meet ▶[WELL BE INDUSTRY]:未病産業を創出し、「病気になる前に健康の価値に気づける社会」を目指す
https://auba.eiicon.net/projects/7940 #課題解決No.3「すべての人に健康と福祉を」 #共同研究 #リソース提供(既存技術の提供・特許流用の検討など) #事業提携 #新市場の模索 #3カ月以内の提携希望 #スタートアップ #テストマーケティング
近年、耳にすることが増えてきた「未病」という言葉。健康と病気の間の状態であり、具体的には「(病院での)検査結果に異常がないが、自覚症状がある状態」だ。病気になってから治療をするのではなく、未病の時点で生活習慣を改善し、病気を予防すること重要視されてきている。
そうした中で開発された、LINEで質問に応えるだけで健康状態を数値化できる「WELL BE CHECK®︎」は、未病にいち早く気付けるサービス。栄養状態はもちろん、心の健康や睡眠の質、脳疲労の度合いまで一目瞭然だ。開発したWELL BE INDUSTRY社は、同サービスと併せてWELL BE CHECKを用いたカウンセリングができる未病の専門人材の育成や、健康づくりの学校など未病産業を創出する取り組みを幅広く展開している。
eiiconのオリジナルピッチ企画「eiicon meet up!!」登壇企業に話を聞くインタビュー企画『meet startups!!』。――今回は、株式会社WELL BE INDUSTRY 代表取締役CEO 花高 凌氏にインタビューを実施し、起業の背景から同社サービスの特徴や将来のビジョンについて語っていただいた。
▲株式会社WELL BE INDUSTRY 代表取締役CEO 花高 凌氏
「健康づくりのシステム」の重要性に気づき起業
――まずは健康領域に興味を持ったきっかけを教えてください。
花高氏 : きっかけの一つは、高校生の時にiPS細胞の開発でノーベル賞を受賞した山中伸也教授の講演会に参加したことです。その内容に感動した私は、山中教授と同じ大学院でバイオサイエンスを学び、遺伝子工学を専攻していました。
また、母親が乳がんで亡くなったのもきっかけの一つです。この世からがんがなくなれば多くの人の命を救えると思い、学生時代はがんの特効薬を作りたいと思っていました。しかし、研究を続けていくうちに、特効薬を作るよりも病気にならないこと、つまり健康づくりのシステムを作る方が大事だと思うようになったのです。
そのため、新卒で入社したのは新しい健康食品ブランドを作ろうとしていた4名ほどのベンチャー企業。広告運用などマーケティング全般に携わり、ブランドの立ち上げに奔走しました。
――なぜ起業しようと思ったのでしょうか?
花高氏 : 消費者の健康に関する知識や意識が低く、健康づくりに関するインフラがほとんどないことに課題を感じたからです。サプリメント業界というのは、どんなに品質にこだわっても、広告にお金をかけなければ売れません。そんな業界構造に違和感を覚えた時に、今の事業の前身となる健康チェックシステムに出会いました。
質問に応えるだけで健康状況が分かるシステムを提供していて、「自分がやりたかったことはこれだ」と思ったのです。そのシステムを使わせてもらえるよう、開発元にお願いしたところ、起業することを条件に使わせてもらうことになりました。そうして、今の会社(WELL BE INDUSTRY)の前身である会社を立ち上げたのです。
4つのサービスで未病産業の創出に挑む
――サービスを作り直した際に、こだわったポイントを聞かせてください。
花高氏 : 一つはWELL BE CHECKのチェック料金を無料化したことです。未病の段階でチェックのためにお金を払ってもらうのは容易ではありません。もっと多くの人に気軽にサービスを使ってもらうため、企業にシステムを使ってもらう”BtoBtoC”のモデルにし、ユーザーには無料で使ってもらえるようにしたのです。
2つめはLINE上で使えるようにしたこと。LINE上で気軽にサービスを利用できるようにしたことで、誰でも気軽に使えるようにしたのも大きな改善点です。
――ビジネスモデルから作り直したのですね。
花高氏 : そうですね。WELL BE CHECKでは栄養や心理状態、性格や脳疲労まで様々な健康状況が分かるため、様々な業界の企業さまにOEM開発するモデルにしました。また、WELL BE CHECKと共に「人づくり」「ものづくり」のサービスも同時進行で展開しています。
「人づくり」は未病栄養コンサルタントの育成事業です。日本には病気の治療に関する専門家はいますが、健康づくりの専門家は少ないです。そこでWELL BE CHECKを活用したカウンセリングを実施できる健康づくりの専門家を育成する講座を開き、これまで175名の方が認定を受けています。
「場作り」は、メタバース上で健康教育を行う月額制のオンラインサロンです。上記で育成した未病栄養コンサルタントが先生となり、健康への関心が高い人々へ限定音声配信や限定ブログ、限定動画コンテンツなどを提供しています。
「ものづくり」に関しては、「WELL BE HOME PRODUCTS 」というブランド名で完全無添加のオーガニックハーブソルトを展開しています。普段の料理も一振りで美味しくなり、気軽に健康づくりに取り組めます。
最近では企業だけでなく、自治体との共創にも積極的に行っており、茨城県かすみがうら市と「かすみがうら#FeelHealthプロジェクト」という取り組みも開始しました。WELL BE CHECKで未病ビックデータを収集し、住民の健康状態を把握することで、健康先端都市に向けた活動も行っています。
▲2023年5月に開催されたピッチイベント「eiicon meet up!!vol.7」に登壇した花高氏。
健康を考えるきっかけを作り健康サービスへと繋げていく
――WELL BE CHECKはパートナー企業とともにサービスを展開していますが、どのような企業と相性がいいのかお聞かせください。
花高氏 : 最もイメージしやすいのは健康領域の商品・サービスを開発している会社です。フィットネスや健康食品の会社のほか、枕メーカーや能力開発の会社など幅広い企業と組んでいます。健康系の会社の多くは商品やサービスにはこだわりを持っていますが、その価値を知ってもらう仕組みがないケースが多いです。私たちのサービスを使うことで、ユーザーが自身の健康状態に気づき、対処方法がわかることで、商品やサービスの価値を正しく伝えていくことができます。
――最後に今後のビジョンについても聞かせてください。
花高氏 : 私たちが目指しているのは「健康に興味がない人に健康の価値を気づいていただくための仕組みづくり」です。日本では医療費を負担してもらえるので、健康なうちから病気について考える習慣がない人も多いです。国も行政もその現状にリスクを感じているものの、まだ対策が間に合っていません。
わたしたちがヘルスケアスタートアップのトップランナーとなって、未病産業を創出し、誰もが当たり前のように健康について考える社会をつくりたいと思っています。
(取材・文:鈴木光平)