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【Startup Culture Lab. 2024年度 #1レポート】スタメン・NearMe・RECEPTIONISTの代表が登壇! MVVの策定がスタートアップの経営に与えるインパクトとは?

【Startup Culture Lab. 2024年度 #1レポート】スタメン・NearMe・RECEPTIONISTの代表が登壇! MVVの策定がスタートアップの経営に与えるインパクトとは?

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イノベーションを起こし急成長するスタートアップならではの、人材・組織開発に関する学びと知見を広くシェアする研究プロジェクト「Startup Culture Lab.」。2023年は12のテーマを設定し、毎月1回スタートアップの組織開発の経験者・有識者をゲストに招いてトークセッションを開催してきた。

2024年度も56社の研究対象スタートアップが決定し、全12回に渡るセッションとワークショップを通じて、急成長するスタートアップの組織支援を進めていく。2024年度の第1回目となるトークセッションのテーマは「ミッション・ビジョン・バリューを組織の中心に据えた経営とは?」

日本国内で、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の重要性が語られるようになって久しいが、本当にスタートアップにとってMVVが必要なのだろうか。そして、MVVの策定は企業経営にどのような効果があるのか。本記事では、スタメン・NearMe・RECEPTIONISTの代表が登壇し、意見を交わしたセッションの模様をレポートする。

【登壇者】

・大西 泰平 氏 / 株式会社スタメン 代表取締役社長執行役員 CEO

・髙原 幸一郎 ⽒ / 株式会社NearMe 代表取締役社長

・橋本 真里子 氏 / 株式会社RECEPTIONIST 代表取締役CEO

・唐澤 俊輔 / Almoha共同創業者COO / Startup Culture Lab.所長(※モデレーター)

3人の経営者が考えるMVVの意義とは

まずは自己紹介がてら、各社がMVVを作成した経緯を語ってもらうことから始まった本セッション。まず、スタメンの大西氏は同社の創業期に参画した際、既に決まっていたことが2つあったと語り始めた。

それは、社名と理念だ。「一人ひとりが、スターのように輝く会社を創る。」というビジョンから名付けられたスタメンという社名と「一人でも多くの人に、感動を届け、幸せを広める。」という経営理念。事業内容も決まっていない中でスタメンにジョインを決めた大西氏だったが、その理念と経営メンバーの顔ぶれを見て成功を確信したという。

▲大西 泰平 氏 / 株式会社スタメン 代表取締役社長執行役員 CEO

そして、スタメンは2020年にIPOを果たし、大西氏がCEOを引き継いだ際に言われたのが「全部好きなように変えていいよ」という創業者からの言葉。社名も理念も変えていいと言われた大西氏だが、その社名と理念に人が集まり、会社を形づくっていたため変更する気はなかったという。

一方で、スタメンのバリューについて、大西氏は次のように語った。

「私たちにとってバリューは、経営の判断基準になるものです。経営をしていると、明確な答えが出ないケースも多く、社長が勝手に判断すると社員は納得しません。そうした際にバリューに基づいて意思決定をすることで、全社が納得できる判断ができると思っています。また、バリューを作る際に意識したのが『評価・育成・採用』に使えるものにするということ。どんな人を採用し、どう人を育て、どう評価するのか。その基準になるようにバリューを設定しました」

▲スタメンのバリュー(行動指針)として掲げられているのは、「STAR WAY」。「Focus Results」「Work Bravely」「Far Beyond」「Talk Straight」「Take Ownership」「Enjoy Together」という6つの項目で構成されている。

続いて、NearMeの髙原氏は、1年でメンバーが倍以上に増えた際に、リブランディングと共にMVVを策定した。そしてビジョンを決める際に意識したのは、「抽象的であること」だと話す。

▲髙原 幸一郎 ⽒ / 株式会社NearMe 代表取締役社長

同社が掲げる「人と地域に豊かさを紡ぎ、未来を拓く」というビジョンには、具体的な事業内容は含まれていない。髙原氏は「私たちはモビリティカンパニーになりたいのではなく、地域の仕組みをデザインしていく会社になりたい」という想いを込めたようだ。

そして、ミッションは「ビジョンを実現するためのより具体的な方向性だ」と続ける。地域を豊かにする方法が様々ある中で、NearMeが掲げるのは「暮らしの『もったいない』をなくし、『次のあたりまえ』をつくる」というミッションだ。

また、バリューは事業をスケールさせるためのもので、以前は8つはあったものの、より覚えやすくするために5つに絞ったと経緯を語った。

「バリューは順番がとても大事で、私たちが一番目に掲げているのは『Be Healthy』です。心身ともに健康でなければ、いざという時に踏ん張れない。会社としても個人としてもHealthyであることを大事にしています。

その上で『Show Grit』『Side By Side』『Shikumika』『Go Beyond』を表すバリューが並びます。どれもスタートアップにとって大事なことだと思いますが、どれを最初に持っていくかが会社のカラーになるので、順番にもこだわっているのです」

RECEPTIONISTの橋本氏は、NearMeと同じく会社のリブランディングの一環としてMVVを策定したという。創業当初は受付システムのみを開発していた同社だが、コロナ禍で来社する人が激減するなか、日程調整機能を切り出してサービス化するのに合わせてリブランディングが欠かせなかった。

