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三重県からイノベーションを巻き起こす!革新的な老舗ホスト企業4社が描く共創未来とは?―8/22パートナー募集開始

三重県からイノベーションを巻き起こす!革新的な老舗ホスト企業4社が描く共創未来とは?―8/22パートナー募集開始

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日本列島のほぼ中心に位置する三重県。経済活動別生産額に占める製造業の割合は3割以上、製造品等出荷額は全国トップ10以内という、日本有数の工業地域だ。そして、伊勢神宮や熊野古道などの歴史ある観光地、海・山・川の自然と食資源が豊富で、「美し国(うましくに)」と称されてきた。

そんな三重県には昔から根付く文化がある。古いものを作り替え、永遠に若々しくある「常若(とこわか)」の精神だ。この精神のもと、三重県はイノベーションの土壌を着実に育んできた。そして、今回開催されるのが「TOKOWAKA-MIE BUSINESS BUILD」だ。 三重県内のホスト企業4社が、全国からパートナー企業を募集し、新たなビジネスモデルの創出や社会課題・地域課題の解決を図る。

ホスト企業となるのは、三重県内の以下4社だ。


株式会社マスヤグループ本社 (主な事業・製品:おにぎりせんべい)

募集テーマ「デジタル技術を用いて工場の生産計画をアップデート」


南出株式会社 (主な事業・製品:造園緑化資材)

募集テーマ「テクノロジー活用でサステナブルな都市緑化の仕組み創出」」


有限会社二軒茶屋餅角屋本店 (主な事業・製品:クラフトビール・清涼飲料)

募集テーマ「ホップの未知なる可能性を秘めた新たな清涼飲料の市場を創造する」


三重化学工業株式会社 (主な事業・製品:保冷剤)

募集テーマ「保冷材製造で培った独自技術の応用で日常生活を支える新製品の開発」


TOMORUBAでは、本プロジェクトを推進する三重県デジタル社会推進局、そしてホスト企業4社にインタビューを実施。「TOKOWAKA-MIE BUSINESS BUILD」開催の目的・背景や、各ホスト企業が掲げる募集テーマや提供リソース・アセットなど、詳しく話を伺った。

【三重県事務局】 外部共創の意識が高い三重県の企業。新たな事業のきっかけを創出したい

まずは、「TOKOWAKA-MIE BUSINESS BUILD」の事務局となる三重県デジタル社会推進局の三野氏・伊藤氏・矢形氏の3名にインタビューを実施。三重県における産業の現状・課題や、今回の取り組みへの意気込みを聞いた。


▲左から、三重県デジタル社会推進局 デジタル事業推進課 新事業創出班 主任 矢形 祐季氏、課長補佐兼班長 三野 剛氏、係長 伊藤 祐介氏

――はじめに、三重県の産業やビジネスにおける特徴と課題についてお聞かせください。

三野氏:三重県は南北180㎞東西100㎞の地形で、製造業が盛んです。人口では47都道府県の中位あたりですが、製造品等出荷額では毎回トップ10に入っています。そして、産業としては大きく4つのエリアに分けられます。

まず北部は四日市を中心としたコンビナートで、化学系の企業や自動車関連企業が集積しています。中部には、シャープの亀山工場に代表される、ハイテク・電子デバイス系の企業が多いです。また、三重県は高速道路網が発達しており、西部の伊賀地方には関西系の工作機械メーカーなどが進出しています。さらに南部は地域資源が豊かで、伊勢志摩の観光産業や松阪牛・伊勢えびといった食品産業が発展しています。

次に課題ですが、ひとつは若年層の人口流出が多いことです。地元の高校を卒業後、愛知県や関西の大学に進学する若者が目立ちます。もうひとつは、主に自動車関連企業やコンビナートにおけるカーボンニュートラルへの対応です。加えて、全国的な傾向と同じように、事業承継や新規販路開拓に課題を抱える企業が多く見られます。製品・サービスのライフサイクルの短期化という背景もあり、自前の経営資源では変化に対応できなくなってきているのです。

その中でも持続的な成長を実現するためには、オープンイノベーションの推進が欠かせません。そこで、三重県として共創プログラムである「TOKOWAKA-MIE BUSINESS BUILD」に取り組むことを決めました。

――今回の共創プログラムにおいては、春ごろにホスト企業を募集していらっしゃいましたね。企業の反応、手応えはいかがでしたか?

