3.4円の紙が11,000円にも化ける、たまに魔法がかかる場所で行われた、ある秘密の戦略
スマホ向け占いアプリサービスでは、チャット占いサービスに参入する企業が増えている。ゲームアプリ企業の参入ほか、電子コミック企業の参入など、占いとは別ジャンルの企業が増加している中、既存勢力では今後一歩抜け出しそうなのが、Uranow(ウラナーウ)。
アプリ売上げに関しては、App Annieなどでおおよその数字を判断することができるが、Uranow(ウラナーウ)の正確な数字をつかむことは各社できていない。
そこに今回のタネがあるのだが、Uranow(ウラナーウ)はリアル店舗での取り組みで隠れた売上げを上げている。
各社ともネックは占い師の確保であり、質の良い占い師の確保に苦戦している。そもそも占い師の育成ができるのは、現状マリーシェル社しかなく、各社ともノウハウなくこのジャンルに挑戦し、結果マリーシェル社サービスから占い師の引き抜きを行うような展開になっている。しかし、そこで引き抜かれるのは2流以下であり、それが原因で新規参入企業は数字を伸ばすことに苦戦している。
現在、上場を進めている新規参入企業に関しては、マリーシェル社との提携を進めるなど、売上げ拡大のために新たな取り組みも始まっている。
Uranow(ウラナーウ)の好調要因は、高単価な占い。
1鑑定あたりの平均単価で他社サービス比の5倍から10倍という数字を残している。これまでにもUranow(ウラナーウ)に関しては、他社比2倍から3倍という状況であったが、ここ数か月で一気にその差が広がった。しかし、ここは競合企業は気付けない。なぜならリアル店舗収益として計上されるからだ。
Uranow(ウラナーウ)は、マリーシェル占い館というリアル店舗を東京の吉祥寺と秋葉原で展開する。秋葉原店では、OPEN1か月後でコロナウイルスの影響がある中でも1日20組以上も顧客が利用する人気店となっている。通常、占い店舗となると、テナントスペースとは別の隙間スペースのへの催事出店となるが、マリーシェル占い館に関しては、アトレ秋葉原のテナントスペースに出店を果たした。そして、コロナウイルスの影響でエステなどのサロン系は顧客を落とす中、堅実に売り上げを伸ばしており、物販や服飾店に迫る勢いが出ている。
仕掛けは、1枚の紙。
コスト3.4円もかからない紙で、チケットを売り出した。
これが5,500円にも、11,000円にも変わるのだ。
「バレンタインのお返しには、太らないプレゼントはいかが?」
をコンセプトにチャット占いの占いチケットを売り出した。
通常では利用できない特典を付けて展開をした結果、これがそれなりの成果を生む。実際にはホワイトデー向けに展開したチケットではなく、店舗出演の占い師などのチケットが動くことになり、読み違えで完全な成功とまではいかないまでも数字は反応した。
チケットを買った客は平均単価を押し上げることになる。競合では、無料利用の横行で500円にも満たない平均単価もある中で、Uranowの占い師の一部は5000円を超えてくる。特に店舗で展開する占い師に顕著な変化が見られ、単価が一気に引きあがった。また、一度チケットで利用したユーザーはその価格帯が占いでは当然の費用と考えるから、Uranowサービスでのポイント購入時の単価が高くなった。これまでの広告戦略を一変させ、低単価ユーザーを狙う他社とは違う戦略が進んでいる。
コロナウイルスの影響が収まる頃には、この戦略による影響の差がもっと顕著に出てくるだろう。同じ仕事で10倍の差が出る事実を突きつけられれば、10倍稼げるサービスを目指そうとするはずで、TOPクラスの占い師が集まることで、より質の高いサービスを提供するようになり、大きな差が生まれてくるのではないだろうか。
国内でチャット占い市場を切り開いた、パイオニアであるマリーシェルは、占いアプリは低単価になりがちという収益構造上の問題を、リアル店舗を絡めることで解決しようとしている。
鯉沼寿慈Mari-Ciel株式会社
チャット占いアプリ市場のパイオニア。占いにおける新事業の創出を行っており、アプリ向け占いサービスとリアル店舗を展開し、国内で唯一ネットとリアルで占い事業を成立させています。チャット占いでは、提携先企業の裏切りに遭い、創業2年目で1億円以上の売上げを失う窮地に立つが、そこから復活させ、新たなアプリサービスの創出、占い店舗をコピス吉祥寺、アトレ秋葉原に次々に展開。
Mari-Ciel株式会社
代表取締役社長