。それに対してにポジティブな反応を示した方に入社いただいています」

登壇者から採用フローについても質問があがった。「それだけの人数を短期間で採用する場合、面接回数はどうしているのか」という問いに、坂田氏は次のように答えた。

「レイヤーによっても違いますが、面接回数は現場担当者と部長の2回です。レイヤーが高い方は、それに加えて役員の面談と会食を入れて計4回ですね。仰るとおり、採用目標を言われた時に面接回数が多いと回らないと思ったので、しっかりチェックできる最低回数を考えて2回にしました。

補足すると、1day選考会も積極的に開催しておりまして、その時も必ず2回の面接を行っています。選考会は全国で開催しており、1回で30人ほどが集まり、内定が出るのはだいたい3~4名です。事業の成長スピードを考えると、東京で採用して地方に行ってもらうのが難しいため、支社で勤務いただく方は現地での採用が前提になっています。もちろん、絶対数が少ないという観点で採用のハードルは高いのですが、現地のエージェントの方と関係性を構築して採用活動を続けています」

RPOの成果を最大化したファストドクター代表のコミット

続いて採用の取り組みについて話したのはファストドクターの佐田氏。本格的に採用活動を始めてから、2年間で組織を7倍にまで成長させたストーリーについて語ってもらった。

「私たちが採用活動を本格化したのはコロナ禍で、医療ニーズの高まりから特に医療従事者不足が課題になっているタイミングでした。しかし実は家庭の事情などで病院では勤務できないものの、医療に携わりたいと思っている看護師さんが大勢おり、ファストドクターではそういう方々が数百名、オンラインで勤務できる環境を整えたのです。

正社員は150~200名ほど採用しているのですが、それができたのは様々なライフスタイルに合わせて働けることを打ち出したからだと思います。医療に携わりたい方は多い一方で、働き方がマッチせずに悩んでいる方は多いので、そのギャップを埋めるようなメッセージを発信しました」

モデレーターの坡山氏からは「外部のパートナーをどのように活用してきたのか」という質問がとんだ。佐田氏からは「エージェントの活用の他にRPOを活用した」という返答があった。

▲坡山 里帆 氏 / Sworkers 代表取締役 社長

「シリーズBの資金調達を終えた時に、社内の誰かに採用をお願いするか、外部のプロ(RPO)にお願いするか考え、後者を選びました。これからの社会の医療ニーズに応えるための選択です。

成果に繋がったのは弊社の代表がコミットしたからだと思います。代表は採用チームと毎日30分のミーティングを開催し、採用状況の進捗やどんな人が必要か伝えていました。代表自身が対話することで、会社の本気度を伝えることができ、外部パートナーの垣根を超えて非常に強くコミットしていただけたと思います。

現在では、要員計画や採用広報といった経営計画に繋がる仕事は社内の人事部が行い、候補者の方とのやり取りやサポートはプロの方にお願いしています」

99%のメンバーを直接採用とリファラルで採用してきたヘラルボニーの採用活動

最後に採用活動について語ったのはヘラルボニーの忍岡氏。先の2社にくらべて組織規模が50名強と決して大きな組織ではないが、そのうち99%が直接応募もしくはリファラルというから驚きだ(直接応募66%、リファラル33%)。これまでエージェント経由で採用したのは2名のみだという。

「私たちは自社メディアなどを通じて情報発信しています。1ヶ月おきくらいに、その時に必要な職種に合わせてイベントを実施し、そのためのオリジナルのクリエイティブを作っています。SNSも積極的に活用しているので、そこで集まった人の中から採用に繋がっている状態です。

また、エージェント経由で採用した2名は経理と製造管理責任者で、どちらも専門性が強く急務だったので、エージェントを活用する判断をしました」

▲メディアを活用し、積極的な採用広報を推進しているへラルボニー。

モデレーターの坡山氏からは「どんな人が面接にこられるのか」という質問がとび、忍岡氏は「原体験を持つ人」と答えた。

「私たちは『異彩を、放て。』というミッションのもと、福祉×アートの事業を展開する社会性の強い会社です。そのため応募される方も、自分の人生で何かしら障害に関わったり、マイノリティになった原体験を持つ方が多いですね。私自身は身内に障害の持つ方はいないのですが『マイノリティの方が一気に花開くような仕事をしたい』と思ってキャリアを重ねてきました。同じように自身のライフストーリーと絡めて面接に来られる方が多いですね」

最後にヘラルボニーの採用フローについて、忍岡氏は次のように説明した。

「私たちも面接は2回から3回です。応募した理由を聞くと、自然と人生についてのお話になることが多いので、カルチャーやバリューの合致については必然的にその際に確認することになります。あわせてスキルの確認しますし、場合によってはワークをしていただきます。

面白いのは現場からOKが出た場合でもファウンダー2人と面談して、2人がOKを出さないと採用にならないこと。時には片方がOKを出さないこともあるのですが、それをもう片方が説得している様子は双子ならではのかけあいがあって面白いです」

取材後記

スタートアップにとっていかに人材を採用し、リソースを確保するかは生命線と言えるだろう。それも、ただ人員を増やしただけでは離職率が上がり、カルチャーが崩壊してしまうことも少なくない。今回、登壇したのは、いずれもビジョンに共感した人材を絞って採用し、カルチャーを維持しながら組織を拡大してきた3社だ。これから組織を拡大していくスタートアップにとって、3社の採用事例・ノウハウが参考になるだろう。

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(編集:眞田幸剛、文:鈴木光平)

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