健康寿命を伸ばす「未病ヘルスケア」スタートアップ!注目の5社が斬新なビジネスモデルとビジョンを語る――eiicon meet up!!イベントレポート
去る5月25日、eiiconのオリジナルピッチ企画「eiicon meetup!!vol.7」がSHIBUYA QWSにて開催された。このイベントは新規事業・オープンイノベーションコミュニティの活性化を目的に、話題のスタートアップ企業がピッチを行い、共創につながる“出会い”を生み出す場としての役割を持つ。
第6回「Web3.0」に続く今回のテーマは、「未病ヘルスケアスタートアップ~人生100年時代の未病ヘルスケア~」だ。様々な社会課題の解決を目指す5社(WELL BE INDUSTRY、MentaRest、ジィ・シィ企画、ユカシカド、WizWe)が登壇し、事業やビジョンについて会場に語り掛けた。本記事では、同イベントの様子をダイジェストでお伝えする。
※後日、各社の個別インタビューを『meet startups!!』ページにて掲載予定です。
【WELL BE INDUSTRY】 LINEでのチェックだけで心身の未病を数値化
■株式会社WELL BE INDUSTRY 代表取締役CEO 花高 凌氏
WELL BE INDUSTRYが提供するのはLINEでのチェックだけで心身の未病を数値化する「WELL BE CHECK®️」というサービス。50の自覚症状に答えるだけで、データを分析・数値化して健康状態を可視化する。
分析結果をもとに、性格の違う3つのキャラクターを選んでAI相談が可能。現在は様々な企業と共創しながら、OEMで開発を進めている。WELL BE CHECKは、ヘルスケアにおいて見落とされがちな「知る・わかる」をサポートしている。しかし、健康を維持するために必要なのは、健康に繋がる行動を継続することだ。
そのため、具体的な健康ソリューションを持つ企業と組むことで、その後の行動変容や習慣づくりに繋げていくという。また、同社が抱える健康に関するビッグデータを活用することで、今後は新たな商品やサービスの創出に繋げていく予定となっている。
最近では企業だけでなく、自治体との共創にも積極的に行っており、茨城県かすみがうら市と「かすみがうら#FeelHealthプロジェクト」という取り組みも開始。WELL BE CHECKで未病ビックデータを収集し、住民の健康状態を把握することで、健康先端都市に向けた活動も行っている。
※WELL BE INDUSTRYのPRページは以下よりご覧ください。
https://auba.eiicon.net/projects/7940
【MentaRest】 メタバース空間で本格的なカウンセリング
■株式会社MentaRest 代表取締役/CEO 飯野 航平氏
MentaRestはメタバース空間でのカウンセリングサービスを提供している。PCやスマホでメタバース空間にログインし、波の音を聞いたり、美術作品を楽しみながら、臨床心理士や公認心理士の方々に相談することが可能だ。ポイントは顔出し不要であること。ビデオカウンセリングに比べ、顔の分からないメタバース上で相談した方が自己開示率が高いというデータもあり、利用者が安心して相談できる環境を整えている。
カウンセリングを受けた方の中には「初めて本音で話せた」と答える方もおり、83%という高い満足度を示している。その背景にはカウンセラーとのマッチングを工夫したり、メタバース独自のカウンセリング手法を確立するなどの取り組みがあるという。
従来のカウンセリングには「受けていることを知られるのが恥ずかしい」という心理的抵抗があるが、メタバース空間を活用するMentaRestはその抵抗感を取り除いてくれる。既に10社の企業が有償で活用しており、一度利用した方のうち、84%の方がリピート利用しているという。
※MentaRestのPRページは以下よりご覧ください。
https://auba.eiicon.net/projects/36305
【ジィ・シィ企画】 3Dデータを反映したアバターで健康経営をサポート
■株式会社ジィ・シィ企画 パーパスブランディング室(社内新規事業) 村本 充氏
ジィ・シィ企画は、アバターを利用した健康経営サポートサービス「NUCADOCO」を提供している。サービスの特徴は、スマートデバイスから収集した体脂肪データやBMIによって、アバターの体型が変化すること。食事の画像を入力すれば、画像解析によって摂取した栄養素なども自動で登録される。