伊藤氏:様々な企業にお声掛けをしましたが、ホスト企業を募るのには正直苦労もありました。しかし、最終的にホスト企業にならなかった企業も、想定していた以上にオープンイノベーションへの理解度や積極性が高いことに驚きました。特に今回参画しているホスト企業4社は、他社との共創に慣れており、大変前向きにスピード感を持って取り組んでいただいています。

――では、今回のプログラムにかける想いをぜひお聞かせください。

矢形氏:三重県では、中小企業の意識やニーズを探るアンケートを毎年行っています。そこで、8割以上の企業が「外部共創先を探している」というデータがあります。多くの企業が外部共創の重要性を認識しているのですが、一方で手を組む先の企業がなかなか見つからないという問題があります。だからこそ、県が率先して機会を創出することが必要です。

今回の共創プログラムは、1年という期間が定められていますが、熱意のあるホスト企業4社が揃っていますので、ぜひこの先につながる新しい事業の契機になればと思っています。私たち三重県も、丁寧に対応していきますので、ぜひご応募ください。

【ホスト企業】 三重の地から全国、そして世界を目指すユニークな4社に聞く

ここからは、ホスト企業となる4社(マスヤグループ/南出/二軒茶屋餅角屋本店/三重化学工業)が登場。募集テーマの内容や提供リソース、アセットなどについて話を聞いた。

①マスヤグループ――「50年以上のロングセラー米菓を製造する工場を、デジタルの力でアップデートしたい」

全国のスーパーやコンビニで販売されるロングセラー『おにぎりせんべい』など、米菓の製造販売をおこなうマスヤ。同社は、「デジタル技術を用いて工場の生産計画をアップデート」をテーマに掲げ、共創パートナーを求めている。執行役員の神山氏に、今回のプロジェクトにかける想いを聞いた。


▲株式会社マスヤグループ 執行役員 グループCIO 神山 大輔氏

――マスヤグループの事業についてお聞かせください。

神山氏:マスヤグループは、「おにぎりせんべい」などの米菓製品を製造販売する株式会社マスヤを中核企業とする企業グループ群で、伊勢志摩エリアを中心に多種多様な事業を展開しています。

大吟醸酒「おかげさま」などの製造販売に加え、経済成長著しい中国やアジアでの事業活動、地域社会が直面するニーズに応える高齢者ケア事業、観光立国時代に求められる伊勢志摩地域におけるリゾート施設・カフェ・ブライダル施設の運営、旅のコンシェルジュとなる観光事業など、時代に即した新しい事業にも積極的に取り組んでおります。

――今回の共創プログラムに、なぜ参画を決めたのでしょうか?

神山氏:グループ企業の業種は多種多様ですが、全体でみるとコロナ禍の影響を大きく受けています。これまでと同じことをしていても、コロナ前の状態に戻ることはできません。そこで何か新しいことに取り組む必要があると考え、DXなどを進めていたところ、三重県さんから本件の情報を提供していただき、「これだ」と思いました。

地方では、都会の企業のように色々な会社がアプローチしてくれることはほとんどなく、オープンイノベーションが起こりにくい環境だと感じていたので、今回の三重県さんのお話しを聞いて何かできないかと思ったのです。そして、やるからにはグループ中核企業のマスヤで行うべきだと決めました。

――今回のテーマ「デジタル技術を用いて工場の生産計画をアップデート」を設定した背景をお聞かせください。

神山氏:マスヤは歴史のある会社で、主力製品である「おにぎりせんべい」は2019年に50周年を迎えました。多くの年数を重ねると、どうしても工場設備の老朽化は進んでしまうものです。そして、昔ながらの業務プロセスも見直す必要があるでしょう。

ほかにも、工場で働く人材のスケジュール管理や、売上予測と生産計画の連動など、課題は決して少なくありません。原料高、エネルギーコスト高騰のなかでも、安易な価格転嫁はしたくないため、デジタルの力を用いて改善できるところは改善したいと考えています。そこで、今回のテーマを設定しました。

――パートナー企業に提供できるアセット・リソースにはどのようなものがありますか?

