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「フードバレーとちぎ」を通して企業間連携を推進。イノベーション創出により産業成長を目指す栃木県

「フードバレーとちぎ」を通して企業間連携を推進。イノベーション創出により産業成長を目指す栃木県

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オープンイノベーションを実践する地域の取り組みを紹介するシリーズ企画「CLOSEUP OI」。今回は栃木県をピックアップします。

世界遺産の日光東照宮や日本三名瀑の一つである華厳の滝、紅葉の美しい中禅寺湖、鬼怒川温泉など風情のある名所が点在する栃木県は、製造業が県内経済を牽引する「ものづくり県」です。製造品出荷額等約8.9兆円、県内総生産額に占める製造業比率41.2%(全国2位※)と全国屈指の実績を誇ります。様々な産業がバランスよく集積していますが、中でも自動車・航空・産業用等の輸送用機械、医薬・医療関連が特に集積しています。(※2020年工業統計調査より)

――このような産業の特色を持つ栃木県では、どのようにオープンイノベーションに取り組んでいるのでしょうか?栃木県が打ち出している重点戦略「とちぎ未来創造プラン」を紐解きながら、オープンイノベーションやスタートアップ支援の取り組みを解説していきます。

栃木県重点戦略「とちぎ未来創造プラン」とは?

栃木県では、2021年2月に、2021年度から5年間の県政の基本指針となる栃木県重点戦略「とちぎ未来創造プラン」を策定しました。このプランは、同県の目指す将来像「人が育ち、地域が活きる 未来に誇れる元気な“とちぎ”」の実現に向け、基本的な考え方や目標などを示す県政の基本指針として策定されています。

「とちぎ未来創造プラン」では、人口減少・少子高齢化の進行、頻発・激甚化する豪雨災害、新型コロナウイルス感染症の感染拡大など、栃木県が直面する諸課題を乗り越え、今後5年間でめざすとちぎの将来像を実現するため、重点的に取り組むべき戦略を設定。具体的には、以下の5つの重点戦略に位置付けたプロジェクトを推進しています。

・重点戦略1:人材育成戦略

・重点戦略2:産業成長戦略

・重点戦略3:健康長寿・共生戦略

・重点戦略4:安全・安心戦略

・重点戦略5:地域・環境戦略

特に、「産業成長戦略」では、”とちぎの明日を創る産業成長プロジェクト”や”活力ある農林業実現プロジェクト”などに着手。産業の成長化を実現すべく、イノベーション創出などに取り組んでいます。――それでは次から、具体的にどのような取り組みが実施されているのか見ていきます。

栃木県内におけるイノベーション創出支援事業

2022年度から取り組んでいるのが、「オープンイノベーションプロジェクト支援補助金」事業。この事業は、未来3技術(AI・IoT・ロボット、光学、環境・新素材)を活用した戦略3産業(自動車、航空宇宙、医療福祉機器)等における課題(生産性向上、コスト削減、高付加価値化、新分野進出等)の解決に向け、産学官金が連携したオープンイノベーションプロジェクトの創出を図ることを目的とします。

2022年度については、県内企業2社に補助金を交付。それが、航空機の複合材料、CFRP製品、機械加工品、プラスチック金型用の駒等を製造する株式会社テツカクリエートと、コンパウンド・発泡体を中心とした複合資材を提供する三福工業株式会社です。

具体的には、以下のプロジェクトテーマに取り組むとのことです。

・株式会社テツカクリエート「ホットプレスを用いたスーパーエンプラ(熱可塑性CFRP)積層パネルの成形加工とリードタイム短縮」

・三福工業株式会社「自動車の衝突防止センシングデバイス(ミリ波レーダー)向けの超高性能な銅張積層基板の開発」

なお、「オープンイノベーションプロジェクト支援補助金」は2023年度も継続して実施されており、7月31日までが公募期間となっています。

※参考ページ:栃木県産業振興センター「オープンイノベーションプロジェクト支援補助金」

https://www.tochigi-iin.or.jp/home/3/42.html

また、栃木県ではイノベーション創出プログラムである、「栃木県チームイノベーション実践プログラム」を実施しています。これは、コロナ禍やDX等、社会経済情勢の激変する環境においても、自らを改善し成長し続ける企業を育成するための実践型プログラムで、2021年度、2022年度に実施。栃木県内の学習塾や人材派遣、自動車整備、道の駅など様々な業種の企業が9か月間にわたってチームイノベーションの実践に取り組みました。本プログラムの2023年度も継続して実施されています。(応募期間は終了)

※参考ページ:栃木県ホームページ「令和5年度栃木県チームイノベーション実践プログラム」

https://www.pref.tochigi.lg.jp/f03/r4teaminovation.html  

食をテーマに企業連携を図る「フードバレーとちぎ」

栃木県は、全国有数のものづくり県であるとともに、豊かな農産物や豊富で良質な水に恵まれ、首都圏の食料供給基地として発展してきました。そこで、“食”に関連する産業の振興を図ることにより、“食”をテーマに地域経済が成長・発展し、活力あふれる「フードバレーとちぎ」を目指す取り組みを全県を挙げて推進しています。

フードバレーとちぎ推進協議会には、食品製造、小売り、農業など1000社以上が加入。それぞれの商品や販売ノウハウを結集し、新たな商品やサービスを創出しようと企業間連携促進事業を開始。2021年12月に「企業連携マッチング交流会」を初めて開催し、14社が事業プランを発表した。その中で実現したのが、飲料コンサルティング業のウィンウィンが提案した「とちぎのいいもの応援自販機」。これは、フードバレーとちぎ推進協議会に所属する会員企業の商品を販売する自動販売機で、ソースやせんべい、スイートポテト、イチゴ果汁入りの炭酸飲料のほか、花をオイルに浸したハーバリウムの計10品を販売した。