▲橋本 真里子 氏 / 株式会社RECEPTIONIST 代表取締役CEO

時代の変化と共に働き方も大きく変わる中で定めたのが「ホスピタリティを再定義し、働きやすい世の中を創造する」というミッションだ。そして、同サービスで実現したい「ビジネスコミュニケーションをアップデート」をビジョンに掲げた。

これらを策定した一番の目的は、会社の紹介をしやすくするためだという。それまでの「受付システムの会社」というイメージから脱し、ビジネスコミュニケーション全般を改革していく会社だと印象づけるのに役立っていると橋本氏は話す。

加えて、同社が定めている3つのバリューについて、橋本氏は次のように語った。

「バリューの最初に掲げている『成果を出す』は、スタートアップとして活動していくのに、最も大事だと思ったので一番目にしました。そして2つ目が『敬意を払う』です。ギリギリの状態で働いていると、どうしても周りのメンバーやステークホルダーなどへの感謝を忘れがちになります。どんなに忙しくても敬意を払うことを忘れないよう、バリューに連ねました。

そして特に私がこだわったのが、最後の『覇気を纏う』です。長年、受付として働き、多くのビジネスパーソンを見ていると、成果を出し続けたり周りを惹きつける方は例外なく覇気を纏っていました。最初はやる気に満ちあふれている人でも、時間が経って慣れてくると中だるみしてしまうもの。いつまでもモチベーションを維持するためにも、覇気を纏い続けられるようバリューに入れています。

これらのバリューは、私自身が率先して体現しなけれいけない価値観でもあります。日頃から自身の言動を振り返り、まずは自分がバリューを体現できるよう心がけています」

「ミッション共感型採用」のメリット

行動指針であるバリューをいかに社内に浸透させるかーーこの問いに対してNearMeの髙原氏は「会社でよく使われる言葉をバリューにしている」と答えた。『Shikumika』などは、バリューとして策定する前から社内でよく使われていた言葉で、それが会社らしさだという。

普段から使い慣れている言葉をバリューとして定めることで、社内にも浸透しやすくなり、新しく入った社員たちの行動指針にもなると語った。

「私たちのバリューは日々のオペレーションの中での行動指針となる他、経営判断の軸にもなっています。たとえば福利厚生を決めるときなども、バリューに沿った内容になっているか考えながら決めていますね」

日々の会話の中で使われる言葉をバリューにしているNearMeに対し、「日常会話の中でバリューが出てこない」と話すのはスタメンの大西氏だ。バリューを定めた直後は、日々の会話の中でも使われていたと言うが、それが当たり前になってくるとわざわざ口にする機会が減ってきたという。

「バリューが社内に浸透してくると、バリューに沿っていない行動が目立ってきます。すると、マネジメント層でなくとも『その考え方や行動はバリューに合ってないのでは』と指摘できるようになるんです。そのようにして、自然と社員みんながバリューに沿った行動をできるようになりました」

また、NearMe・髙原氏は採用でのMVVの活用の仕方について語った。急成長が必要なスタートアップはジョブ型の採用が欠かせないが、ジョブにこだわりすぎていると、いざというときに他の業務に対応できないケースも出てきてしまう。一方で、ミッションやビジョンに共感して入社したメンバーは、自分のジョブでなくても柔軟に対応してくれるという。そのため、いかに面接時にミッション・ビジョンを的確に伝えるかにこだわっており、「一次面接は必ず私自身が実施している」と語った。

MVVに正解はない。試行錯誤しながら考えていく

セッションの最後に、登壇者から来場者に対してメッセージが送られた。「会社は人でできている」と語ったのはRECEPTIONISTの橋本氏だ。

「これだけ多くのスタートアップの方々が集まって学び合う機会があるのはとても素晴らしく、嬉しく思いました。会社は人でできているため、ぜひみなさんが会社の礎になってください。私自身も本セッションで多くの学びがあったため、みなさんと一緒に会社の成長にコミットしていきたいと思います」

続いて「MVVに正解はない」と語ったのはNearMe・髙原氏。

「本日話したMVVについては、必ずしも正解があるわけではありません、最終的には会社の成長に繋がるように試行錯誤しながら考えてほしいと思います。今回のセッションのように、他社の取り組みを学ぶ機会はとても重要だと思うので、ぜひ私もみなさんと一緒に切磋琢磨していければと思います」

スタメン・大西氏は「理論と感情のバランスをとっていきたい」と話し、イベントを締めくくった。

「MVVの浸透は、突き詰めれば社員にいかに会社のことを好きになってもらい、ワクワク働いてもらうかが重要です。一方で人事設計や制度設計は、そのような感情から遠ざかる傾向があり、理論的に組み立てていかなければなりません。その理論と感情のバランスをうまくとりながら経営していく方法を、今後も諦めずに模索していきたいと思います」

取材後記

リソースもブランド力も少ないスタートアップが、求心力を最も発揮できるのがMVVといえるだろう。成功するかわからないスタートアップに、多くの人が熱狂するのは、その会社が描く未来に魅せられるからだ。

成功しているスタートアップは、事業内容が秀逸なのは当然として、明確かつ共感を得られるMVVを掲げているといっても過言ではない。登壇者たちが言うように「MVVに成功はない」からこそ、経営者は常に自分たちのMVVが適切なのか、それをメンバーや求職者に正確に伝えられているのか模索してほしい。

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(編集:眞田幸剛、文:鈴木光平)

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