神山氏:食品製造工場そのものが、大きなリソースです。敷地面積は約2万7000平方メートルで、140名ほどが工場で勤務しています。こちらを実証実験フィールドとして提供することができます。また、全国1000社以上のスーパー、コンビニエンスストアの販売網を展開しており、販売データも提供可能です。

――最後に、応募を検討している企業にメッセージをお願いします。

神山氏:これまでは、地域の課題はその地域の中で解決せざるをえませんでした。しかし今回の共創プログラムでは、全国から共創相手を見つけることができることに大きな可能性を感じています。全社的にオープンイノベーションへの興味・関心を強くもっていますので、ぜひ一緒にいいものをつくっていきましょう。

②南出株式会社――「建築業界とのネットワークと独自性の高い製品を武器に、都市緑化に新しい風を」

「テクノロジー活用でサステナブルな都市緑化の仕組み創出」を今回のテーマに掲げる南出は、創業98年の造園緑化資材メーカーだ。独自性の高い製品群で、全国250社以上の顧客ネットワークを築いている。都市緑化の課題や、その解決に挑む南出の優位性、共創パートナーに求めることなど、代表の南出氏の熱い想いを聞いた。


▲南出株式会社 代表取締役 南出 紘人氏

――貴社の事業についてお聞かせください。

南出氏:当社は緑化・農業・包装資材など様々な分野の資材メーカーです。今回のプログラムについては、造園緑化資材の分野でホスト企業に手を挙げました。造園緑化資材では、他社にないような独自性の強い商品の開発・販売を通じて、都市緑化の現場に貢献しています。

さらに当社は創業98年の企業ですが、造園緑化資材の取り扱いを始めたのはここ15年ほど。当社の中では新しい事業です。その中でも、緑化関係の設計会社、ゼネコン、サブコンなど、都内の企業を中心に約250社と関係性を築いています。それも単に取引があるというだけではなく、担当部署のキーマンにまで踏み込んで一緒にモノを開発したり相談を受けたりと、信頼をいただいています。

――ホスト企業に手を挙げた背景や、今回のテーマである「テクノロジー活用でサステナブルな都市緑化の仕組み創出」を設定した理由を教えてください。

南出氏:都市緑化は、ここ20~30年くらいで成長してきたジャンルです。街並みをつくるなかで、以前は屋外に緑地をつくっていたのが、より効率的かつ魅力的な空間創造のために、ビルの屋上や壁面・屋内を含めた緑化のニーズが高まってきました。そのためこのジャンルは、従来の屋外の造園緑化と比べると未完成な部分も多いです。

一方、市場を取り巻く環境も急速に変化しています。ひとつは、気候変動です。猛暑やゲリラ豪雨など、植物に影響を与える環境の変化に伴い、技術も変わっていく必要があります。もうひとつの変化は、建築業界のトレンドの移り変わりです。建築の命題として、常に新しく魅力的な空間を作っていかねばなりません。昨今では、特殊なところに木を植えるニーズが目立ってきています。これらの状況に対応する仕組みをつくることで、お客様やエンドユーザーさんに喜んでいただくことはもちろん、SDGsやグリーンインフラに寄与できると考えています。

さらに踏み込むと、二つの共創イメージを描いています。一つ目は、「ミニマイズされたサステナブルな環境をつくる」ということです。水不足の懸念があるなかで、雨水の活用や、環境に適した水やりの仕組みをつくることが求められています。当社は海外製の特殊な「保水マット」の国内代理店です。そこにセンシングやネットワークなどの技術を採り入れてオールインワンパッケージをつくり、市場に投入したいと考えています。

二つ目は、「屋内に自由度の高い緑地をつくる」ことです。従来は屋内の照度が足りず難しかったのですが、照明の進化によりそれが可能になってきました。そこでお客様のニーズに対して、当社独自の製品と今回の共創パートナーの技術を掛け合わせ、パッケージとして展開していきたいと考えています。

――貴社が提供できるリソースやアセットには、どのようなものがありますか?

南出氏:大きく三つあります。まずは、設計・ゼネコン・サブコンの主に緑化部門とのネットワーク、および信頼関係があることです。これは開発をする上で、忌憚のない議論ができるレベルの関係です。そのため、忖度のないニーズや課題を吸い上げることができます。

次に、保水マットや樹脂製のプランターなど、当社ならではの面白い資材があることです。だからこそ、オリジナリティの高い提案を検討していくことができるでしょう。

そして最後に、「商品開発はスムーズに進むはずがない」という理解があることです。社長の私自身が前のめりで楽しんでいるので、スピード感はあります。順番通りスムーズに進むことはなかなかないと思いますが、多少の苦労はつきものだと考えています。

――最後に、応募企業へのメッセージをお願いします。

南出氏:まず何より大事なのは、モノづくりを楽しむ姿勢です。本人たちが楽しんでモノづくりをしている姿は、お客様に伝わります。だからこそ、一緒にモノづくりに真剣にのめりこめるかどうかを重視しています。

もう一つは、必ずしもオンリーワンの技術である必要はないと伝えたいです。たとえば、他よりもコストがいいとか、柔軟性が高いといったことも当然強みになります。そのなかで、当社にない専門ジャンルの知識や開発への意欲が高く、共に悪戦苦闘できるパートナーを求めています。ぜひご応募をお願いします!

