観光業を中心に、共創とDXで新たな価値を創造する。沖縄県のイノベーション施策とは?
オープンイノベーションを実践する地域の取り組みを紹介するシリーズ企画「CLOSEUP OI」。今回は沖縄県をピックアップします。
日本有数の観光地として、観光ホテルや宿泊施設が豊富な沖縄。観光業が経済面における大きな強みとなっていると同時に、観光サービスを中心とした三次産業に経済が依存しているのも大きな課題の一つです。
平成26年には第三次産業の割合が東京についで日本二位でありながら、第二次産業の比率が日本一低いという偏った産業構造となっています。観光業を中心に経済を盛り上げながら、景気に左右されやすい観光業に依存しないよう、新たな経済の柱が求められています。
そんな沖縄が特に力を入れているのが「デジタル社会に対応した足腰の強い経済構造」。官民学が一体となって産業DXを実現し、労働生産性を向上させることで、企業の「稼ぐ力」を強化しようとしています。
――このような産業の特色を持つ沖縄県では、どのようにオープンイノベーションに取り組んでいるのでしょうか?オープンイノベーションやスタートアップ創出の取り組みを紹介していきます。
リゾテック沖縄
沖縄のデジタル社会を実現していく中で、社会・経済DXを推進する取組を総称する「ResorTech Okinawa」。ResorTechは「Resort(リゾート)」と「Technology(テクノロジー)」を組み合わせ「リゾート地沖縄のあらゆる産業を支え、その生産性や付加価値を向上させるテクノロジー」と定義されています。
その一環として、沖縄県内のビジネス交流の創出するResorTech EXPOを年に一度開催。沖縄発のイノベーション・新ビジネス創出を促進すべく、 国内外のIT関連企業と、観光をはじめとする幅広い産業の関連企業・団体が沖縄へ一堂に会しオープンイノベーションを生み出しています。
4度目の開催となった2022年度は「ちむぐくるDX」をテーマに2日間にわたって開催され、160社もの企業が出展。また、70ものセミナー・シンポジウムが行われて、過去最大1.3万人もの来場者を記録しました。
参考ページ:https://resortech-expo.okinawa/
OKINAWA Startup Program
OKINAWA Startup Programは、沖縄から革新的で競争力のあるスタートアップを創出・育成するプログラムです。2017年度よりスタートしており、琉球銀行、沖縄タイムス社、沖縄セルラー電話、沖縄電力、日本トランスオーシャン航空、大同火災海上保険、JTB沖縄、琉球放送の計8社が共同で開催しています。
主催各社はこれまで金融・新聞・通信・エネルギー・航空・保険・観光業界・放送とさまざまな領域で、沖縄県の経済や社会をリードしてきました。そんな主催各社が持つリソースとネットワークを相互活用しながら、革新的で競争力のあるスタートアップをサポートするのが目的です。
プログラムでは、主催各社の持つ資産やネットワークを活用し、参加企業を多方面から実践的に支援しています。また資金調達や企業との業務提携機会を創出し、早期の事業立ち上げ・成長も支援可能です。
※参考ページ:https://okinawa-startup.com/
沖縄スタートアップフェスタ
起業家育成、シード期のスタートアップの支援、県内企業とのネットワーキングの一環として、スタートアップエコシステムの形成を目的に2019年より開催されている『Okinawa Startup Festa』。
スタートアップのブース出展やピッチ、国内アクセラレーターを始めとしたエコシステムに関わる県内外の支援者のセッションなど、様々な趣向を凝らしたコンテンツを用意しています。
※参考ページ:https://startupfesta.okinawa/about/
Okinawa Startup University
Okinawa Startup University は、内閣府の沖縄型産業中核人材育成事業として実施されているアクセラレーションプログラム。約6カ月間にわたって、シードからExitするまでに必要な知識を体系的に学び、スタートアップの行動変容を促していきます。
スタートアップの初期フェーズにおいて課題となるプロダクト開発、マーケティング・組織づくり・ファイナンスの講座や、1dayブートキャンプを実施し、将来的に国内外に大きく飛躍する素地を整えます。
※参考ページ:https://r-digico.co.jp/event/osu/
沖縄イノベーション・エコシステム共同研究推進事業
沖縄イノベーション・エコシステム共同研究推進事業は、県内の大学・高等専門学校が有する研究シーズと企業ニーズをマッチングし、産学連携による事業化を目指す出口志向型の共同研究を支援することで、オープンイノベーションを誘発し、イノベーション・エコシステムの形成を推進することを目的としたプロジェクト。
産業化等に向け重点的な支援が求められている先端医療分野や感染症分野などの研究分野について、産業化や社会実装に結び付けるための研究を推進します。
※参考ページ:https://www.ostc-okinawa.org/news/3389.php
琉球frogs
『Ryukyufrogs / 琉球frogs』は、1ヶ月間のグローバル研修を中心に、約半年間の高度な研修プログラムを実施するハイブリッドイノベーター型人財育成プログラム。地域の持続的かつ発展的な経済自立の実現のために、世界と地域をつなぐグローカル志向の若手イノベーター人財を発掘・育成する」という理念のもと、2008年からスタートし、これまでに地域の中学生から大学生約100名を送り出しています。
PBL(Problem Based Learning)手法を中心としたカリキュラムで構成されており、社会課題と向き合いながら、『◯◯×テクノロジー』をテーマに、本気でビジネスを創造しています。
一人でも多くの若者が、限られた狭いコミュニティに中で生きる「井の中の蛙」から脱却し、世界という「大海」視点で考動できる未来人財として磨かれ、どの業界や分野でも活躍できる「アントレプレナーシップを身に付けたハイブリッドイノベーター」に変化成長することを目指しています。
※参考ページ:https://www.ryukyu-frogs.com/about
(TOMORUBA編集部)