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スキンケア、子育て世代支援、洋菓子製造の自動化、酪農家支援――森永乳業グループの新たな事業の柱は生まれるか?森永乳業グループ社内新規事業創出プログラムの全貌と成果。

スキンケア、子育て世代支援、洋菓子製造の自動化、酪農家支援――森永乳業グループの新たな事業の柱は生まれるか?森永乳業グループ社内新規事業創出プログラムの全貌と成果。

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森永乳業グループは、これまでクロスボーダーM&Aなどの戦略を実施し、順調に規模を拡大している。そして昨年からは「非連続成長」というコンセプトを掲げ、新規事業戦略、そしてオープンイノベーション戦略の実行にも取り組んできた。2022年4月には経営企画部内に「非連続的成長推進室」が発足。グループ初の社内新規事業創出プログラム「Mori“NEW”2022」を始動させ、2023年度の事業化承認に向け、7月より部門・役職に関わらず全社からビジネスアイデアを募集(募集テーマ:「おいしさと健康を両立する事業」「サステナブルな社会に貢献する事業」「グローバルな社会問題解決に貢献する事業」の3つ)。また、起案を検討している社員向けのセミナーやワークショップ等も実施した。


すると、初めての試みにもかかわらず、社内から141件もの応募が寄せられ、書類選考を6チームが通過。

その後、約1カ月間かけてユーザーヒアリングなどを行い、顧客と課題の解像度を上げていきながら、10月には経営層・社内協力部門・外部専門家(メンター)を迎えてアイデアのブラッシュアップを行う「MoriNew2022 BUSINESS BUILD」と題した2日間のイベントを開催。最終プレゼンテーションの結果、3件の事業案が採択、1件が継続検討となった。


▲経営層・社内協力部門・外部専門家(メンター)を迎えてアイデアのブラッシュアップを行う2日間の「BUSINESS BUILD」イベントの模様。運営パートナーであるeiicon companyの担当メンターが各起案者に伴走した。

そして、約3カ月のインキュベーション期間を経て、1月27日にDEMO DAYが行われた。ここでは、BUSINESS BUILDからさらに磨きをかけた事業プランを4人の起案者がそれぞれ発表。事業化に向けた取り組みを継続するか否かの審査を行った。

――本記事では、「Mori“NEW”2022」を牽引するコーポレート戦略本部 経営企画部の福井陽一氏にプログラム開催の背景や目的について話を聞くと共に、DEMO DAYのプレゼンテーションの様子と審査結果、そして経営陣のインタビューをお届けする。

【プログラム事務局・福井氏インタビュー】「Mori“NEW”2022」開催の狙いとは? 

グループ初の社内新規事業創出プログラムである「Mori“NEW”2022」。同プログラムが立ち上がった背景や狙いとは?2022年4月に経営企画部内に新しく誕生した「非連続的成長推進室」の室長であり、プログラムの事務局を務める福井陽一氏にインタビューを実施した。

――ここ数年の業績は右肩上がりで、既存事業も順調に推移している状況です。そのような中、新規事業創出プログラム「Mori“NEW”2022」を立ち上げました。まずはその理由について、お聞かせください。

福井氏 : 確かに、この5年ほどの業績を見ると順調に推移しています。ただ、そのために生産性向上と共に、かなり”節制”をしてきたと思っています。利益へのプレッシャーが強まった結果、研究開発やマーケティングなどにおいても既存の枠を超えた挑戦的なことに取り組むのが厳しくなっているという印象を持っていました。既存事業での利益確保はもちろん大事なのですが、連続・非連続に限らずチャレンジを促す風土がなければ次の成長のタネは出てきません。

そうした想いをもちながら、一昨年の秋に中期経営計画を検討する中で、経営層にも新規事業創出に対する課題感があると認識しました。早速、社長や各本部長に承認を得て、さまざまな部署で40人くらいの方にヒアリングしたのです。そうすると、社会課題を解決する新たなアイデアを持っている方が多くいらっしゃることが分かり、それらを具現化するプログラムの必要性を確信しました。


▲コーポレート戦略本部 経営企画部 非連続的成長推進室 室長 福井陽一氏

2004年、森永乳業新卒入社。工場にて製品需給や物流管理業務などを担う。2015年から社外留学し、一橋大学大学院にて修士課程を修了(MBA取得)。2017年、経営企画部に配属となり現在に至る。

――なるほど。そのようにして「Mori“NEW”2022」が立ち上がっていったのですね。今回は、2日間で事業アイデアのブラッシュアップを行うBUSINESS BUILDというスキームで新規事業創出に取り組まれています。このように、短期的な取り組みにした理由は?