③二軒茶屋餅角屋本店――「ビール事業で培った知見をもとに、ホップの成分にフォーカスした新たな市場を創る」

味噌・醤油製造のノウハウをもとに1997年にスタートしたクラフトビール『伊勢角屋麦酒』で、確固たる地位を築く有限会社二軒茶屋餅角屋本店。テーマは、「ホップの未知なる可能性を秘めた新たな清涼飲料の市場を創造する」。出張先のスペイン・マドリードから代表の鈴木氏がインタビューに対応した。


▲有限会社二軒茶屋餅角屋本店 伊勢角屋麦酒 代表取締役社長 博士(学術) 鈴木 成宗氏

――本日はマドリードからオンラインでのご参加ありがとうございます。まずは、貴社の事業について教えてください。

鈴木氏:当社は1575年創業の餅屋で、私で21代目です。1923年には味噌・醤油事業を始め、来年100周年を迎えます。そして1997年には、私がビール事業『伊勢角屋麦酒』を立ち上げました。これが現在、会社の売上の9割以上を占めています。日本には400社ほどのクラフトビールメーカーがありますが、出荷量では4~5位です。

さらに、“ビール界のオスカー”と言われるイギリスのクラフトビール国際大会IBAでは、日本企業で唯一三大会連続の金賞を受賞。2021年大会ではトロフィーアワードという世界で12銘柄だけに授与されるトロフィーを受賞するなど、世界のプロに認められています。

――なぜ、ビール事業を立ち上げたのでしょうか?

鈴木氏:子どもの頃から微生物が好きで、大学でも専攻は微生物でした。家業を継いだ後も、微生物に関わりたいと思い、ビール事業を始めたのです。事業が軌道に乗ってからは、大学院に入り、酵母の研究で博士号を取りました。今でもアカデミアとの付き合いは深いです。共同研究も多く行っており、島津製作所、三重大学、東京大学とコラボレーションをしています。

――今回、ホスト企業に手を挙げた理由、そしてテーマを「ホップの未知なる可能性を秘めた新たな清涼飲料の市場を創造する」とした背景をお聞かせください。

鈴木氏:ビール製造に欠かせない植物・ホップに含まれるキサント・フモールという成分は、実は美容と健康にいいということが最近の研究で分かってきました。ホップの栽培が盛んなドイツでは、ホップ畑で働く女性は肌も髪も美しいと昔から言われています。しかし、ビールを製造する過程の中で、残念なことにキサント・フモールは麦芽の糖分と配糖体を形成し、恐らく不活性化してしまっているのです。

そこで、昨年発売したホップの清涼飲料水「ホップスパークリングウオーター」など、私たちはビールで得た知見や経験を活かして、美容・健康にフォーカスした新たな商品群を開発し、新たな市場を創造したいと考えています。

ターゲットとしては20代~50代の健康志向で多忙な女性をイメージしていますが、当社にはそのターゲットに対するマーケティングやブランディングの知見が不足しています。そうしたノウハウが豊富な企業と共創したいと考えていた時に、三重県さんから今回のお話しをいただき、参画を決めました。

――共創パートナーには、どのようなリソース・アセットを提供できるでしょうか。

鈴木氏:ひとつは企業やアカデミアとの共同研究で培った、分析力や分析データです。そして、主力の缶ビールについても、高級スーパーからコンビニエンスストアなど、全国に流通網を持っています。また、共創プロジェクトは私がカウンターパートとなるため、意思決定のスピードはかなり速くなります。

――応募を検討している企業に、ぜひ一言メッセージをお願いします。

鈴木氏:ビールは健康によくないというイメージをお持ちかもしれませんが、実は古代エジプトではスーパーフードに近い存在であったといわれています。ホップの生理活性物質に着目した商品などにより、改めて健康に良い面にスポットを当てていきたいです。私たちがビールで培ってきたものと、みなさんの強みを掛け合わせて、日本中に発信できる新しい価値観を作っていきましょう!

