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「もう一度、話す喜び」を社会実装へ――第8回日本オープンイノベーション大賞、内閣総理大臣賞はマウスピース型人工喉頭 15の取組・受賞プロジェクトを総覧

「もう一度、話す喜び」を社会実装へ――第8回日本オープンイノベーション大賞、内閣総理大臣賞はマウスピース型人工喉頭 15の取組・受賞プロジェクトを総覧

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2026年1月21日、内閣府は「第8回 日本オープンイノベーション大賞」の受賞者を発表。2月9日に表彰式を開催した。オープンイノベーション(OI)を通じて生まれた、先導性・独創性の高い取組を表彰する本賞は、担当分野ごとの大臣賞・長官賞、学術団体・経済団体の会長賞、そして各賞の中で最も優れた取組に贈られる「内閣総理大臣賞」を設けている。

【表彰の種類】
内閣総理大臣賞、科学技術政策担当大臣賞、総務大臣賞、文部科学大臣賞、厚生労働大臣賞、農林水産大臣賞、経済産業大臣賞、国土交通大臣賞、環境大臣賞、スポーツ庁長官賞、日本経済団体連合会会長賞、日本学術会議会長賞、選考委員会特別賞

授与式の冒頭では、内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局長の濱野光一氏が挨拶を行った。国際競争が激化する中で研究開発成果を迅速に社会実装し、社会ニーズの解決や新たな価値創造につなげるには、組織の壁を越えて知識・技術・経営資源を組み合わせるオープンイノベーションがますます重要だと強調した。審査に協力した外部有識者への謝意とともに、会場へ「盛大な拍手で一緒に祝福してほしい」と呼びかけた。

本記事では、内閣総理大臣賞及び各賞の受賞プロジェクトについて紹介していく。

第8回 日本オープンイノベーション大賞 受賞取組・プロジェクト一覧

■内閣総理大臣賞

<取組・プロジェクト名称>

「もう一度、話す喜びを!」ニッチだがアンメットニーズに対峙した臨床家のオープンイノベーションの挑戦

<内容>

口腔内の動きのみ(唇・舌)で発声が可能となるマウスピース型人工喉頭を開発。唇と舌が動き、マウスピースを装着できれば、装着初日から会話が可能になる。大学、大学発スタートアップ、民間企業群が連携し、研究・ものづくり・事業化を一体で推進した。

<効果>

申請段階で使用者は約200名とされるが、数年後には数万人規模の患者支援につながる可能性が示された。声を失い話すことを諦めざるを得ない人の苦しみを「可視化」し、人生を取り戻す技術を社会実装へ接続。

<応募機関>

(株)東京医歯学総合研究所、東京科学大学、三洲電線(株)、富士システムズ(株)

東京医歯学総合研究所の山田氏は「この賞は文字通り、ここにいる皆様と、社内外を問わずすべてのチームの取組そのものを表彰されたもの」と述べた。自身は歯科医師として、接触嚥下領域の専門性を起点に着想を得て、当初はほぼ独力で試作機を製作し臨床試験を進めていたという。ピッチコンテストで声をかけられたことを契機に、大学内だけでなく社外の多様なチームと協働し製品化へ至った。今後も臨床現場に関わり続けつつ、臨床とオープンイノベーションをつなぐ架け橋として研究開発を継続する意思を示した。

■科学技術政策担当大臣賞

<取組・プロジェクト名称>

ロボット手術で血管テーピングを安全・円滑に行う革新的デバイス「ヴァスガイド」の開発とその臨床応用

<内容>

医師の着想から生まれたロボット支援手術の医療安全性を支えるデバイスとして、血管テーピングの安全性と再現性向上のための「VAS GUIDE」を共同開発し、臨床応用につなげた。

