1. Tomorubaトップ
  2. ニュース
  3. 次世代のサステナブルを切り開く旭化成の第3期共創プログラム始動!――各テーマオーナーが語る、高純度結晶セルロース、新規架橋性樹脂、建築廃材・廃棄物のサーキュラーエコノミー、建材・建築物の強靭化の4テーマで実現したいこととは?
次世代のサステナブルを切り開く旭化成の第3期共創プログラム始動!――各テーマオーナーが語る、高純度結晶セルロース、新規架橋性樹脂、建築廃材・廃棄物のサーキュラーエコノミー、建材・建築物の強靭化の4テーマで実現したいこととは?

次世代のサステナブルを切り開く旭化成の第3期共創プログラム始動!――各テーマオーナーが語る、高純度結晶セルロース、新規架橋性樹脂、建築廃材・廃棄物のサーキュラーエコノミー、建材・建築物の強靭化の4テーマで実現したいこととは?

  • 13093
  • 13086
  • 13066
3人がチェック!

1922年の創業以来、社会や環境のニーズに対応して昨日まで世界になかったものを提供してきた旭化成グループ。同社では、2022年より次世代のサステナブルをパートナー企業と共に切り開くプログラム『Value Co-Creation Table』を開始している。

同プログラムは、各テーマに応募いただいた外部企業とアイデアの段階からディスカッションでき、新しい事業のタネを生み出していけるのが最大のポイントだ。過去2回のプログラムでも活発なディスカッションが行われ、実際に新たな価値を創出すべく前向きなプロジェクトが生まれている。――3期目を迎える『Value Co-Creation Table2024』では、以下4つのテーマで募集を開始した。

●テーマ01-1 「高純度な結晶セルロースの新たな活用方法の探索」

●テーマ01-2 「新規架橋性樹脂を活用したリサイクル可能な材料、製品の共同開発」

●テーマ02-1 「建築廃材・廃棄物のサーキュラーエコノミーの実現」

●テーマ02-2 「人びとの安全なくらしを守る建材、建築物の強靭化」

本記事ではパートナー企業の募集にあたり、プログラムの事務局を担当する永瀬氏の他、各ディスカッションテーマ担当へのインタビューをお届けする。

【事務局インタビュー】 3期目を迎え、さらに進化したプログラムに

――旭化成では過去2年、『Value Co-Creation Table』に取り組んできました。実績や手応えはいかがですか?

永瀬氏 : 初年度についてはトライアルでのスタートでしたが、そこでの実績があったことから2回目、そして今回の3回目につながりました。様々なパートナー企業とのディスカッションを踏まえて、事業化検討に値するような出会いもあります。

中でも、データプラットフォームを展開している株式会社アイディオットには、このプログラムをきっかけに第三者割当増資を行いました(※)。今回も「サステナビリティ社会の実現」に向けて、全体最適の視点でパートナー企業との共創を検討していきたいと考えています。

※参考:データプラットフォームを展開する「アイディオット」が「旭化成株式会社」より第三者割当増資による資金調達を実施(2024年4月配信プレスリリース)

▲旭化成株式会社 研究・開発本部 イノベーション戦略総部 R&D戦略部 オープンイノベーション推進グループ マネージャー 永瀬 裕康氏

――これまでの取り組みのなかで、社内でもプログラムの認知度は上がってきていますか?

永瀬氏 : はい、認知度も期待値も着実に上がっていますね。初年度は募集テーマを決める段階から時間がかかったのですが、前回や今回は社内での認知度が向上したことから、「ぜひうちでもやりたい」と各部署から声がかかり、テーマ決めも早く進めることができました。

――今回3回目になりますが、旭化成の中で必要なプログラムになっているという実感もありますか。

永瀬氏 : そうですね。このプログラムは、パートナー企業さんのアイデアを持ってきてもらうという点でスタートが違うということもありますし、対応する窓口が新規開発部門やオープンイノベーション推進部門が多く、スピード感も早いと感じています。

――今年度のプログラムで目指していきたいことをお聞かせください。

永瀬氏 : 旭化成グループは、100年以上の歴史の中で様々なパートナーとつながりながら事業ポートフォリオを展開してきた歴史があります。今回も製品やサービスの提供を通じて、社会課題の解決を実現していきたいと考えています。

3回目である今回は、事業部門が3テーマ、研究開発部門が1テーマとなりますが、それぞれのテーマで1社以上とPoCの取組み等の共創検討を進めたいという目標を持っています。各テーマにおいて、当社の技術や知見を最も分かっている社員がパートナー企業とのディスカッションにあたりますので、きっと大きな可能性を感じていただけるはずです。