福井氏 : 新規事業に挑戦するマインドセットをお持ちの方は、通常業務もとても忙しい方が多いです。そこで今年度はまず、既存事業に極力影響を及ぼさないような形で、新規事業創出プログラムを実施したいと考えていました。そのようなタイミングで、数年前から意見交換を重ね、課題への理解があったeiicon companyさんからBUSINESS BUILDというスキームを提案いただいたのです。

BUSINESS BUILDは、外部のメンターさんを招き、2日間で新規事業アイデアをブラッシュアップさせるというもの。このコンパクトなスキームを採り入れることができれば、既存事業への影響を最小限に抑えることができます。そこで今回、eiicon companyさんに運営パートナーとして入っていただき、BUSINESS BUILD開催に至りました。

社内公募では141件ものエントリーがあり、想像以上の反響がありました。今回BUSINESS BUILD開催に向けては、その中から6件を選出しましたが、初回で事前情報も少ない中チャレンジいただいた方々には感謝の気持ちでいっぱいです。

――その後10月に実施したBUSINESS BUILDのイベント2日間や、その後のインキュベーション期間についてもお聞かせください。

福井氏 : 10月のBUSINESS BUILDの2日間では、森永乳業社内関係部門へのヒアリング、外部専門家によるメンタリング、ビジネスアイデアの整理、中間プレゼンテーション、さらなるメンタリングとアイデア整理を繰り返し、集大成として最終プレゼンテーションを行いました。

採択された起案者は、その後およそ3カ月の実証実験・インキュベーション期間を経て、事業化の最終審査会にてプレゼンテーションを行い、そこで事業化の判断が下された事業案は、来年度以降、オープンイノベーション/社外との連携なども見据えながら本格的に事業開発を進めていくという流れです。

BUSINESS BUILDには、外部専門家(メンター)/審査員として、株式会社MTG Ventures 代表取締役 藤田豪氏、Spiral Innovation Partners 代表パートナー 岡洋氏、eiicon company代表 中村亜由子氏の3名にご参加いただき、eiiconメンターにも各起案者にそれぞれ伴走いただきました。


▲【写真右】 株式会社MTG Ventures 代表取締役 藤田豪氏

1997年、日本合同ファイナンス株式会社(現:ジャフコ グループ株式会社)入社。 2005年より中部支社投資部に異動し、2015年支社長へ就任。24年にわたり、シードからレーターステージまでの投資、 投資先各社での取締役就任、ファンドの募集などを手掛け、自動運転、AI、保育IoTといった分野の企業への投資を行ってきた。 2018年、株式会社MTG Ventures代表取締役就任。


▲【写真中】 Spiral Innovation Partners 代表パートナー 岡洋氏

2012年に株式会社IMJ Investment Partners(現:Spiral Ventures Pte.Ltd.)の立ち上げに参画。2015年CCCグループ傘下でIMJ Investment Partners Japanの立ち上げを行い、2019年6月にSpiral Innovation Partners LLP 代表パートナー就任。


▲【写真右】 eiicon company代表 中村亜由子氏

東京学芸大学卒業後、株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)入社。以来、doda編集部、人材紹介事業部法人営業など、HR転職領域に従事。2015年「eiicon」事業を起案創業。2018年よりcompany化。現在はeiicon companyの代表として、23,000社を超える全国各地の法人が登録する日本最大級の企業検索・マッチングプラットフォーム「AUBA」、会員2万人を超える事業活性化メディア「TOMORUBA」等を運営する。

また、森永乳業の経営層からは、常務取締役常務執行役員 コーポレート戦略本部長 野崎昭弘、常務執行役員 サステナビリティ本部長 久野浩子、執行役員 営業本部マーケティング統括部長 南崎康夫が審査員として参加し、その他複数の社内関係部門にも協力を仰ぎ、全社を巻き込む形で実施しました。


