AIとIoTに注力する佐賀!マイクロソフトもベンチャー支援拠点を置くワケ
地方のオープンイノベーションにフォーカスをあてる「CLOSEUP OI」。今回は、AIやIoTといった最先端技術に投資を集中している佐賀県佐賀市を紹介します。
九州でテクノロジーと聞くと福岡を思い浮かべますが、近年では佐賀の存在感が増してきています。なぜいま、佐賀が最先端技術に強くなっているのでしょうか。そこにはオープンイノベーションの有効活用があるようです。
佐賀に「産業スマート化センター」が誕生
佐賀県が主導して運営しているオープンイノベーション拠点「佐賀県産業スマート化センター」は2018年10月に佐賀市内に開設されました。
テクノロジー領域、特にAI、IoTといった先端技術の導入支援や成長支援を行っている施設で、佐賀をAIとIoTの街だと印象づけるランドマークにもなっています。
センターが提供する機能として、IoTデバイスや各種ソリューションを体験・相談できるショールーム、AI・IoTに関するワークショップ、テック企業との交流やマッチングを促すコミュニティ形成などがあります。
同センターの来場者は1350名、イベント・セミナーの参加者は2600名、ビジネスマッチングの相談は60件、サポーティングカンパニーは100社をそれぞれ超えており、佐賀のビジネスシーンに着実に浸透しつつあります。
関連ページ:佐賀県産業スマート化センターについて
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西日本初のマイクロソフトイノベーションセンターがオープン
Microsoft AI & Innovation Center(マイクロソフトイノベーションセンター)は、独創的なアイデアを持つ組織をサポートするためにマイクロソフトが展開しているサポート拠点です。
日本国内にはマイクロソフトイノベーションセンターは岐阜、そして佐賀に拠点を構えています。技術を基盤に成長を遂げようとしている自治体は数多くありますが、マイクロソフトはIoTやAIの分野に期待をして佐賀に拠点を置いています。
マイクロソフトの豊富なアセットを利用できる可能性があるので、佐賀のテック企業はもちろん、全国各地のテック企業が佐賀に拠点を移すことも選択肢となります。
関連ページ:Microsoft AI & Innovation Center
ユーグレナと佐賀市が藻類培養に関する共同研究
ミドリムシ(学術名ユーグレナ)の培養に成功した株式会社ユーグレナと佐賀市は、平成26年2月に藻類培養に関する共同研究を締結しています。佐賀市は同年7月にバイオマス産業都市に認定されていて、バイオマスを活用した産業創出を目指して、環境に優しく災害に強いまちづくりを推進しています。
ユーグレナと共同研究を推進することで、佐賀市は保有する施設から生じるバイオマス資源を活用した藻類培養の技術や低コスト化の研究を進めます。
ユーグレナは栄養豊富なミドリムシを活用した健康食品を主幹事業としていますが、近年ではオープンイノベーションを軸としたエネルギー事業にも参入しており、佐賀市との連携はその一環と見られます。
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関連ページ:株式会社ユーグレナと佐賀市による藻類培養に関する共同研究を締結
【編集後記】グローバル企業が拠点を作る理由
佐賀はAIとIoTで産業を活気づけようとしていますが、言ってしまえば、九州にはもっとテクノロジーが盛んな地域はたくさんあります。
それでもマイクロソフトのようなグローバルテック企業が拠点を作るのには理由があるはずです。その理由のひとつが産業スマート化センターではないでしょうか。オープンイノベーションにおいて有望な分野はたくさんありますが、その中からAIとIoTに絞ってベンチャー企業をサポートすることで、その専門性に可能性を感じて大企業も拠点を展開しているはずです。注力する分野を定めること、そして取り組みをしっかりと発信することが、自治体にとって重要なスキルになってきそうです。
次回のCLOSEUP OIで取り上げるのは、東北の大都市仙台市です。Society5.0の実現を目指す仙台市が推進する「X-TECHイノベーション都市・仙台」とはいったいどのようなものでしょうか。その実態に迫ります。
(eiicon編集部 久野太一)