――続いて、今回募集する4つのテーマの担当者にインタビューを実施。テーマ設定の背景や技術的な特徴、共創イメージなどについて聞いた。

【テーマ01-1】 「高純度な結晶セルロースの新たな活用方法の探索」

――まずは、高純度結晶セルロース「セオラス™」の特徴や用途についてお聞かせください。

山内氏 : セオラス™は植物由来の天然パルプを原料とし、一般的には結晶セルロースといわれる素材で、50年以上もの長きにわたってお客様にご利用いただいています。主に製薬、食品、工業、化粧品など、幅広い用途で展開しております。

また、昨今はサステナブルな素材が求められることもあり、天然由来の素材であるセオラス™を配合して、環境の観点も備えた製品づくりをするというニーズもあります。時代の流れとしても、注目度の高い製品だと考えています。

▲旭化成株式会社 ライフイノベーション事業本部 ヘルスケアマテリアル事業部 セオラス第一営業部 食品・工業G 山内 崇裕氏

――これまでの活用事例や、その中でセオラス™がどのような革新をもたらしたのかを教えてください。

山内氏 : 主な用途としては、製薬と食品になります。製薬向けの錠剤を固める賦形剤の役割として、食品でいえば飲料や調味料などの安定剤の役割として採用いただいています。各ユーザー様が製品を開発するにあたって、医薬品/食品添加物素材として活用していただいています。最終製品は、みなさんの日々の生活に身近な存在です。

成田氏 : 革新性としては、セオラス™によって錠剤の小型化が実現できたことです。高齢化が進む中、たくさんのお薬を服用する必要がある方も増えています。しかし錠剤が大きいと服薬しにくいという課題がありました。利用する賦形剤の機能が、薬の形や大きさを左右します。セオラス™の高い機能があるからこそ、錠剤を飲みやすい大きさまで小型化することができました。

▲旭化成株式会社 ライフイノベーション事業本部 ヘルスケアマテリアル事業部 セオラス第一営業部 食品・工業G 成田 裕行氏

――セオラス™の競合となる製品はあるのでしょうか。

山内氏 : 国内ではオンリーワンメーカーです。海外には競合となる製品はありますが、機能性や品質の高さ、安定供給がセオラス™の強みです。

――セオラス™の更なる活用可能性を外部企業と探索しようと考えた背景と目的をお聞かせください。

山内氏 : 既存の製薬や食品用途を伸ばしていくことはもちろんのこと、新しい用途も開拓したいと考えたからです。また、工業・化粧品の用途もあるとお話ししましたが、そこには線香やセラミック触媒、塗料、タイヤなど、本当に多岐に渡るユーザーや用途で使用いただいている事例があります。そうしたところからも、新たな可能性があるのではないかと考えました。

――どのような企業とディスカッションをしたいですか。

多田氏 : 樹脂・ゴム製品、建築材料、合成洗剤、石油ガス関連製品、そして飼料・ペットフードといった領域の企業をイメージしています。あまり絞りすぎずセオラス™の機能がどこまで期待できるのか、パートナー企業が持つ課題を解決できるのか、ディスカッションをしながら用途を探っていきたいですね。

▲旭化成株式会社 ライフイノベーション事業本部 ヘルスケアマテリアル事業部 セオラス第一営業部 食品・工業G 多田 彩乃氏

成田氏 : 私たちが認識していない機能や可能性への示唆をいただけることも期待しています。最近も、我々が考えていなかった形で採用いただいた事例がありました。限定しすぎず、ご意見をいただきながら進めていきたいです。

――パートナー企業に提供できるリソースについても教えてください。

山内氏 : 製薬や食品といった各分野で活用されてきた実績からくるノウハウや、旭化成の品質、ブランド力、技術サポートは提供できます。そしてセオラス™には様々なグレードがあるため、その違いを見ていただきながらニーズに合わせて提案することができます。

――パートナー企業へのメッセージをお願いします。

多田氏 : セオラス™の事業部では、従来の宮崎県の工場に加え、2023年度には岡山県に第二拠点となる工場を建設し、より安定的に供給できる体制が整いました。そして国内ではオンリーワンの結晶セルロースメーカーとして、高品質な製品の供給ができます。かつ、セルロースは天然素材ですから、サステナブルな社会への貢献性も高いです。そうしたところに興味を持っていただけたら、ぜひお声がけください。

