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中小企業庁が創業政策の報告書を公表 創業者数10万者を目標に、創業期の成長支援を強化

中小企業庁が創業政策の報告書を公表 創業者数10万者を目標に、創業期の成長支援を強化

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中小企業庁は2026年4月21日、「地域の持続的成長に向けた創業政策のあり方検討会」の取りまとめ報告書を公表した。同検討会は2025年12月から開催され、人口減少や労働力不足が進むなかで、今後の創業政策がどのような方向を目指すべきかを議論してきたものだ。今回の報告書では、創業数の増加だけでなく、創業後の事業成長や、地域全体で創業を生み出すエコシステムの構築を重視する方向性が示された。

※出典:「地域の持続的成長に向けた創業政策のあり方検討会」の取りまとめ報告書を公表します (METI/経済産業省)

人口減少下で問われる、地域の創業支援

中小企業庁ではこれまで、地域経済における雇用創出、新産業の創出、地域課題の解決などを目的に、地方自治体、金融機関、商工団体、支援機関などが連携した創業支援体制の構築を進めてきた。日本政策金融公庫による創業融資制度、各種補助金・税制、起業家教育事業なども含め、創業促進に向けた施策は一定程度整備されてきた。

▲創業政策を巡る環境変化と今後の方向性(「地域の持続的成長に向けた創業政策のあり方検討会 取りまとめ報告書 概要資料(PDF形式:1,339KB)PDFファイル」p.2)

一方で、報告書では、日本の開業率が2013年以降ほぼ横ばいで推移しており、米国・英国と比較しても低い水準にあることが指摘されている。2024年時点の開業率は、日本が3.8%であるのに対し、米国は11.1%、英国は10.6%となっており、依然として大きな差がある。また、起業に「無関心」とする人の割合も日本は75.8%と、米国の21.6%、英国の39.3%を大きく上回る。創業者数についても、2020年の11.6万から全体として減少傾向にある。

創業時だけでなく、創業後5年程度までの「創業期」には、資金繰り、人材確保、販路開拓などさまざまな経営課題に直面する。そのため、今後の創業政策では、創業数の増加に加え、創業期における事業成長を支える支援や、地域全体で創業を継続的に生み出すエコシステムの構築が重要になるとしている。

施策の柱は4つ、創業を地域全体で支える方向へ

今後の具体的施策として、報告書では大きく4つの柱が掲げられた。

▲今後の具体的施策(「地域の持続的成長に向けた創業政策のあり方検討会 取りまとめ報告書 概要資料(PDF形式:1,339KB)PDFファイル」p.3をもとに作成)

①創業機運の醸成

創業を一部の人だけの選択肢とするのではなく、地域社会全体で新しい事業に挑戦しやすい土壌をつくる。

②創業者のリテラシー向上や、人手不足への対応、資金確保に関する支援

創業者には、財務・税務、販路開拓、デジタル活用、人材確保など、事業運営に必要な知識が求められる。創業塾や創業セミナー、オンラインコンテンツなどを通じた支援の充実を目指す。

③創業期におけるさらなる成長支援の強化

創業を「起業した時点」で終わらせるのではなく、創業後の事業成長まで伴走する支援を行う。

④創業支援施策の周知徹底

創業者や支援機関が必要な情報にアクセスしやすくなるよう、「創業ガイドライン(仮称)」の策定なども検討。

▲今後の評価指標(「地域の持続的成長に向けた創業政策のあり方検討会 取りまとめ報告書 概要資料(PDF形式:1,339KB)PDFファイル」p.3をもとに作成)

また、評価指標についても見直しの方向性が示された。今後は、「①創業期における成長」「②創業者数の増加」「③創業エコシステムの構築」の3つの指標を組み合わせ、創業政策の効果を多面的に評価していく考えだ。

具体的には、「創業期における成長」について、創業後5年以内の企業の成長を付加価値額等で把握することを想定している。ただし、現状の公的統計では必要な情報を十分に把握できていないため、今後、情報の把握手法を確立しながら、適切な目標値を検討・設定していく。

「創業者数の増加」については、足元の創業者数が減少傾向にあることを踏まえ、創業者数10万者/年の水準を目指す。また、「創業エコシステムの構築」では、人口1万人あたり創業者数7.8人/年を実現する地域の数を、今後5年間で現在の30地域から60地域へ倍増させることを目標としている。

創業者を5類型に整理、支援の質を最適化

報告書では、創業者を成長志向や事業内容、地域との関係性に応じて5つの類型に整理している。

▲【参考】創業の類型の整理(「地域の持続的成長に向けた創業政策のあり方検討会 取りまとめ報告書 概要資料(PDF形式:1,339KB)PDFファイル」p.4)

①地域住民の生活に密着したサービスを提供する「地域コミュニティ型」

飲食、小売、生活サービスなどが代表例であり、地域住民の生活基盤を支える役割を担う。

②地域の農産物、観光資源、文化資源などを活用して新たな価値を創出する「地域資源型」

地域ブランドの形成や地域産業の高度化につながることが期待される。

③地域課題をビジネスとして解決する「地域課題解決型」

地域社会の持続可能性向上に寄与する事業が想定される。

④地域で創業した後、雇用拡大や事業拡大を志向する「事業拡大型」

地域経済の成長を牽引する役割が期待される。

⑤革新的な技術やビジネスモデルを活用し、急成長を志向する「スタートアップ型」

イノベーション創出や産業構造の高度化への貢献が見込まれる。

このように、創業を一律に捉えるのではなく、創業者の事業特性や成長角度に応じて支援のあり方を変えていく必要性が示された。創業支援の基礎的な枠組みは共通しつつも、創業塾の内容、伴走支援の頻度、資金調達支援、人材確保支援などを類型ごとに最適化することで、創業後の成長を後押しする狙いがある。

創業支援は「点」から「面」へ

今回の報告書は、創業支援を単なる起業時の支援にとどめず、地域の持続的成長を支える政策として捉え直すものだといえる。特に、自治体、金融機関、商工団体、民間支援機関、既存企業など、多様なプレイヤーが連携しながら創業者を支える必要性が強調されている点は重要だ。

創業が活発な地域では、産業支援機関や金融機関、株式会社などを含む多様な主体が創業支援に関わっている傾向があるという。つまり、地域の創業力を高めるには、個別の支援施策だけでなく、創業者と支援者、企業、行政、金融機関がつながる仕組みそのものをつくることが欠かせない。

中小企業庁は今後、報告書を踏まえ、必要な措置や施策の具体化を進めていく方針だ。地域の創業政策は、創業数を増やす段階から、創業後の成長を支え、地域内に新たな事業や雇用、課題解決の循環を生み出す段階へと移りつつある。

編集後記

地域における創業支援の方向性を読み解くうえで特に重要なのは、創業を「数」だけで捉えるのではなく、創業後の成長や地域全体のエコシステム形成まで含めて評価しようとしている点である。

地域における創業は、生活を支える小規模事業、地域資源を活かした事業、地域課題を解決する事業など、多様な創業が地域経済を支えている。こうした事業を孤立させず、自治体、金融機関、支援機関、既存企業がどう連携して育てていくかは、オープンイノベーションの文脈でも重要なテーマとなる。今後、各地域でどのような官民連携や支援モデルが生まれるのか、引き続き注視したい。

(構成・取材・文:入福愛子)

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