▲【写真左】常務取締役常務執行役員 コーポレート戦略本部長 野崎昭弘氏

▲【写真中】常務執行役員 サステナビリティ本部長 久野浩子氏

▲【写真右】執行役員 営業本部マーケティング統括部長 南崎康夫氏

6件の最終プレゼンテーションの結果は、3件の事業案が採択、1件が継続検討。起案者4人は、その後約3カ月のインキュベーション期間を経て、1月27日のDEMO DAYにて事業案の発表を行います。

――実施してみての手応えはいかがでしたか。

福井氏 : グループ初の試みでしたが、「実施前に描いたイメージに近いものができた」という感触です。もちろん、外部専門家(メンター)さんやeiicon companyさんの協力があってこそですが、何より社員のみなさんがこのプログラムをポジティブに捉えてくれたことが大きかったです。大貫社長からのメッセージなどのおかげで、思った以上に認知されていたのだと感じました。

一方で、普段の業務と進め方も違いますので、事前準備や心構えも重要だと実感しましたし、事業起案者への負荷はとても高く、通常業務もある中でよく推進できたと思います。

アイデアを具現化する中では、起案者それぞれが少なからず壁にぶつかりました。そんな中で多くの関係部門の方から暖かいサポートをいただいたことは、大変ありがたかったです。今回、起案者の頑張りと社内外多くの皆さんに支援によって、4つの事業案が無事にDEMO DAYを迎えられ、感謝の限りです。

BUSINESS BUILD採択後、3カ月間のインキュベーションを経て、ブラッシュアップされた4つの事業案

DEMO DAYの審査員は、森永乳業株式会社 代表取締役社長 大貫 陽一氏、株式会社MTG Ventures 代表取締役 藤田豪氏、eiicon company代表 中村亜由子氏の3名。「実現可能性」「競合優位性」「収益・事業持続性」「事業拡張性(市場性)」「事業リスク・参入課題の抽出・対策」の5つの基準で審査が行われる。

オープニングでは、今回のプログラムの起案者である経営企画部の福井氏が、プログラムの簡単な振り返りと、関係者への謝意を述べた。そして、事業起案者である4名を激励するムービーが上映された後、いよいよプレゼンテーションが始まった。


●自社原料を活用したスキンケア製品で、産後ママの肌悩みを解決

営業本部 EC事業統括部 平山洋介 氏


平山氏は、産後に様々な肌のトラブルに悩まされるママ世代をターゲットに、スキンケア製品を自社原料の活用により開発する提案を進めていた。実現すれば森永乳業にとって新たな事業領域となる。

ただ、スキンケア製品のノウハウを持たない森永乳業が開発を進めるには、信頼できるパートナーの存在が不可欠となる。平山氏は、既にそのパートナーについても見当を付けておりコンセプトに強く共感を得られているという。今後、戦略の再構築、徹底的なリサーチ、安全性や有効性の証明ができ次第、すぐに最小ロットでの生産スタートを狙う。そしてゆくゆくは海外市場への展開も目指す。

●子育て世代の負担を軽減する新サービス【内容非公開】

営業本部 マーケティング統括部 青木陽 氏


●ホイップ工程の自動化で、慢性的な人材不足を解決

研究本部 フードソリューション研究所 橋本一平 氏


「洋菓子製造に産業革命を起こす」をコンセプトとした事業プランの発表を行ったのは、入社後一貫してクリームの事業に携わってきたという橋本氏だ。

洋菓子製造業界は、慢性的な人材不足に悩まされている。離職率が高く、確かな技術を持つ人材の採用は難しい。特に、ホイップ工程は日によってコンディションにバラつきが出るため、専門的な技術が必要だ。一方で、洋菓子製造の商品サイクルは早く、人材は1日も早い習熟が求められる。

こうした状況を解決すべく、橋本氏はホイップ工程の自動化サービスを提案した。事業化にあたっては、社内の知見を持つメンバーとタッグを組み、装置販売やデータサービスなどの提供により、3年で黒字化を狙う。さらには、周辺市場に対しても拡張していく見込みだ。「ロボットが洋菓子を製造する世界を21世紀で実現し、どこでも日本品質の洋菓子が食べられるよう、新たな市場を切り拓いていきたい」と、橋本氏は決意を述べた。

●収益源の拡大や後継者問題にアプローチし、酪農家の未来を創出

営業本部 食品素材統括部 鴨志田真弓 氏


最後に登壇したのは、乳業メーカーらしく牛の着ぐるみに身を包んだ鴨志田氏。昨年10月のBUSINESS BUILDで継続検討プロジェクトとなった提案をブラッシュアップし、酪農家の支援事業のプレゼンテーションに挑んだ。