山内氏 : まずはセオラス™を実際に触っていただき、機能面で可能性をぜひ感じていただきたいです。ディスカッションが進む中で、色んな可能性を探しながら進めていくことができるかもしれません。前向きに進めていけるパートナーの方々からの応募をお待ちしています。

【テーマ01-2】 「新規架橋性樹脂を活用したリサイクル可能な材料、製品の共同開発」

――「リサイクル・易解体可能」という特徴を持った新規架橋性樹脂を開発するに至った背景をお聞かせください。

浜本氏 : カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーを達成するには、工業製品を構成する材料自体をリサイクルすることが非常に大切です。リサイクルというのは大きな概念ではありますが、回収、分離、再使用という要素があり、それらをやりやすくする樹脂を開発しようという背景から開発に取り組んでいます。

▲旭化成株式会社 サステナブルポリマー研究所 ポリマー基盤技術開発部 主幹研究員 浜本 亮氏

――新規架橋性樹脂の強みをお聞かせください。

浜本氏 : 一番はリサイクルしやすいことです。現在世の中に出ている既存の架橋性樹脂でもリサイクルできないことはないかもしれません。しかし、そのためには膨大なエネルギーが必要だったり、危険な薬剤を使用しなければならなかったりと、課題があります。その点で当社の新規架橋性樹脂を使った製品は、簡便かつ安全にリサイクルができますし、ダメージも少なく再利用しやすいことが期待されます。

特に、繊維と樹脂が複合化されたFRP(繊維強化プラスチック)は、リサイクルへの大きな関心があり、こちらに我々の材料を応用していきたいと考えています。

東氏(※) : 私はこの樹脂を、接着剤にも適用できないかと検討をしています。通常の接着剤では、長年使ったあとに剥がすことが難しいです。従来の架橋性樹脂では難しいところを、当社の新架橋性樹脂では、簡単に剥がせ、剝がした後に部材を再利用できるのではないかと研究を進めています。

※旭化成株式会社 サステナブルポリマー研究所 ポリマー基盤技術開発部 主幹研究員 東氏

――どのような企業とディスカッション、共創を進めたいですか。

東氏 : 私が携わっている「接着」の領域でいうと、ある程度しっかりとした強度が必要な構造物向けの接着剤としての利用を検討しています。そのため、建物や建築部材、自動車や自動車部品、そして電子機器のメーカーなど、部材を接着して剥がすような用途を考えている企業の方々とディスカッションをしていきたいです。

浜本氏 : この素材の特性や強みを理解していただきながら、我々が想像できないような活用方法があれば、ぜひ提案をしていただきたいと思います。我々にとっては当たり前だと思うようなことも、実は世の中では面白い強みだったり、意外な用途につながる特性があるかもしれません。そうしたところを、パートナー企業とのディスカッションで探っていきたいですね。

――パートナー企業に提供できるリソースやアセットについてもお聞かせください。

浜本氏 : 新規架橋性樹脂活用シーンにおいては、様々な場所や条件があると思います。そういった諸条件に対応できるような設計ができる、オーダーメイドで作ることができるのが、私たちの強みです。

――パートナー企業へのメッセージをお願いします。

浜本氏 : 当社は材料を開発する会社であり、最終的な製品を製造する立ち位置ではありません。そこで今回のプログラムを通してパートナー企業の方々と、最終的な用途も模索しながらディスカッションをしていきたいです。単純なリサイクルの達成ではなく、新しい価値を社会に対して創造できるよう、真剣に向き合っていきたいと考えていますので、ぜひよろしくお願いします。

東氏 : 研究を進める中で、様々なお客様ニーズに対応できるよう、設計等の技術的なバリエーションを持っています。そうした技術的なフレキシビリティという強みを活かしながら、パートナー企業の方々とこの新規架橋性樹脂の可能性を切り開いていきたいです。

▲ポリマー基盤技術開発部のメンバー

【テーマ02-1】 「建築廃材・廃棄物のサーキュラーエコノミーの実現」

――旭化成建材での、カーボンニュートラルに対する取り組みについて教えてください。

斎藤氏 : 旭化成グループでは、2030年に2013年対比で30%の削減、そして2050年にカーボンニュートラル(実質排出ゼロ)という目標を掲げています(※旭化成グループのカーボンニュートラルに向けた方針)。

カーボンニュートラルのスコープ1(自社によるGHGの直接排出)に対して私たちができるのは、生産性をさらに上げていくこと。そこで、4~5年前からデジタル化を進めており、外観検査システムなど、デジタル技術を利用して生産性を加速度的に向上させています。