このように、「フードバレーとちぎ」では、企業間連携マッチングに積極的に取り組み、オープンイノベーション

の手法を用いながら新たな事業創出を目指しています。

※参考ページ:フードバレーとちぎ推進協議会ホームページ

https://foodvalley-tochigi.jp/index.php

宇都宮市内でイノベーション創出に貢献する「宇都宮アクセラレーター」

栃木県の県庁所在地である宇都宮市。同市が運営する起業家支援施設「宇都宮ベンチャーズ」を舞台に開催されているのが、「宇都宮アクセラレーター」です。「宇都宮アクセラレーター」は、市内におけるスタートアップ企業のビジネスを加速・拡大させ、市内経済の活性化や雇用の創出につなげることを目的に2018年にスタートしたプログラムです。過去5回のプログラムでは39社を採択。以下のように2022年度には9社を採択し、10件の実証実験・ビジネスマッチングを成功させるなど、市内でのイノベーション創出に貢献しています。

<2022年「宇都宮アクセラレーター」採択企業>

・株式会社BULL/モビリティ分野

宇宙環境の利活用を支えるインフラとしてのデブリ対策事業

・株式会社WAQUOISE/スポーツ・健康分野

スポーツ、運動体験による経験資産投資事業

・有限会社鳥海メディカルサービス/スポーツ・健康分野

「医療データのデジタル化」×「オンライン予約システム」で介護施設の運営を効率化

・株式会社ロミクス/スポーツ・健康分野

新たな健康&体調指標の開発と健康予防教育機会の醸成

・日本美容創生株式会社/スポーツ・健康分野

美容と医療を繋ぐ女性の更年期セルフケア

・株式会社スマートホテルソリューションズ/観光・エンターテイメント分野

「ろまんちっく村×DX」で“デジタル道の駅”化事業

・株式会社エコロギー/環境・脱炭素分野

サステナブルで健康に、クリケットプロテインでつくる健やかな未来

・サグリ株式会社/食・農業分野

衛星データおよびAIを活用した作付け調査業務のデジタル化

・株式会社オーケープランニング/食・農業分野

組合せ計量機によるイチゴのトレー詰め作業の省力効果等の実証

▲「宇都宮アクセラレーター2022」第5期採択者キックオフイベントの様子(画像出典:プレスリリース

なお、「宇都宮アクセラレーター」の第6期となる2023年度は、創業前および創業直後の起業家が受講できる「インキュベーションコース」や中核企業の製造技術、設備、知財、取引先等が活用できる「オープンイノベーションプログラム」を新設し、幅広いフェーズのスタートアップに対して伴走支援を実施するとのことです。

※参考ページ:宇都宮ベンチャーズ

https://utsunomiya-ventures.com/ 

栃木県内のスタートアップ支援

最後に、イノベーション創出のために大きな役割を担うスタートアップの支援について紹介していきます。

栃木県では、県内スタートアップ企業の事業継続・成長を図るため、事業の仮説検証や事業拡大、資金調達、販路開拓等、県内スタートアップ企業が抱える課題解決のための個別伴走支援「スタートアップ企業グロースサポートプログラム(SGP)」を2022年度より実施。以下の県内スタートアップ6社を採択しました。

・株式会社akf 

・ガチャマンラボ株式会社

・株式会社サイエンティフィックケアマネジメント

・株式会社SOLAR POWER PAINTERS

・ならでわ株式会社

・株式会社PLAYWORK

なお、2023年度も引き続き、「スタートアップ企業グロースサポートプログラム(SGP)」は実施されています。(募集期間は終了)

※参考ページ:栃木県ホームページ「令和5年度スタートアップ企業グロースサポートプログラム(SGP)の実施について」

https://www.pref.tochigi.lg.jp/f03/startup/r5_sgp.html

一方で、栃木県内のアカデミアである宇都宮大学では、認定をうけた大学発ベンチャーを「認定ベンチャー」として支援。2023年7月現在では、以下の7社が認定ベンチャーとなっています。

・有限会社マロニエ技術研究所/設立:2004/10/22

空気清浄機(浮遊ウイルス、細菌等の除菌&脱臭)の製造と販売

・REACT株式会社(旧社名:アイ・イート株式会社)/設立:2014/10/31

ロボット及び自動化機械・機器に関する研究開発

・株式会社アグリクリニック研究所/設立:2015/2/2

炭酸ガスによる害虫防除装置の販売、環境にやさしい防除技術の普及と指導

・株式会社CrowLab/設立:2017/12/21

カラス被害対策のコンサルティングやサービス提供

・株式会社オリゼ(旧社名:株式会社アグクル)/設立:2018/5/28

発酵調味料・甘酒の販売

・株式会社ナーステックラボ/設立:2019/8/13

福祉器具の研究開発および販売

・株式会社ネイチャートレイル研究所/設立:2022/10/11

国内外のネイチャートレイルに関する自然文化誌的な調査研究、ネイチャートレイルの利用実態及び自然環境調査、ネイチャートレイルの高度利用を可能にするデジタル基盤の構築等

※参考ページ:宇都宮大学ホームページ「宇都宮大学発ベンチャー」

https://www.utsunomiya-u.ac.jp/activity/community/spinoff.php 

(TOMORUBA編集部)

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  • 田中仁

    田中仁

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  • 眞田 幸剛

    眞田 幸剛

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CLOSEUP OI ー地方のオープンイノベーション動向ー

全国の自治体が官民で取り組んでいるオープンイノベーションに迫るシリーズ企画。