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スマート農業は11年で10倍の規模に。急激な進化を遂げるAI×農業の共創事例

スマート農業は11年で10倍の規模に。急激な進化を遂げるAI×農業の共創事例

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多くのビジネスパーソンが注目するAIビジネスですが、AIには多用に細分化された用途があります。ですから「どの領域のAI活用がアツいか?」に注目するのが正しいビジネス洞察眼と言えるでしょう。TOMORUBAの連載「Break Down AI」では、期待される【AI×○○】の実態を深堀りし、どのような共創が行われているかに迫ります。

今回は、国内で長らく多くの課題を抱えている農業の分野にフォーカスします。農業の抱える課題と聞かれると、食料自給率、人手不足、事業継承、賃金問題、持続可能性など、ハードルの高い課題がいくつも思いつきます。

逆に考えればビジネスチャンスがたくさんあるこの領域で、どのようにAIを活用した共創事例が生まれているのでしょうか。

2030年には687億円に。急拡大を始めているスマート農業

AIを含む最先端技術を駆使して農業の生産性や効率をアップさせるための研究開発や社会実装を「スマート農業」と呼びます。そして農林水産省はスマート農業の普及を目指し実証実験を推進する取り組みとして「スマート農業実証プロジェクト」を2019年度より始動しています。

マイナビ農業のスマート農業に関するレポートでは、スマート農業はカテゴリに分類されます。


出典:スマート農業は一過性のブームか?2025年の市場規模は3885億円へ。

この分類の詳細を見るとAIが関連しているのは「生産プラットフォーム」だけに見えますが、それ以外の次世代ファーム、農業ロボット、流通プラットフォームのいずれもAIと親和性の高い領域です。

同レポートに掲載されている市場規模を見てみると、スマート農業は2019年には70億円程度ですが、11年後の2030年には700億円近くにまで成長する見込みとなっています。


出典:スマート農業は一過性のブームか?2025年の市場規模は3885億円へ。

AI×農業の共創事例

ここからは、実際に動き出している農業分野でAIを活用した事例を紹介していきます。

【クボタ×NVIDIA】エンドツーエンド AIプラットフォームを活用し、農業のスマート化を加速

NVIDIAは2020年11月、クボタがNVIDIA のエンドツーエンド AIプラットフォームを採用し、農業機械のスマート化を加速させるために協業することを発表しました。

クボタは国内農機メーカーに先駆けて、スマート農業の本格的な研究を開始しており、「農機の自動化・無人化による超省力化」や「データ活用による精密農業」の普及を目指しています。その中でも「農機の自動化・無人化による超省力化」の実現にあたり、クボタはNVIDIAのエンドツーエンドAIプラットフォームを導入した経緯があります。

これまでクボタはコンピュータービジョンの実装で自動運転・無人化農機の開発を試みていましたが、天候や生育状況などのデータから適切な農作業を判断し、これまで実現できていない作物の収穫などの作業まで適時に実行に移す完全無人農機の実現に向けて、今後はNVIDIAのエッジデバイス向けの組み込みAIプラットフォーム、NVIDIA Jetsonを活用して研究開発を進めていくとのことです。

関連記事:クボタがNVIDIAのエンドツーエンド AIプラットフォームを活用し、農業のスマート化を加速

【ヒューマノーム研究所×小橋工業】AI・IoT技術を用いた農業機械開発へ向けて共同研究

ヒューマノーム研究所と小橋工業は2020年1月、AI・IoT技術を用いた高度な農業機械の開発に向け、共同研究契約を締結しました。

この共同研究では、1910年に創業し、土造りに欠かすことのできない「作業機」と「耕うん爪」の双方について開発・生産を行う日本唯一のメーカーである小橋工業と、医療から農業まで幅広い分野のデータ統合解析とAI開発を専門とするヒューマノーム研究所の技術力・知見を掛け合わせることで、AI・IoT技術を活用したスマート農業システムを実現し、持続可能な新たな農業を創造することを目指します。

同共同研究は高齢化に伴い農業従事者が年々減少していることを課題として立ち上がったプロジェクトとなっており、持続可能な農業を実現することを目的としています。

関連記事:ヒューマノーム研究所×小橋工業|AI・IoT技術を用いた農業機械開発へ

【JAXA×天地人】『天地人コンパス』で宇宙から農業を変革する「ビッグデータ米」「食と先端技術共創コンソーシアム参画」

宇宙航空研究開発機構(JAXA)認定の宇宙ベンチャー天地人は共創を軸にさまざまな角度から農業のイノベーションにアプローチしています。天地人は、内閣府主催の宇宙ビジネスアイデアコンテストでの受賞をきっかけに、JAXA職員と農業IoT分野に知見のある開発者が設立した宇宙ベンチャーです。

天地人のコアとなっているソリューションは衛星からのビッグデータやAIを活用して「最適な場所」と「最適な品種」を提案することができるソリューション『天地人コンパス』です。

例えば米卸の大手、明神ホールディングスと取り組む米の供給不足を解決する「ビッグデータ米」のプロジェクトは、衛星データを『天地人コンパス』で解析し、収穫量が増える圃場や、より美味しく育つ可能性のある圃場を見つけ、米農家と協力し、米の栽培を行うというものです。

また、天地人は「産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA)」の一つである「食と先端技術共創コンソーシアム」に、参画企業のうちの一社として研究開発に参加しています。同コンソーシアムでは、植物を中心とした品種開発や農業の省力化技術、先端技術により作り出された作物の社会実装の加速化等の研究を通し、新たな食の価値観の創生・拡大を進め、食に関する産業のイノベーションを推進することを目指しています。

関連記事:JAXAベンチャー 天地人×米卸で最大手の神明ホールディングス|宇宙技術を活用した「宇宙ビッグデータ米」の開発へ

関連ページ:JAXAベンチャー 天地人、食に関する産業のイノベーション推進を目指す「食と先端技術共創コンソーシアム」に参画

【JA×あすけん】国内最大級AI食事管理アプリ「あすけん」がJA共済用プレミアム版を提供し、全国の農家・地域住民の健康増進をサポート

AI食事管理アプリ「あすけん」の開発・運営を行うaskenとJA共済は2021年3月、農家・地域住民の健康増進に資するより優れたサービスを提供するための業務提携契約を締結しました。

同時に、4月より本格始動しているJA共済連の健康増進支援活動『げんきなカラダプロジェクト』において、所定の要件を満たすJA共済の加入者に、AI食事管理アプリ「あすけん」JA共済用プレミアム版の提供を開始しています。

JA共済では、組合員・利用者・地域住民に対して「げんきなカラダ」づくりを総合的にサポートする取組み「げんきなカラダプロジェクト」を実施しており、今回の業務提携は同プロジェクトの促進を目的としているとのことです。

関連ページ:国内最大級AI食事管理アプリ「あすけん」、JA共済連と業務提携「あすけん」JA共済用プレミアム版を提供し、全国の農家・地域住民の健康増進をサポート

【編集後記】産官学の足並みが揃うか

スマート農業の登場で急激にテクノロジーの導入がすすむ農業ですが、農業は単なる産業ではなく、研究開発や規制といった側面も重要となります。土を使わずに育てられた野菜などはすでに店頭に並んでいますから、農地を使わずに農作物を作ることも広義では農業となります。産官学の足並みを揃えてイノベーションを後押しする枠組みが作られるかどうかが今後は注目されそうです。

TOMORUBA編集部

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Break Down AI

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