<効果>

手技の安全性・再現性を押し上げ、ロボット支援手術における医療安全の底上げに貢献する。

<応募機関>

徳島大学病院

■総務大臣賞

<取組・プロジェクト名称>

デジタルインフラと地球環境の両立する洋上データセンター

<内容>

陸から海へ前提を変更し、データセンターが抱える課題を根本から解決することを狙って、洋上でデータセンターを建設するモデルを推進した。

<効果>

デジタルインフラの拡張と環境配慮の両立に向け、実装の可能性を具体化した。

<応募機関>

日本郵船(株)、(株)NTTファシリティーズ、(株)ユーラスエナジーホールディングス、(株)三菱UFJ銀行、横浜市

■文部科学大臣賞

<取組・プロジェクト名称>

地方創生を加速する双方向循環型産学共創モデル -技術知と人材の好循環を生み出す地域共創の新機軸-

<内容>

実証環境の整備による社会実装の促進と、学生・技術者の合同セミナーによる研究開発力強化を通じ、大学と企業双方の技術知見と人材高度化の好循環を生み、地域産業の競争力強化に貢献する。

<効果>

制度と人材が循環する形で地域共創を駆動し、地方創生を加速する新機軸を示した。

<応募機関>

広島大学

■厚生労働大臣賞

<取組・プロジェクト名称>

産学官連携による世界初の歯周病治療器「ブルーラジカル P-01」・行動変容アプリ「ペリミル」の社会実装

<内容>

歯科医師が中心となり、局所的で短時間での咀嚼を可能にした治療器「Bluelogical P01」の技術開発から社会実装までを一気通貫で推進。患者の興味を促し、ブラッシング習慣化につなげる行動変容アプリ「Perimill」も開発した。

<効果>

医療機器とデジタル介入を統合し、治療と行動変容を同時に実装するモデルを提示した。

<応募機関>

Luke(株)、東北大学

■農林水産大臣賞

<取組・プロジェクト名称>

スカブター:AI・AR 技術による非接触型体重推定デバイスの社会実装

<内容>

宮崎大学が保有する3DカメラとAI画像処理の特許技術、数万頭の豚モデルデータを活用し、豚の形状から瞬時に体重・体高を推定できるメガネ型デバイスを、農場現場主導の共創スタイルで開発した。

<効果>

現場で「見るだけ」で推定できる実用性により、農場DXの具体的なユースケースを提示した。

<応募機関>

国立大学法人宮崎大学

■経済産業大臣賞

<取組・プロジェクト名称>

アカデミアと企業の連携による抗COVID-19薬の開発研究と社会実装

<内容>

北海道大学キャンパス内に2008年開設した塩野義創薬イノベーションセンターで共同研究開発を実施し、わずか2年という短期間で新薬(エンシトレルビルマル酸)の開発につなげた。

<効果>

産学連携の研究体制を実装フェーズへ直結させ、迅速な新薬創出のロールモデルを示した。

<応募機関>

北海道大学、塩野義製薬(株)

■国土交通大臣賞

<取組・プロジェクト名称>

共同輸送データベースの普及による持続可能な物流~フィジカルインターネットの実現

<内容>

運輸事業者・荷主・サポート企業が参加する分科会を立ち上げ、動態管理プラットフォームを基に共同輸送相手を検索できるユニバーサルシステムを構築。各社が共有する物流データを匿名加工した情報で共同輸送のマッチングを実現した。

<効果>

共同輸送の効率化と持続可能性を、データ基盤の整備によって前進させた。

<応募機関>

(一社)運輸デジタルビジネス協議会、(株)traevo

■環境大臣賞

<取組・プロジェクト名称>

産学官連携によるフードロス削減と食品端材の再価値化による持続可能な共創モデルの構築

<内容>

吉野家が提供した玉ねぎ端材を、アストラフードプランの加熱蒸煎機で瞬間乾燥し「乾燥玉ねぎパウダー」を生成。女子栄養大学がパウダーを用いたレシピを通じアップサイクルを実現し、埼玉県が事業者連携と広報を担った。

<効果>

端材を「素材→商品体験」へ転換し、産学官で役割分担しながら持続可能な共創モデルを構築した。

<応募機関>

(株)吉野家ホールディングス、ASTRA FOOD PLAN(株)、女子栄養大学、埼玉県

■スポーツ庁長官賞

<取組・プロジェクト名称>

ミノムシ由来強靭繊維を活用したスポーツ構造材の開発

<内容>

脱炭素・資源循環型社会の構築に向け、化石資源に依存しないものづくりを、ミノムシ由来の「強くて優しい」独自素材というアプローチで推進した。

<効果>

環境配慮型ものづくりの具体例として、独自素材の産業応用を前進させた。

<応募機関>

(国研)農業・食品産業技術総合研究機構、興和(株)、ヨネックス(株)

