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「宇宙ビジネス」における共創も。鹿児島では産官学やスタートアップによるOIの下地作りが着々と進む

「宇宙ビジネス」における共創も。鹿児島では産官学やスタートアップによるOIの下地作りが着々と進む

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オープンイノベーションを実践する地域の取り組みを紹介するシリーズ企画「CLOSEUP OI」。今回は、海、島々、火山、高原と多彩な自然や、そこから育まれた”食”が魅力の鹿児島県をピックアップします。

鹿児島県は、県外に転出した人が県内に転入した人を上回る「転出超過」の状態が続いています。さらに、少子高齢化を背景に人口減少に歯止めがかかっていません。

このような課題を抱える中、鹿児島県では企業の「稼ぐ力」の向上に向けて、事業者のニーズの掘り起こしから事業化・販路拡大までの各段階に応じた支援を行う「新産業創出ネットワーク事業」を実施しています。この一環として、昨年度から、ITの活用により鹿児島県の地域課題の解決を図るイベント「アイデアソン・ハッカソン」を開催し、新しいアイデアを基盤とした新産業の創出に取り組んでいます。

2022年3月には「鹿児島フードハッカソン」を開催、そして2022年11月には「鹿児島観光ハッカソン」を開催しました。これらは、鹿児島県の”食”や”観光”に関する様々な課題に対して、デジタル技術などを活用してこれまでにない解決方法(アイデア)を考え出すことを目的にしたもの。参加者はエンジニアだけでなく、ビジネス企画を考えるプランナーや、営業戦略を考えるマーケター、ユーザーが使いやすいデザインを考えるデザイナー、地元の学生などが全国から集結。様々なスキルを持ったメンバーでアイデアを考え抜き、課題解決のプランを披露しました。

――このような取り組みを通じて、新たな産業やイノベーション創出の下地を作っている鹿児島県ですが、その他にどのような取り組みが実行されているのでしょうか。以下に紹介していきます。

鹿児島県内企業×スタートアップによる共創

オープンイノベーションによって鹿児島県下のイノベーションエコシステムの構築をめざす『鹿児島アクセラレーター2021-Powered by docomo-』が2021年〜2022年に開催されました。

同プログラムは、鹿児島県内に拠点を置く地域中核企業3社<南日本新聞社、株式会社南日本放送、株式会社渡辺組>の多様で豊富な経営資源と全国のスタートアップ企業の持つ全く新しいアイデアや斬新なノウハウの双方を活用して、新たなビジネス・サービスの共創や既存事業のイノベーションをはかることを目的に実施。2022年3月には以下の採択案のように協業先と協業テーマが決定しています。

<鹿児島県下の参加企業・協業先スタートアップとの採択案>

■南日本新聞社

①協業先:株式会社HONEYTHING

協業テーマ:子どもを対象にした、リアルな商いを通じた金融教育プログラムを開催

②協業先:株式会社クリップス

協業テーマ:地方創生をライブコマースで支援、「地場産業+ライブコマース」モール型APP

■MBC南日本放送

①協業先:株式会社クラインベスト

協業テーマ:鹿児島グローカル革命 ~デジタル貿易で鹿児島-海外をもっと身近に~

②協業先:株式会社クローバー

協業テーマ:外国人技能実習生事業 ~共生社会の実現に向けて~

③協業先:株式会社reQ

協業テーマ:鹿児島からお茶文化を発信

④協業先:株式会社TomoBiz

協業テーマ:アプリで免税販売手続きを代行 ~交流人口拡大と地域活性化へ

⑤協業先:株式会社WallBank

協業テーマ:非公開

■渡辺組

①協業先:株式会社ウォーターデザインジャパン

協業テーマ:おうち丸ごとウルトラファインバブル

②協業先:株式会社Z-Works

協業テーマ:介護DX 〜施設と在宅 職員の負担軽減と高齢者のQoL向上を実現〜

上記のように、南日本新聞社はキッズフリマを企画・運営するスタートアップHONEYTHINGとパートナーシップを締結するなど、『鹿児島アクセラレーター2021』による確かな成果が生まれています。

 

