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meet ▶[CBA]:廃棄物処理業界のDXで、サーキュラーエコノミーの実現を加速

meet ▶[CBA]:廃棄物処理業界のDXで、サーキュラーエコノミーの実現を加速

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今やさまざまな業界で進められているDX。しかし、その一方でまだまだDXが遅れているレガシーな業界も存在する。その一つが、廃棄物処理業界。未だにアナログな業務が数多く残っており、そうした非効率がサーキュラーエコノミーの実現を妨げている。

そんな廃棄物処理業界のDXを進め、循環型社会の実現を目指すのが株式会社CBAだ。廃棄物処理プロセスをわかりやすくシステム化したDXプラットフォーム「CBA wellfest」を提供しており、処理方法や業者の検索から登録、報告等の必要業務を一気通貫で支援している。

eiicon companyのオリジナルピッチ企画「eiicon meet up!!」登壇企業に話を聞くインタビュー企画『meet startups!!』。――今回は、株式会社CBA 代表取締役 宇佐見良人氏にインタビューを実施。かつてはプロの熱気球パイロットだったという宇佐見氏がなぜ起業したのか。その背景から目指しているビジョンまで話を聞いた。


▲株式会社CBA 代表取締役 宇佐見 良人氏

レガシーな業界で感じたビジネスチャンスに、会社を飛び出して挑戦

――まずは熱気球のパイロットからビジネスの世界に転向した経緯を聞かせてください。

宇佐見氏 : 私がプロとして熱気球に乗っていたとき、世界で初めてエベレストを超えるプロジェクトに携わったのがきっかけです。多くの大企業がスポンサーに名を連ねているのを見て、自分もスポンサーとして名を連ねるような大きな企業を育てるのに貢献したいと思ったのです。

そうして私が熱気球のプロパイロットを辞めて入社したのがデータベースの会社です。企画営業として、さまざまな企業にデータベースを提案する中で、プラットフォームビジネスの面白さを感じていきました。

――環境ビジネスに興味を持ったきっかけはあったのでしょうか。

宇佐見氏 : 総合商社の双日に転職し、新規事業として環境ビジネスに関わることになったのがきっかけです。当時は欧米を中心にサーキュラーエコノミーという考えが広がり始めていて、日本でもそのような取り組みをスタートさせたいというのが双日の狙いでした。

当時の私は産業廃棄物業界について全く知識はなかったものの、調べていくうちにとても面白い業界だと思うようになりました。これまで注目を浴びることがない業界だったため、デジタル化が全く進んでいなかったのです。この業界をデジタル化したら面白いのではないか。そのような想いから、今の事業に繋がる取り組みを始めました。

――なぜ会社を飛び出して自ら起業したのか教えてください。

宇佐見氏 : 新規事業を立ち上げるために、さまざまな模索をしていたのですが、大企業の中の一つの事業部として動くには制約がありました。特に廃棄物処理業界はレガシーな業界で、新しい事業を興すようなイノベーション人材が不足していると感じたため、会社を飛び出して取り組もうと思ったのです。

「地球2個分」の資源が必要という”不都合な事実”

――改めて資源循環を進めなければならない理由を教えてください。

宇佐見氏 : 今のまま地球の資源を消費していくと、増え続ける人口を支えることができません。今の状態を続けていれば、地球2個分の資源が必要だというデータもあります。

資源の消費を減らすには、今ある資源を有効活用するしかありません。加えて、現在のサプライチェーンではさまざまなリスクがあるため、資源を循環させることで経済を安定させる必要があると考えています。

――なぜ資源循環をすることで経済が安定するのでしょうか。

宇佐見氏 : 日本は多くのものを海外から輸入しています。たとえば輸入している先で戦争が起きたりすることで経済が悪化すれば、輸入自体ができなくなったり価格が高騰しますよね。海外の資源に依存するのは大きなリスクがあると考えています。

一方で、資源循環が機能していれば、一度使った資源を有効活用できるので、新たに輸入する量を減らすことができます。輸入をゼロにすることはできませんが、量を減らせば、それだけ海外の社会情勢の影響を避けられると思います。


▲2022年11月29日に開催されたピッチイベント「eiicon meet up!!vol.5」に登壇した宇佐見氏。

廃棄業務をDXするメリットとは?

