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『日本スタートアップ大賞2026』発表――フィジカルAIで製造・物流の自動化を進めるMujinが大賞を受賞

『日本スタートアップ大賞2026』発表――フィジカルAIで製造・物流の自動化を進めるMujinが大賞を受賞

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2026年9月25日、総理大臣官邸にて「日本スタートアップ大賞2026」の表彰式が開催された。同賞は、次世代のロールモデルとなるような社会的インパクトのある新事業を創出した起業家やスタートアップを表彰するもの。積極的な挑戦の重要性や起業家への社会的評価を広く浸透させ、社会全体の起業に対する意識を高めることを目的としている。

今回は317件の応募が寄せられ、有識者による審査委員会の選考を経て10社が受賞。最高賞となる日本スタートアップ大賞(内閣総理大臣賞)には、産業用ロボットの知能化や工場・物流現場の自動化を推進するMujinが選ばれた。

このほか、経済産業大臣賞にはリージョナルフィッシュ、農林水産大臣賞にはOishii Farm、文部科学大臣賞にはRapyuta Robotics、厚生労働大臣賞にはUbie、国土交通大臣賞にはSkyDrive、総務大臣賞にはSakana AI、防衛大臣賞にはOceanic Constellationsが選出。審査委員会特別賞をアイリスとAcompanyが受賞した。

「日本スタートアップ大賞」とは

「日本スタートアップ大賞」は、次世代のロールモデルとなるようなインパクトのある新事業を創出した起業家やスタートアップを表彰する制度だ。

前身となる「日本ベンチャー大賞」として2015年にスタートし、2022年に現在の名称へ変更。経済産業省をはじめ、農林水産省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省、総務省、防衛省が連携し、有識者で構成される審査委員会が受賞企業を選出している。2026年は317件の応募があり、内閣総理大臣賞をはじめ、各分野を所管する大臣賞や審査委員会特別賞など、計10社が表彰された。

受賞企業一覧と事業内容

日本スタートアップ大賞(内閣総理大臣賞)

株式会社Mujin

産業用ロボットの知能化や、工場・物流全体の自律化プラットフォーム「MujinOS」を展開するスタートアップ。独自のロボット制御技術を用い、物流・製造現場における複雑な作業の自動化を進めている。例えば物流現場では、多様な商品を認識し、出荷先に応じて積み込むといった複雑な作業をロボットによって自動化。人手不足が深刻化する製造・物流分野において、フィジカルAIを活用した自動化を推進している点などが評価された。

日本スタートアップ優秀賞(経済産業大臣賞)

リージョナルフィッシュ株式会社

京都大学発のスタートアップとして、ゲノム編集をはじめとする品種改良技術を活用し、水産業の生産性向上に取り組む。従来は約30年を要していた水産物の品種改良を2~3年程度に短縮。国の手続きを経た世界初のゲノム編集動物食品を上市したほか、高温耐性を持つ魚種などの開発を進めている。食料問題への対応や地域水産業の活性化への貢献が期待されている。

農業スタートアップ賞(農林水産大臣賞)

Oishii Farm株式会社

AIやロボティクスなどを活用した植物工場で、いちごの生産・販売を手掛けるアグリテック企業。従来、植物工場での量産が難しいとされてきたいちごについて、安定的な量産とビジネスモデル化を実現した。2026年8月には東京都羽村市に植物工場専用の研究開発施設「オープンイノベーションセンター」を開設。培った植物工場技術の世界展開を通じ、農業分野での外貨獲得や食料安全保障への貢献を目指している。

大学発スタートアップ賞(文部科学大臣賞)

Rapyuta Robotics株式会社

物流業界を中心に、ピッキングアシストロボット、自動フォークリフト、自動倉庫などのロボティクスソリューションを提供するスタートアップ。複数のロボットを効率的に連携させる群制御技術などを強みに、物流現場の自動化を推進している。ピッキングアシストロボットは国内に加え米国の倉庫にも導入されるなど、海外展開も進めている。