▲株式会社 HONEYTHINGによるプレスリリース(2022年3月配信)から抜粋

スタートアップエコシステム構築を目指すプログラム「CHEST」

鹿児島県が主催する「かごしまスタートアップアクセラレータープログラム」が、2022年から開始されています。このプログラムは「CHEST(チェスト)」と呼ばれており、事業成長が期待されるスタートアップに対して優先的に事業成長に関わるリソースを投下することにより、地域からロールモデルとなるような、起業家及び企業を早期に生み出し、鹿児島県内スタートアップエコシステムを構築することで、自立的に起業家が生まれる環境を作ることを目的としています。また、「CHEST」の特徴は以下のようになっており、充実した支援体制を用意しています。

【01】成長する環境作りをサポート

「伴走支援」「専門家リレーション」「域内スタートアップエコシステム」をキーワードに、単なる事業成長支援に留まらず、これから鹿児島県でスタートアップが自立的に成長していくことができる環境作りをサポート。

【02】個別・合同メンタリング

アクセラレータープログラムの採択者には専任コンサルタントを配置し定期的な個別メンタリングなどを通して採択者の要望に合わせたオリジナルの伴走型支援を行います。合同メンタリングでは他採択者と同じ会場でメンターへの壁打ちを実施し、事業に対する視座を上げ、採択者同士の横の繋がりも構築する場にしていただく。

【03】イベントでの起業家・支援者交流

鹿児島県内で同じ志を持つ個人・企業・支援者が定期的に交流できる場(コミュニティイベント)を設けて、年齢・経歴に関わらずスタートアップに関心のある関係者同士が気軽に出会い、相談できるような環境づくりを提供する。

なお「CHEST」は、2022年9月に募集が開始され、以下の3者が採択。同年10月中旬〜2023年3月上旬に支援プログラムが行われています。

■ファーマーズサポート株式会社 / 春日良一 氏

事業タイトル「画像のAI解析技術を用いたスマート農業システムの開発・提供」

■Buddycare株式会社 / 原田和寿 氏

事業タイトル「パーソナライズドヘルスケアを通じた愛犬の適切な健康管理方法の確立」

■holos株式会社 / 川口徹 氏

事業タイトル「鹿児島で始まる環境配慮型ホテル"エコロッジ"」

産官学が連携し、宇宙ビジネスの創出を推進

種子島と内之浦の2か所にロケット発射場がある鹿児島では、宇宙ビジネスの動きを広げようという産学官の研究会が発足し、事業を立ち上げる企業や大学へ補助金などの支援に乗り出すことになりました。それが、「鹿児島県宇宙ビジネス創出推進研究会」です。同研究会には県や大学、それに企業などおよそ50の機関が参加しています。

また、宇宙ビジネス参入促進を図ることを目的とした「令和4年度鹿児島県宇宙ビジネス共創支援事業」の補助金応募も実施されており、以下2つのチームが採択されています。

■ELM & ML 宇宙産業チーム

・チーム構成……株式会社エルム(南さつま市)/株式会社マイクロラボ(福岡県)

・提案事業……Software Defined Radio(SDR,ソフトウェア無線)を用いた人工衛星リアルタイム電波強度トラッキングシステムの開発

■KROX・鹿児島ロケット開発推進チーム

・チーム構成……株式会社ユー・エム・アイ(日置市)/オジマモールド株式会社(曽於市)/鹿児島大学工学部/鹿児島県工業技術センター

・提案事業……炭素繊維複合材料(CFRP)胴体を持つ軽量なハイブリッドロケットエンジンの開発

イノベーションを生み出す、鹿児島県内の拠点

それでは最後に、鹿児島県内におけるイノベーションの起点となる2つの”場”を紹介します。

鹿児島全域から多岐にわたる専門性の集団が中心となって結成された特定非営利法人 薩摩リーダーシップフォーラムSELFは、鹿児島県庁の最上階である18階に、鹿児島県全域と世界をつなぎ、地域に根付いた官民共創によるイノベーションを創発するコワーキングスペース「窓 SOUU」を2022年4月にオープンさせました。コワーキングスペースとしての機能を起点としながらも、人と人、企業、地域、情報をつなぎ、鹿児島ならではの地域に根づいたイノベーションを創発するためのハブとなっています。

 

また、鹿児島市 産業局産業振興部産業創出課は2019年にビジネスインキュベーション施設「mark MEIZAN(マークメイザン)」をオープンさせました。クリエイティブ産業の創出と、スタートアップ支援の拠点施設であるとともに、起業したい人の育成と成長を支援する施設となっています。

 

(TOMORUBA編集部)


シリーズ

CLOSEUP OI ー地方のオープンイノベーション動向ー

全国の自治体が官民で取り組んでいるオープンイノベーションに迫るシリーズ企画。