――資源循環を進めていくにあたり、御社のサービス「CBA wellfest」を導入するメリットを聞かせてください。

宇佐見氏 : 現在は多くの企業がExcelを使いながら手動でデータをまとめていますが、大企業ともなると廃棄物処理の現場がいくつもあります。現場によってデータの取り方が違えば、データの整合性がなくなり信憑性がなくなります。私たちのサービスを導入することで、全社で統一したルールでデータをとれるため、信頼のあるデータを効率よく作れるのです。

――効率性以外のメリットもありますか?

宇佐見氏 : 一つはミスを防げること。廃棄物を処理するには、廃棄物処理法に則って処理をしなければなりません。しかし、従来のアナログな管理方法では、ミスが発生するリスクが高い。サービスを導入することでミスを防げ、効率的に資源循環を進められるのです。

もう一つのメリットは、対外的に発信するデータの根拠を明示できること。たとえば「リサイクル率90%」と対外的に打ち出しても、それが本当かどうか信じられませんよね。私たちのサービスを導入していれば、その根拠となるデータを瞬時に提示できるため、情報の信頼性が高まるのです。

――廃棄物業界がDXされていないことで、どのような課題が発生しているのでしょうか。

宇佐見氏 : 従来は大半のゴミを燃やして埋め立てていたため、ゴミを細かく分類する必要がありませんでした。しかし、サーキュラーエコノミーは廃棄物を再利用するため、廃棄物の中にどれくらいの資源があるのか把握しなければなりません。業務をDXする過程で、廃棄物をデジタル化(可視化)して管理するため、効率的に資源を把握できます。

――廃棄物業界でDXが進まなかった理由があれば聞かせてください。

宇佐見氏 : 一つは現場業務にあった、システムが導入されていないこと。多くの業務に効率よく対応しなくてはいけない現場で、新たなツールを導入して使い方を覚えるのは大きな負担になります。そのため、私たちもできる限り使いやすく負担の少ないUI設計をしなければなりません。

もう一つは廃棄物は焼却することが中心なため、詳細を把握する必要がなく、システム化(DX化)が進まなかったと考えています。今後は循環型社会(サーキュラー・エコノミー)実現は必須であることを認識し、そのためにはシステム化(DX化)が必要であることを理解頂き、推進してもらうことが重要と考えています。

核となるのは地域を牽引していく大企業の存在

――現在はどのように事業を展開しているのか、お聞かせください。

宇佐見氏 : 現在は大企業を中心にDXを支援しています。理由は二つあります。一つは大企業が、廃棄物を多く抱えているため。もう一つは大企業に地域の資源循環の核になって欲しいからです。

私たちのサービスは、一社で利用してもらうよりも、同じ地域で利用する企業が増えるほど効率が高まる仕組みになっています。大企業が資源循環を始めれば、同じ地域の中小企業も取り組みを始めやすくなり、地域のネットワークが生まれていきます。その第一歩となる大企業に積極的にアプローチをしているところです。

――地域単位で取り組みを進めていくのですね。

宇佐見氏 : 地域によって廃棄物にも特徴があるので、地域ごとに資源循環を進めた方が効率がいいのです。たとえば農業が中心の北海道と、工業が中心の東京では廃棄物の内容も大きく違います。そのような理由から、資源循環の着手の仕方も地域ごとに特色があるのです。

そのため自社の資源循環率を上げるだけでなく、地域の資源循環に貢献したいという大企業と共に事業を進めていきたいと思っています。特に消費者向けの商品を作っている企業は、サーキュラーエコノミーにも敏感です。地域の企業を巻き込んで資源循環を進めていきたいと思っている企業と共に、サーキュラーエコノミーを実現していきたいですね。


(取材・文:鈴木光平)


シリーズ

meet startups!!

今話題のスタートアップがピッチを行い、共創につながる“出会い”を生み出す「eiicon meetup」。このイベントに登壇した企業に話を聞くインタビュー企画が『meet startups!!』です。注目のサービスやプロダクト、テクノロジーを有したスタートアップが登場します。