医療・福祉スタートアップ賞(厚生労働大臣賞)

Ubie株式会社

医療に特化したAIを活用し、生活者、医療機関、製薬企業を対象としたサービスを展開するヘルステックスタートアップ。生活者向けの医療AIサービスによる適切な受診行動の支援に加え、医療機関向けにはAIを活用した業務効率化を支援。生活者向けサービスの月間利用者数は約1300万人に上り、医療機関向けAIも全国160施設以上の大規模病院に導入されている。

国土交通スタートアップ賞(国土交通大臣賞)

株式会社SkyDrive

「空飛ぶクルマ」の開発を進めるモビリティスタートアップ。電動でコンパクトなエア・モビリティの開発を通じ、新たな移動手段の社会実装を目指している。機体開発に加え、社会実装に必要となる制度やインフラ、事業モデルの構築にも取り組んでおり、新たなモビリティ産業の創出を進めている。

情報通信スタートアップ賞(総務大臣賞)

Sakana AI株式会社

自然界の進化や集合知から着想を得たAI技術を開発するスタートアップ。複数のAIモデルを進化的に組み合わせ、新たなAIモデルを生成する「進化的モデルマージ」や、研究アイデアの生成から実験、論文執筆などをAIが担う「AIサイエンティスト」など、独自の技術開発を進めている。大規模な計算資源への依存を抑えながら、高性能なAIを開発するアプローチを追求し、日本発のAI技術のグローバル展開を目指している。

防衛スタートアップ賞(防衛大臣賞)

株式会社Oceanic Constellations

多数の水上無人機(USV)をネットワーク化し、広大な海洋を継続的に監視する「USVコンステレーション・サービス」の開発を進めるスタートアップ。宇宙と水中をつなぐ海上ネットワーク「海の衛星群」の構築を掲げ、海洋安全保障をはじめとする幅広い領域での活用を目指している。

審査委員会特別賞 ※2社受賞

アイリス株式会社

AIを活用した医療機器を開発するスタートアップ。咽頭画像と問診情報などをAIで解析し、感染症の診断を支援する医療機器「nodoca」を開発している。医療現場にAIを実装することで、診療の質向上や医療従事者の負担軽減といった課題の解決を目指す取り組みが評価された。

株式会社Acompany

Confidential Computing(機密コンピューティング)を中心とした技術を活用し、機密性の高いデータを保護しながらAIやデータを活用できる環境の構築に取り組むスタートアップ。データの利用中も機密性を維持する技術を商用レベルで実装し、セキュリティとデータ利活用を両立。経済安全保障、防衛、金融、医療など、高い機密性が求められる領域での活用を進めている。

表彰式での高市総理のコメント

表彰式に出席した高市早苗総理は、最高賞を受賞したMujinについて、産業用ロボットに「見て、考える力」を与え、物流・製造現場を自動化するフィジカルAIの開発・実装を進めている企業として紹介。ロボットによる物流作業の自動化などを挙げ、「次世代のロールモデルとなるスタートアップ」として受賞を祝福した。

また高市総理は、政府の「日本成長戦略」において「スタートアップ」を横断的な課題の一つに位置付けていることにも言及。AI・半導体、防衛産業、航空・宇宙、フードテックなどの分野において、スタートアップが国内投資を牽引する重要な担い手となることへの期待を示した。

今回の受賞企業を見ると、フィジカルAIやロボティクス、ゲノム編集、医療AI、空飛ぶクルマ、海洋無人機、Confidential Computingなど、今後の産業競争力や社会課題の解決に直結する領域で事業を展開する企業が並ぶ。

受賞企業が今後、国内外でどのように事業を拡大し、新たな産業や市場を切り拓いていくのか。その動向にも注目が集まりそうだ。

※参考リンク・画像出典

経済産業省:「日本スタートアップ大賞2026」の表彰式を行いました

首相官邸:日本スタートアップ大賞2026表彰式

(TOMORUBA編集部)

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