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人口減少の課題を抱える“うどん県”香川。オープンイノベーション拠点を軸に進む共創とは?

人口減少の課題を抱える“うどん県”香川。オープンイノベーション拠点を軸に進む共創とは?

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オープンイノベーションを実践する地域の取り組みを紹介するシリーズ企画「CLOSEUP OI」。今回は香川県をピックアップします。

“うどん県”として知られる香川県ですが、手袋やうちわのような古くからの地場産業のほか、温暖な気候の中、オリジナル品種やブランド農林水産物も数多く生産されています。さらに、建設機械関連、造船関連、自動車部品関連、電気機械関連などの分野で国内トップクラスの企業が存在しており、それらを中心に、金属加工、金型、溶接等の高度な基盤技術を持つ協力企業が多数集積。一方で、瀬戸内海に面し、アートや文化が豊かで、3 年に 1 度開催する瀬戸内国際芸術祭には、交通の便も良いことから国内外から多くの観光客が訪れています。

――このような産業の特色を持つ香川県では、どのようにオープンイノベーションに取り組んでいるのでしょうか?香川県が打ち出している「第2期かがわ創生総合戦略」を紐解きながら、オープンイノベーションやスタートアップ支援の取り組みを解説していきます。

「人口減少」という課題解決のため、産業創出に取り組む香川県

令和2年3月に改訂版が発表された「第2期かがわ創生総合戦略」。これには、”人口減少問題の克服と地域活力の向上”というサブタイトルがついており、同県では人口減少に大きな課題感を持っていることが分かります。

「第2期かがわ創生総合戦略」では、上図のように2060年に人口約77万人を維持するよう人口の社会増と自然減の抑制に努め、長期的には人口増への転換を目指すことを掲げており、その基本目標として以下の4つが設定されています。

<戦略Ⅰ 人口減少に挑む>

■基本目標1 : 香川への人の流れを創る

■基本目標2 : 誰もが安心して暮らし、活躍できる香川を創る

<戦略Ⅱ 人口減少に適応し、前進する>

■基本目標3 : 活力ある香川であり続けるための元気を創る

■基本目標4 : 人口減少に備えた持続可能な都市と地域を創る

『基本目標1:香川への人の流れを創る』の中で、「産業振興による働く場の確保」が挙げられており、その中の具体的な施策として”産業の創出と維持・発展の促進”が掲げられています。この施策のひとつとして立ち上がったのが、次に紹介する香川県のオープンイノベーション拠点「Setouchi-i-Base」です。

※参考ページ:「第2期かがわ創生総合戦略概要版」

 

香川県のオープンイノベーション拠点「Setouchi-i-Base」

2020年11月、高松市内に誕生した「Setouchi-i-Base」(セトウチ・アイ・ベース)。情報通信産業の育成と誘致を行い、若者の流出と人口減少の防止することを目的として設立された同施設では、「人が集い、学び、交わり、共創する、オープンイノベーション拠点」というコンセプトを掲げています。

具体的には、情報通信関連分野の実践的な講座やセミナーの開催による「人材育成」、多様な人材が集い、ビジネスモデルを創出する「活動・交流の場の提供」、生み出されたアイデアを起業・第二創業、既存企業の競争力強化につなげる「ビジネスマッチング支援」の三つの柱を軸に、若者の働く場の確保に向けて、切れ目のない支援を提供しています。

また、「Setouchi-i-Base」には、NECソリューションイノベータやNTTコミュニケーションズ、四国電力、NTT西日本といった大企業から、高松大学・高松短期大学、香川県内のスタートアップまで、幅広い法人会員企業が在籍。県内はもとより、県外からも多くの人や企業を呼び込む広域拠点としての機能を有しています。

さらに、後述する事業成長支援プログラム「Booster Garage」や「Startup Weekend 高松」、各種ワークショップ、マッチングイベント、勉強会などが積極的に開催されています。

※参考ページ・画像出典:「Setouchi-i-Base」

複数の共創プロジェクトが進行する香川大学「イノベーションデザイン研究所」

香川県下のアカデミアとして、オープンイノベーションに積極的に取り組んでいるのが、香川大学です。2022年10月には、同大学の国際希少糖研究教育機構(※1)が、経済産業省「第4回 地域オープンイノベーション拠点選抜制度」において、地域の企業との産学連携活動を積極的に行っている地域貢献型拠点として選抜。経済産業省による伴走支援のもと、産学連携の強化、イノベーション創出の加速等に取り組んでいます。

また、香川大学では、オープンイノベーションのプラットフォームとして、「組織」対「組織」の研究連携を一体的にマネジメントする「イノベーションデザイン研究所」を2018年10月に設置。さらに、2022年4月には同研究所の活動拠点を構築し、地域・産業界の取組と大学のアイデアを融合する共創環境の形成を促進するため、香川大学職員宿舎の跡地を利用した新棟を開所しています。

なお、「イノベーションデザイン研究所」では、一例として以下のプロジェクトが進められています。

■三豊MaaS/香川大学×あいおいニッセイ同和損保×三咲デザイン

…「メタ認知」と「VRシステム」研究で事故を未然に防ぐ

■地域MaaS(離島医療)/香川大学×あいおいニッセイ同和損保×かもめや

…海を越えるドローン物流

■赤外分光技術/香川大学×日新機械

…赤外線の光で明らかになる可視化技術の未来

■「窓」/香川大学×ソニー

…空間を「窓」でつなぐ自然なコミュニケーション

※1国際希少糖研究教育機構……香川大学を発祥とする希少糖研究を推進するとともに、その研究成果を広く普及させ、地域振興から国際社会への貢献を果たす世界で唯一の希少糖研究拠点として設置。同機構は、希少糖の機能性をあらゆる分野で活用するため、学術的なアプローチでその価値と可能性を広く探求し、糖を使用する全ての産業に高付加価値素材として供給して、新たなイノベーションの創出拠点となることを目指している。

※参考ページ・画像出典:「香川大学 イノベーションデザイン研究所」

香川県におけるスタートアップ支援の動き

最後に、オープンイノベーションにおける重要なプレイヤーとなるスタートアップを支援する動きについて紹介していきます。

前述した「Setouchi-i-Base」で2023年3月に最終ピッチが開催されたのが、香川県で成長志向を持つ起業家等を対象にした、短期集中型の事業成長支援プログラム「Booster Garage」です。

最終ピッチでは、7者の採択者が約2か月かけてメンターと共に磨き上げた事業成長プランを発表。グランプリに輝いたのが、「ITコンサルの拡大に当たる経営・管理」を提案した株式会社Dreamlyでした。

※参考ページ:「事業成長支援プログラムBooster Garage」最終ピッチの受賞者決定!

(TOMORUBA編集部)

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シリーズ

CLOSEUP OI ー地方のオープンイノベーション動向ー

全国の自治体が官民で取り組んでいるオープンイノベーションに迫るシリーズ企画。