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人口減少と雇用機会減少に立ち向かい「下請け体質からの脱却」目指す山梨県のオープンイノベーション戦略

人口減少と雇用機会減少に立ち向かい「下請け体質からの脱却」目指す山梨県のオープンイノベーション戦略

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地方自治体のオープンイノベーション事情を探る「CLOSEUP OI」、今回は山梨県にフォーカスを当てます。山梨県は昔ながらの製造業と、富士山をはじめとした豊富な観光資源が基幹産業となっています。一方で、多くの自治体が抱えるような地域課題の加速が深刻化している現状があります。

そんな課題に対して山梨県は、客観的なデータから課題を洗い出し、オープンイノベーションで産業を盛り上げようとアプローチしています。製造業で培った経験を「下請け体質」ではなく「高付加価値製品を生み出す企業」に昇華させようとしているようです。 


急激な人口減、雇用機会の減少、コロナ禍での観光業の打撃…課題の多い山梨県

山梨県の現状を客観的に見ていくと、深刻な課題が多いことがわかります。まず、多くの自治体が抱えている人口減少について、県内では自然減と社会減いずれも急激に加速しており「負のスパイラル」が止まらない状態です。


産業については、製造業や観光業などが県内の基幹産業となっています。しかし機械電子産業などは、企業の県外撤退等による事業所数の減少が続き、それに伴い県内における雇用機会が失われていることが課題となっています。


また観光については、観光資源は豊かであるものの、訪日外国人の消費単価が他の都道府県と比べて低い水準であることがわかっています。


山梨県は、これらの現状を踏まえて「取り組むべき課題」を6つ挙げています。

 1.人口減少による負のスパイラルの克服

 2.本県経済と雇用を支える基幹産業の発展

 3.地域資源を生かした個性豊かな産業の創出

 4.明日のやまなしを担う子ども・子育て支援の充実

 5.生涯にわたり健康で生き生きと暮らせる地域づくり

 6.地域の暮らしと企業活動を守り、交流を促進する基盤づくり

参考ページ:山梨県総合計画 (基本的事項) 

参考ページ:(2)本県が取り組むべき課題 

山梨県産業技術センターが主導する「下請け脱却」のオープンイノベーション

山梨県はグローバルな潮流から産業界が直面している状況を読み解き、オープンイノベーションによって地域の課題を解決する拠点「山梨産業技術センター」の中長期計画を発表しています。

まず、グローバルな潮流として下記のトピックを挙げています。

 ・経済のグローバル化による生産拠点の海外流出

 ・新興国との技術、価格の競合による競争力低下

 ・第4次産業革命による産業・社会構造等の激変

 ・高付加価値化の戦いに

 ・製造業から IT 企業にメインプレイヤーが移行

この潮流を受けて、山梨県固有の課題を4点洗い出しています。

 ・基幹産業である機械電子業界は、下請け形態が多数を占め、研究開発機能が脆弱

 ・従業員の確保や技術の継承に難

 ・AI/IoT を利活用した生産性向上への取り組み

 ・新事業を展開するための余剰体力、技術資源の不足

前述したように、これまでの山梨県の基幹産業は製造業や観光業ですから、山梨県産業技術センターはよりテクノロジードリブンに振り切っていくことがわかります。

計画は4段階に分けられ、①技術支援機能の強化 ②技術移転・事業化支援機能の強化・拡充 ③イノベーションを推進する拠点作り ④組織運営の最適化、というプランになっています。

この計画を実行することで、最終的には「高付加価値製品づくりとODM型企業への転換」を実現すると言います。要するに、下請け体質からの脱却を目指すという方針です。

具体的な支援内容は多岐にわたっていて、技術面のアドバイスはもちろん試験・分析の相談、専門機器などの設備の貸し出し、人材研修、研究業務の請け負いなど様々です。

さらにイノベーション創出のための補助金予算も確保してあり、「やまなしイノベーション創出事業費補助金(研究開発)」の公募に参加することで100万円から最大で2000万円の補助金を受けることも可能です。

参考ページ:産業技術センター 中期運営計画 

参考ページ:やまなしイノベーション創出事業費補助金について 

【編集後記】世界の潮流からブレイクダウンして地域戦略を講じる

難易度の高い課題が多い山梨ですが、山梨県総合計画の資料などを見ていると、かなり大局を見ながら戦略を打ち出しているように見えます。総合計画の資料は115ページにおよび山梨県の現状や課題を洗い出していますが、トピックのほとんどは世界の情勢を客観的に捉えるファクトから始まっているのが印象的です。

世界の潮流と日本政府の方針を読み解き、その結果として県内の立ち位置を正確に把握しようとしているようです。地方創生を考えるとき、どうしても「地場の強み」をベースに戦略を練ってしまいがちですが、大きな動きをとらえながら最善の一手を繰り出す姿勢は見習うものがあるのではないでしょうか。

TOMORUBA編集部

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  • 北角 強

    北角 強

    • 株式会社インテグリティエナジー
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  • 眞田 幸剛

    眞田 幸剛

    • eiicon company
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