スコープ2(他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出)に対する取り組みについては、間接的なCO2の発生を抑制するということです。工場での生産では、電力と蒸気を利用していますが、蒸気の原燃料について、かつては重油を使用していました。こちらを、液化天然ガスに切り替えることで、CO2排出を35%削減できています。

そしてスコープ3(企業が、そのサプライチェーンにおいて、間接的に排出する温室効果ガス)への対応を加速度的に進めていくために「建築廃材・廃棄物のサーキュラーエコノミーの実現」というテーマを掲げ、今回のプログラムでパートナー企業を募集します。

▲旭化成建材株式会社 新事業開発室 マネージャー 斎藤 勇樹氏

――新事業開発室として、具体的な取り組み事例があれば教えてください。

斎藤氏 : 新事業開発室の本格的な発足が2024年4月1日からとなるため、まだ取り組みとしてはアイデアベースの段階です。ただ、私のバックグラウンドは工場の製造系で、17年ほど携わってきました。現場の廃材がまだ使える状態で戻ってくることに非常に強い課題感を感じています。そこで、廃材を回収して資源化し、お客様に新たな価値を付与して提供していくために、いくつかアイデアを出している段階です。

――今回、「建築廃材・廃棄物のサーキュラーエコノミーの実現」というテーマを掲げていますが、建築廃材や工場廃棄物としてどのようなものが出てくるのでしょうか。

斎藤氏 : 当社が製造しているのは、ALCという軽量気泡コンクリートと、フェノールフォーム断熱材です。ALCの工場廃材としては、トリミングされた時などのコンクリートがあります。そしてフェノールフォームの製造過程では、廃プラ・廃アルカリ・廃酸が出てくるのですが、その中で廃プラは、フェノールフォームをペレット化したような廃棄物です。

廃アルカリ・廃酸はサーマルリサイクルで処理をしているのですが、これももったいないと感じています。ゼロエミッションのツールとして、建材などにアップサイクルできると、それがまた新しい価値につながると思います。

――どのような企業とディスカッションをしていきたいですか?

斎藤氏 : 自分たちの工場で出た廃棄物や、建築現場から戻ってきた端材などをアップサイクルして、価値を付加して提供したいというのが私のアスピレーションなので、それに向けて賛同してくださる企業や、コアな技術やシーズをお持ちの企業とぜひディスカッションをしていきたいと思います。

また、サーキュラーエコノミーを体現している企業、プラットフォームをお持ちの企業とのコラボレーションにも取り組んでいきたいです。そして先ほどスコープ2についてお話ししましたが、まだ液化天然ガスを使ってCO2発生を抑制しているに留まっていますので、次は再資源化して炭酸カルシウムにして原材料に戻していくような企業とのコミュニケーションも可能性があると思います。また廃棄物を処理してそれを資源化する企業ともディスカッションをしていきたいですね。

――今回パートナー企業に提供できるリソース・アセットについて教えてください。

斎藤氏 : 我々の強みは、化学メーカーとしての知識やノウハウといった無形資産にあります。そして、アイデアを世に出そうと思った時に、これまで築いてきた商流があります。そのため、出口戦略もまとまりやすいはずです。さらに、知財等無形資産の取り方、アライアンスの実績もありますので、パートナー企業の価値を向上できるようなご支援もできるはずです。

――パートナー企業へのメッセージをお願いします。

斎藤氏 : 工場を運営していると、廃棄物や廃材などが出てきます。「廃」とつくと、どうしても負のイメージがあるかもしれませんが、それが次の価値を創出して生まれ変わるような、負が正になるようなエネルギーを一緒に作っていきたいです。そこに共感いただける企業と共に価値を高めていきたいので、ぜひご応募ください。

【テーマ02-2】 「人びとの安全なくらしを守る建材、建築物の強靭化」

――旭化成グループとして、建材・建築物の強靭化に取り組む課題意識について教えてください。

早乙女氏 : 2021年、「木材利用促進法」が改正されました。その目的の一つとしては、脱炭素化を進めるために森林活用を活性化することです。かつて「森林伐採は悪しきこと」だと認識されていましたが、現在では計画的に伐採して活用することが必要だと考えられています。また、鉄とコンクリートは製造過程でCO2を大量に排出しますが、木はCO2を吸収し固定化するため、建築物により木材を活用していく動きが進んでいます。

当社では従来鉄骨造向けの外壁ALCを販売してきましたが、木造が今後住宅レベルだけではなく10階建て程度のビルなどにも広がるなかで、構造の強靭化も必要です。同時に「木材は燃えやすい」という弱点を克服していく必要があります。