■日本経済団体連合会会長賞

<取組・プロジェクト名称>

ビジョン共有で社会課題を解決する新たな産学協創モデル「日立東大ラボ」

<内容>

エネルギー分野の中長期社会課題に対し、大学と企業が対等な立場で技術アイデアを持ち寄り、信頼性の高いエビデンスに基づくビジョンと解決策を社会へ発信。産学共創の成果を社会と共有する新しい社会提言モデルを構築した。

<効果>

産学共創を「提言」として社会へ開く枠組みを示し、共創成果の社会還元モデルとして評価された。

<応募機関>

(株)日立製作所、東京大学

■日本学術会議会長賞

<取組・プロジェクト名称>

分野も組織も世代も越える研究ポスター発表形式(通称:100 人論文)による本質対話とマッチング創出

<内容>

分野不問・匿名性の100件からなる研究ポスター大会を企画。分野判別ができないようポスターのデザインを統一し、「画像1枚+文章」の形式にすることで、学術対話を促進する設計とした。

<効果>

研究者間の本質対話とマッチングを誘発し、学術対話のロールモデルとなる企画設計として評価された。

<応募機関>

京都大学

■選考委員会特別賞(全3プロジェクトが受賞)

<取組・プロジェクト名称>

産学官連携による防災研究「ウォーターチェンジャー®」の社会実装プロセス ~能登半島 地震被災地で活躍した新潟県企業から生まれたトイレカー「リバイオ」の誕生~

<内容>

長岡技術科学大学と東京電力ホールディングスが、特殊材料に住む微生物が水中汚染物質を分解する水再生処理技術「ウォーターチェンジャー」を共同開発。技術を基に、製品開発・商品化を進めた。

<効果>

災害現場(能登半島地震被災地)で活躍した実績を持ち、研究から社会実装までのプロセスを示す取組として評価された。

<応募機関>

長岡技術科学大学、ユニトライク(株)、東京電力ホールディングス(株)、AQVANA(株)、(株)ニットク

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<取組・プロジェクト名称>

民間から実務家教員を登用する新しい産学連携人材育成モデル 最先端の知見を伝え、デジタル人材不足の解消へ

<内容>

高等専門学校が、民間プロ人材を実務家教員として登用し、最先端のデジタル教育を提供するモデルを構築した。

<効果>

教育現場に実務知を取り込み、デジタル人材不足の解消に資する人材育成モデルとして社会展開が期待される。

<応募機関>

(株)ビズリーチ、(独法)国立高等専門学校機構

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<取組・プロジェクト名称>

北の大地を拓く!JAつべつ×北見工業大学 オホーツク地域を潤すスマート農業イノベーション

<内容>

地元大学発イノベーションの社会実装に向け、寒冷地・中山間地の条件を抱える津別町において、スマート農業モデルを地域一体で推進した。

<効果>

地域課題に根差した寒冷地中山間地スマート農業モデルの構築が、優秀な取組として評価された。

<応募機関>

津別町農業協同組合、北見工業大学、NTT ドコモビジネス(株)、(株)キュウホー

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閉会挨拶では、小野田紀美科学技術政策担当大臣が、科学技術イノベーションは国力の源泉であり、経済成長や社会課題解決の原動力だと述べた。そのうえで、今回の受賞取組はいずれも「人の苦しみや課題に寄り添っているから生まれるもの」だとし、表彰を契機に日本のオープンイノベーションがさらに加速することへの期待を語った。

※受賞した各プロジェクトの詳細は、以下のPDFにて確認できる。

関連リンク:第8回 日本オープンイノベーション大賞 受賞取組・プロジェクトの概要について

第8回日本オープンイノベーション大賞について - 科学技術・イノベーション - 内閣府

(TOMORUBA編集部) 

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