④三重化学工業株式会社――「”まぜる・つめる・とじる”保冷剤製造のコア技術を活かし、新製品の開発へ」

自社ブランド保冷剤『スノーパック』をはじめ、独自技術で多様な製品を生み出してきた三重化学工業。2020年7月にコ・クリエーションプラットフォーム「ミエラボ」を立ち上げ、外部リソースとの積極的な連携を目指している。今回は「保冷剤製造で培った独自技術の応用で日常生活を支える新製品を開発」をテーマに設定。専務 山川氏と、企画開発室の水谷氏に、同社の強みや提供できるリソースなどについて聞いた。


▲左から、三重化学工業株式会社 企画開発室 水谷 啓道氏、専務取締役 山川 輝氏

――貴社事業の特徴についてお聞かせください。

山川氏:私たちは1956年創業で、「三重から守るものを創る会社」というスローガンを掲げています。主力製品としては、洋菓子や生鮮食品の鮮度や美味しさを守る保冷剤「スノーパック」、人の健康や快適さを守る医療機器、作業者の手を守る作業用手袋があります。

コア技術は、「まぜる・つめる・とじる」という配合や充填の技術です。創業当時はタール石けんや洗濯のりを製造していましたが、時代や顧客のニーズに合わせて、硬く凍らないアイス枕やペット用の保冷ジェルマットなどを、小ロット多品種で開発してきました。

――なぜ、今回のプログラムのホスト企業として参画を決めたのですか?

山川氏:原料高や円安など、製造業にとってコストアップにつながる状況が続いています。そして、コロナ禍で消費者心理や生活習慣も変化しています。当社は現在66期目ですが、60期の時、逆風にあってもしなやかな強さを持った会社になろうという想いを込め、「レジリエントカンパニー」をあるべき姿として掲げました。現在のような状況下でも、コア技術を活かしながら、付加価値の高いものを作ろうと努力しています。

その一環で、2020年7月にコ・クリエーションのプラットフォーム「ミエラボ」を立ち上げました。当社がこれまで10年以上医療機器領域で産学連携・企業間連携に取り組んできた経験を活かして、大学、行政、金融機関、兼業人材、フリーランスなどの外部リソースとの連携できる基盤を創り上げようとしています。

今回のプログラムで、私たちの技術や想いとフィットする共創パートナーと組むことにより、新しい事業を生み出したいと考え、ホスト企業として参画することにしたのです。

――「保冷剤製造で培った独自技術の応用で日常生活を支える新製品の開発」というテーマ設定の背景を教えてください。

山川氏:保冷剤の配合・充填技術を活かして、新たな一歩を踏み出したいと考え設定しました。たとえば混ぜる技術では、異なる薬品同士を配合してまったく違う性質のものをつくるなど、様々なことに生かすことができます。冷やす・温めるというだけではなく、異なる用途にも活用することで新たな価値を創出したいです。

――共創パートナーには、どのようなリソース・アセットを提供できますか?

山川氏:まずは、60年以上培ってきた配合・充填技術です。この技術により、ニッチなもの同士を混ぜ合わせることが可能です。そして開発フェーズでは、小ロットからスタートし、検証を重ねていく、小回りの利いた開発ができます。

設備は当社特注のものですし、三重大学、大阪大学、愛知県の藤田医科大学病院など、多様な共創相手と共同開発した製品を数多く販売しています。さらに、様々な市場に展開し拡大してきた販路も、提供できるリソースのひとつです。

――最後に、応募を検討している企業にメッセージをお願いします。

水谷氏:今回の共創は、既存技術を活かしながら「次なる一手」を打ち出していく、私たちにとって大きなチャレンジです。分け隔てなく腹を割って話しができ、共に挑戦していけるパートナーを募集したいと思います。ご応募お待ちしています。

山川氏:異業種との連携により、新しい一歩を踏み出すことにワクワクしています。お互いに未来の柱となる事業を作っていきたいと考えています。色々な方と共創して、将来の糧となるものを生み出していきましょう。

取材後記

「TOKOWAKA-MIE BUSINESS BUILD」の特徴のひとつは、意思決定者である社長や役員がプロジェクトオーナーとなり、事業創出にコミットすることだ。今回のインタビューも、参加企業のカウンターパートとなる意思決定者に対応いただいた。そのためだろうか、オンライン取材にもかかわらず、どの企業からもイノベーション創出にかける高い熱量が伝わってきた。それぞれ、業界で独自の強みを築きながらも「常若の精神」を持つ個性豊かな企業だ。新たな日常を創る事業を創出したいと考える方は、ぜひ応募を検討してほしい。

(編集:眞田幸剛、取材・文:佐藤瑞恵)


◆オンライン説明会 2022年9月1日(木)

お申し込みはこちら:https://techplay.jp/event/868462

◆応募締切 2022年9月19日(月)

プログラム詳細はこちら:https://eiicon.net/about/tokowaka-mie-businessbuild2022/

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