企業の健康経営を促進するサービスのため、担当者が従業員の健康状況を把握しやすい機能も搭載されており、年に一度3Dボディスキャナで全身を高精度で測定することも可能だ。昨年はグリーの子会社と共同で、同じアバターを使って仕事を行うメタバースオフィスを開発。さらには鍼灸師と連携することで、身体のコリを3Dスキャナーでスキャンして、より高度な治療を可能にするシステムを研究開発中。肩こりや腰痛によって仕事のパフォーマンスが下がる「プレゼンティーズム」に関する実証実験も実施している。
この実証実験では、最初は99万円もの労働生産性が損なわれていたが、3ヶ月に渡って治療を受けることで、その損害を44万円削減することに成功。今後は企業が従業員の治療費を負担することで、仕事のパフォーマンス向上に寄与する取り組みも進めていくという。
※ジィ・シィ企画のPRページは以下よりご覧ください。
https://auba.eiicon.net/projects/35715
【ユカシカド】 尿検査によるパーソナライズされた栄養管理
■株式会社ユカシカド 代表取締役 兼 CEO 美濃部 慎也氏
ユカシカドが提供しているのは、尿検査による栄養分析を基にした栄養改善サービス「VITANOTE(ビタノート)」だ。朝一の尿を送るだけで、一週間ほどで栄養状況を分析し、mg単位でパーソナライズされたサプリメントやプロテインを送付する。
これまでも血液検査など、栄養状況を把握する方法はいくつかあった。しかし、食品の栄養は季節や調理法によって5倍もの差が出ることもあり、血液検査では病気になるほどの栄養不足しか測定できない。VITANOTEは世界で初めて、健常者向けに栄養の過不足を評価できるサービスとして開始。また、気軽に栄養管理を始めてみたい方向けに、検査項目は減るものの、自宅で10秒ほどで測定できる簡易サービスも提供している。
将来的には電気やガス、水道といったインフラのように、どこでも簡単に栄養状態を改善できる社会を目指しており、大企業との提携も進めていると語った。
※ユカシカドのPRページは以下よりご覧ください。
https://auba.eiicon.net/projects/32676
【WizWe】 低コストでの伴走により、あらゆる習慣化をサポート
■株式会社WizWe 代表取締役CEO 森谷 幸平氏
WizWeは習慣化プラットフォーム「Smart Habit」を開発しているスタートアップ。健康寿命を伸ばすには、日々の生活習慣の改善が欠かせないが、多くの人が新しい取り組みを始めても三日坊主で終わってしまう。
その大きな理由が伴走してくれる人がいないこと。習慣化をサポートしてくれるサービスはあるが、決して安くはないため誰もが利用できるわけではない。その点、Smart Habitは独自の習慣化ソフトウェアを開発することで最低1人200円/月という低コストでの伴走を可能にした。
膨大な会話パターンを分析し、習慣化をサポートする「習慣化プロトコル」は特許も取得しており、一人の担当者で3,000人ものユーザーへの伴走ができる。これまでに多くの企業と組みながら、様々な習慣化に成功している。
たとえば、ジムへの訪問率を160%改善したり、睡眠の質を改善する習慣を提供することで睡眠力の改善にも貢献してきた。他にも食生活の改善やメンタルヘルスなど、様々な健康習慣をサポートしており、平均で8割以上の人が定着するという高い実績を誇っている。今後は複数の事業者や自治体と組みながら、フレイル予防や認知症予防といった取り組みを進めていくという。
※WizWeのPRページは以下よりご覧ください。
https://auba.eiicon.net/projects/36166
――5社のピッチが終了した後は、登壇者と参加者によるネットワーキングが実施された。なお、「eiicon meet up!!」については、公式facebookで情報を発信しているのでぜひチェックいただきたい。
取材後記
医療の発展によって私たちの寿命は伸びている。健康な状態を長く続けるには日々の健康習慣が欠かせないが、仕事が忙しいなかで常に健康を意識するのは難しいだろう。今回紹介したサービスが世に広まることで、多くの人が無理なく健康習慣を続けられ、健康寿命を延ばしていくことができるはずだ。今後、さらにサービスが充実し、多くの人に使われるサービスに成長することを期待したい。
(取材・文:鈴木光平、撮影:加藤武俊)