旭化成建材のALC「へーベル」は、国土交通大臣認定の耐火構造部材です。このように、社会課題やそれに伴う法令改正も含め、当社では強靭化に取り組んでいます。

▲旭化成建材株式会社 新事業開発室 課長 早乙女 一美氏

荻原氏 : 地震国である日本のなかで、我々は重要な役割を果たしてきたという自負があります。耐火性に優れたパネル、免震性に優れた取り付け工法は、同業他社に先んじて技術開発してきました。

さらに強靭化を進める背景としては、激甚災害の増加があります。従来の性能では対応しきれなくなるのではという危機感があり、さらに高度な性能のものをお客様に提供したいと考えています。

▲旭化成建材株式会社 新事業開発室 室長 荻原 達也氏

――今回、ディスカッションテーマとして「建築物の耐火・防火性の向上に寄与する素材・技術」「水害・自身から建物・人々を守るソリューション」を設けていますが、具体的にどのような話をしていきたいのでしょうか。

荻原氏 : 当社は外壁を取り扱っていますが、外壁が異常を検知することで屋内の電気系統を切ったり、災害による危険が迫る前に建物の中にいる人々に伝えたりするようなことが、デジタル技術を持つ企業などとできないかと考えています。

また、今後は新築に限らずリフォーム・リニューアルもさらに必要性が増してくるでしょう。そうした領域に取り組んでいる企業と劣化度合いをデジタル技術で調査することができれば、それを元に戻すような技術を当社は持っているため、コラボレーションができるといいなと思います。

ただ、当社はBtoB企業であるため、エンドユーザーの声がどうしても届きにくいという課題があります。実際に建物を使う方々と近い距離感でビジネスをしている方々ともディスカッションしていきたいですね。

早乙女氏 : 木と耐火性の歴史をたどると、ずっと前は木造では耐火ということすら口にされない時代から、耐火ができるような評価の仕組みを創った時代、それから燃えにくい材料で木を囲んでいくという時代がありました。ただ、せっかく木造で建築したのに覆い隠すような意匠は文化的にどうなのかという議論もあります。そこで、木を前面に出しながらも耐火性能をいかに担保するかというのが、現在の課題です。

ただ、当社は木については素人に近いため、木造建築に精通した方や、木を通じた耐火の知見や技術を持っている方とディスカッションをしたいです。そうした方々の強みと、当社の材料と工事力という強みをかけ合わせれば、また違う世界が広がると可能性を感じています。

――パートナー企業へのメッセージをお願いします。

荻原氏 : 建物の強靭化というテーマ設定にしていますが、究極のところは建物を使う方々の安心安全を提供することが我々の使命です。その前提のもとで、何か新しいことができないか模索している段階ですので、「こういうことをしたい」「こういうニーズがあるのではないか」というアイデアやヒントをお持ちの方は、ぜひ遠慮なくお声がけいただければ幸いです。

早乙女氏 : 新しいことを、ぜひ一緒に考えていきたいです。うまくいくかどうかは結果論でしかありませんから、どんなことでもいいので、役に立つと思われたら迷わずコンタクトを取っていただけたらと思います。まずは一緒に会話をして、前に進んでいきましょう。

取材後記

すぐに新たな事業に取り組むというよりは、その前の段階としてディスカッションのもと共創の可能性を探り、しっかりと未来につなげていこうという本プログラム。そのため、どのテーマにおいても対象を狭めたものではなく、広くオープンにパートナーを募集しているということが特徴だ。

旭化成グループの事業部門や研究開発部門がコミットするため、共創に向けた有意義なディスカッションを進めることができ、グループのリソースも活用できるというメリットがある。テーマに関連したアイデアやニーズがある企業は、ぜひ応募を検討して欲しい。

●『Value Co-Creation Table2024』の詳細はこちらよりご確認ください。

(編集:眞田幸剛、文:佐藤瑞恵、撮影:加藤武俊)

新規事業創出・オープンイノベーションを実践するならAUBA(アウバ)

AUBA

eiicon companyの保有する日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA(アウバ)」では、オープンイノベーション支援のプロフェッショナルが最適なプランをご提案します。

チェックする場合はログインしてください

コメント3件

  • 奥田文祥

    奥田文祥

    • 神戸おくだ社労士事務所
    0いいね
    チェックしました
  • 木ノ内 裕之

    木ノ内 裕之

    • 旭化成株式会社
    0いいね
    チェックしました