森永乳業と大切なパートナー関係にある、酪農家。しかし国内酪農家を取り巻く環境は、非常に厳しい。年間約900戸が廃業に追い込まれ、この20年間で酪農家の数は半分以下になっているという。そこには様々な課題があるが、その中には森永乳業の既存事業で取り組みが行われているものもある。今回の鴨志田氏の提案は、現状では取り組みが進んでいない「生乳以外の収益減」と「後継者・労働力不足」の課題解決につながるものだ。

事業化が実現すれば、乳製品の価値向上、酪農の魅力発信、後継者の創出など、多面的かつ計画的に酪農の未来の創出に向けた取り組みを重ねていく予定だ。「本事業は負担が大きく、利益は大きくないかもしれない。だからこそ、参入されにくい。森永乳業の本気を今こそ見せる時」と、鴨志田氏は想いを込めて語った。

【大貫社長による結果発表・講評】4つの事業案すべてが事業化に向けて継続!

白熱した審査の後、森永乳業 代表取締役社長である大貫氏から結果が発表された。


――今回は見事4案すべてが、事業化に向けた次のゲートに進むこととなった。それを受け、起案者たちは次のように語り、事業化への熱意を見せた。

営業本部 EC事業統括部 平山洋介 氏は、「BtoB部門の皆さんにも協力をいただきながら色々な会社を回る中で、当社の原料が実に様々な場面で使われていることを知り、まだ色んな可能性があると感じた。既存ビジネスにも、新しい事業にも、双方に良い影響を与えられるといいと思う」と、今後の展開に目を向けたコメントを発した。


営業本部 マーケティング統括部 青木陽 氏は、「この数カ月、通常業務を並行していき、大変厳しい面もあった。毎晩夢に出てくるほど自分を追い込んでいた。これから先、事業化に向けてさらに越えねばならない壁があると思うが、熱意だけは燃やし続け、将来このサービスを使う人に向けて開発していきたい」と、熱い想いをにじませた。


研究本部 フードソリューション研究所 橋本一平 氏は、「次回のMori“NEW”2023では、また新たな挑戦者が出てくるはず。その人たちが今回の採択メンバーを見た時に、みんな明るく楽しくやっていると思ってもらえるようにしたい。そして、私自身も次回ぜひチャレンジャーとして新たな提案を行いたい」と、早くも次回プログラムへの意欲をみせた。


営業本部 食品素材統括部 鴨志田真弓 氏は、「昨年10月のBUSINESS BUILDで継続プロジェクトとしていただいたおかげで、ここまで詰めることができた。3カ月間、大変だったがこれほど楽しいことはなかった。この気持ちのままで、次のゲートも突破できるように頑張りたい」と、関係者への感謝と決意を述べた。


【大貫社長・野崎常務インタビュー】 会社として全力で新規事業提案をフォローしたい

DEMO DAYのプログラムが全て終了した後、森永乳業株式会社 代表取締役社長 大貫 陽一氏と、常務取締役常務執行役員 コーポレート戦略本部長 野崎昭弘氏にインタビューを行った。改めて、今回のプログラムに対する会社としての期待、そして社内からの反響が伺い知れる取材となった。

――改めてになりますが、今回のプロジェクトを開始した背景をお聞かせください。

大貫氏 : 森永乳業では、以前から新規事業だけではなく様々な提案について、社内で窓口を設けて受け付けていました。そして、優れた提案には表彰も行っていました。しかし、多くのケースがその提案を称えるだけで終わってしまい、その後の具体的な事業化などにはつながっていなかったのです。社員が自発的にチャレンジをする風土を醸成し、会社の文化を変えていくには、それだけでは足りないと考えていました。

そこで今回は、採択したテーマについては会社として事業化へのフォローをしていくことを明言しています。投資家や起業のプロにもメンターや審査に入っていただきました。初回にもかかわらず、140件を超える応募があったため、これを機に文化が変わっていくのではないかと期待しています。


