共創恐慌
共創が怖い。
一緒にやっていたモノがすべて奪われる恐怖。奪われた企業側の言葉をネットで見かけることはあまりないだろう。
ほとんどが潰れるか、発言できないように潰されるかだからだ。
力の違いのある会社間では、フェアな取引なんてなかなか期待できない。
ぼちぼち儲かるくらいなら、そんな問題がなくても、こうした問題が起きるのは、売上が大きく伸び、これからも大きな上昇が期待できるのに、利益率に問題が生じる時だ。
共創の相手先が、ネット系企業は特にリスクが高いと思う。
ネット系の共創先の責任者は、三ツ星が多い。
・その会社で業績を出せない。
・見せかけのステータスがある。
・野心がある
私の時の相手がまさに三ツ星の人間だった。
社歴では、一流の人っぽく映る。
大手銀行新卒→大手ゲームアプリメーカ→新興IT系広告(上場間近)
しかし、役員にも関わらず、役員会議に呼ばれないという窓際的存在に。
けれども、何かで当て、見返したい。
そんな人間だった。
だから事業をどう成功させるか、伸ばすか。
ではなく、どう自分が儲けるか?を考えるようになった。
私が描いた地図が軌道に乗り、市場として成長が見込まれるようになって、その人間はその事業を軸とした子会社の社長となった。
そのとたん、言いがかりをつけ、一方的に契約を解除された。
裁判で争うなんてことは、零細では無理だ。時間と金がかかり、争ってる最中に潰れる。
うちの会社が騒がないように、その人間はうちの取引先にも手を回し、圧力をかけてきた。
売上の90%ダウンから、96%ダウンに陥り、普通の企業ならそこで即死だろう。
ちょうどその頃、下町ロケットがTVで流れていて、うちのスタッフがそれみたいだとか共感できると言っていたのを思い出す。
でも、現実はドラマよりも残酷。すぐに復活なんてことはない。
うちはなんとか生き残った。下町ロケットのようにスタッフ一丸となってまとまったこと。そして、とある才能をみんなが身に着けたためだ。
うちは大ヒットはないものの、次々と大手と組んでサービスをスタートさせることができた。その後、自社の核も手にできた。今は店も2店舗に拡大した。
逆に共創先の責任者だった人間は、その会社を去り、子会社は清算された。
三ツ星が自分で輝くことはできなかった。
こうした経験があるから、共創にはどうしても慎重になる。うちが強くなり、特殊になるきっかけになったと考えれば、いい経験だったとは思う。共創については、昨年も数件そういった話があったが、担当責任者が信用を置けない人間だったため進めなかった。東京商工リサーチを送り付けてから、商談の話を持ち掛けるとか。うちが零細だから、今なら金で動くと思う輩が続く。
共創は相手責任者次第だし、その会社で何をやってきた人なのか、言葉と行動が一致しているかを慎重に判断しないと、結果取返しの付かないような状態になると思う。
鯉沼寿慈Mari-Ciel株式会社
チャット占いアプリ市場のパイオニア。占いにおける新事業の創出を行っており、アプリ向け占いサービスとリアル店舗を展開し、国内で唯一ネットとリアルで占い事業を成立させています。チャット占いでは、提携先企業の裏切りに遭い、創業2年目で1億円以上の売上げを失う窮地に立つが、そこから復活させ、新たなアプリサービスの創出、占い店舗をコピス吉祥寺、アトレ秋葉原に次々に展開。
Mari-Ciel株式会社
代表取締役社長