▲森永乳業株式会社 代表取締役社長 大貫 陽一氏

――審査は白熱したと伺いました。どのようなポイントを議論していたのでしょうか。

大貫氏 : 審査に入っていただいた藤田さんや中村さんから、スタートアップが事業化していくことの大変さ、業界がレッドオーシャンであることがどれほど厳しい状況かなど、私たちにない視点で様々な意見を頂戴しました。一方で私たちは乳業においてはプロですから、市場やビジネスについての知見など、慎重に意見交換を行いました。その結果、今回はすべての事業プランの採択に至ったのです。

――改めて、「Mori“NEW”2022」全体を通しての感想をいただけますか。

大貫氏 : 提案については、人手不足や子育て世代の課題など、社会課題の解決に焦点が当たっているものが多く、頼もしく感じました。そして、インキュベーション期間は通常業務を抱える中で、時間の捻出など非常に大変だったと思います。その中でも、調査に出向いたり、その道のプロに話を聞きに行くなど、足を使い、頭を使い、熱意を持って真剣に取り組んでいる様子が伝わってきました。

野崎氏 : 私は昨年10月のBUSINESS BUILDにも参加し、その熱量に圧倒されましたが、今回はそれを上回るエネルギーに感嘆しました。提案内容としては、BUSINESS BUILDの段階では、正直なところ実現可能性に不安が残るものもありました。しかし、3カ月のインキュベーション期間を経て、非常に精度が高まったと思います。これも、社内外の様々な方々との連携やご支援があったからこそです。感謝したいですね。


▲森永乳業株式会社 常務取締役常務執行役員 コーポレート戦略本部長 野崎昭弘氏

――今回のプログラムについて、社内にもしっかりと発信しているそうですが、社員の方々の反応は聞こえてきていますか?

大貫氏 : ここ最近、全国の支店や工場に出張をすると、決まって社員から「次回は私も提案したい」と声を掛けられるようになりました。全社的に注目度が高いことを感じます。また、他社の社長とよく話題にするのですが、社内SNSで社長メッセージを配信しても「いいね」の数が少ないんですよ(笑)。これは社長に共通する悩みだと思います。

しかし、今回の新規事業プロジェクトに関するメッセージは、これまでとは明らかに社内の反応が違います。過去最高の「いいね」数だったのではないでしょうか。それだけ、社内から向けられる期待の大きさを感じました。

――最後に、今後の新規事業創出プログラムの展望についてもお聞かせください。

大貫氏 : 社内から非常に注目されているプログラムですから、社員をがっかりさせることのないよう、今回採択した4つの提案を事業化に向けて全力でフォローしていきます。具体的には、4月以降に各案件に必要な実証予算と併せて、起案者の人事異動を含む推進体制の構築を考えています。それが、今後の応募にもつながっていくと信じています。

さらに、今回は採択に至らなかった130件以上の提案も、無駄にはしたくありません。提案してくれた人たちにどうフィードバックをして次につなげていくのか、考えていきたいです。そして、会社の財産としてデータベース化もしていきたいですね。

野崎氏 : 社長が申し上げたとおり、手を挙げてくれた社員の熱意を裏切らず、バックアップしていきます。もう1つは、プログラム運営の組織についてです。今回は、起案者である福井が孤軍奮闘していましたが、継続するには組織として体制をつくっていくことが重要です。

テーマ検討もそうですが、今後は単体ではなくグループ会社にもその輪を広げていったり、プログラムの中身を見直したりと、改善をしていきたいと考えています。そうすることが、チャレンジする文化の醸成に繋がるのだと信じています。

取材後記

新規事業プログラムの審査では、「実現可能性」や「収益性」など、多面的な判断基準で提案を評価する。事業化に向けて、それらの観点は確かに不可欠だ。しかし、この尺度では測定できないが重要なものがある。それは、起案者の熱意だ。今回、4者のプレゼンテーションから、この「熱意」を強く感じられた。テーマや課題感を強く持ち、ひとかたならぬ想いで練り上げたビジネスプランは、いずれも「実現された世界を見てみたい」と思えるものだった。

さらには、事務局の福井氏による応援ムービー、経営陣のインタビューから、会社が今回の新規事業プログラムに掛ける想い、社員の期待に応える覚悟も窺い知ることができた。今後、4者のアイデアがどのような形で世に出てくるのか、そして次回以降どんなアイデアが寄せられるのか、森永乳業の新たな取り組みに期待したい。

(編集:眞田幸剛、取材・文:佐藤瑞恵、撮影:齊木恵太)

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