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2021年は過去最高投資額に。躍進する欧州ユニコーン、2022トップ15社のビジネスモデル【前編】

2021年は過去最高投資額に。躍進する欧州ユニコーン、2022トップ15社のビジネスモデル【前編】

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近年、目覚ましい発展を遂げているヨーロッパのスタートアップ市場。英ベンチャーキャピタルのAtomico(アトミコ)が毎年発行している「State of European Tech 2021」によれば、2021年のヨーロッパのスタートアップへの投資額は過去最高の1,000億ドル(約14兆円)に達した。これは、2015年の投資総額の約10倍にもなる。

また、2021年にヨーロッパで誕生したユニコーンは約100社にのぼり、ヨーロッパのユニコーン企業数は323社となった。

ーー世界の企業が取り組むイノベーションの"タネ"を紹介する連載企画【Global Innovation Seeds】第27弾では、アメリカとヨーロッパにオフィスを持つ事業開発・投資企業「i5invest」が2022年1月に発表した「The European Unicorn & Soonicorn Map 2022」に着目。同マップで紹介されたユニコーンの評価額ランキングで、トップ15社にランクインした企業のビジネスモデル(15〜8位まで)を紹介したい。本記事は前後編となり、7〜1位は後日掲載する後編で紹介する。

※本文中で紹介している評価額は直近の企業のプレスリリース、あるいは海外メディアでの報道を参照しており、同ランキングとはズレが生じている。

【15位】データ管理プラットフォーム「Collibra」


▲Collibraの公式ホームページより

2008年に創業、米国ニューヨークに本社を構え、ベルギーやフランスなどヨーロッパに複数のオフィスを持つCollibra。同社は、データ管理を容易にするプラットフォーム「Collibra データインテリジェンスクラウド」を提供する。

同プラットフォームには、次の6つの機能が組み込まれている。データを分類する「データカタログ」、プライバシーポリシーを管理・運用する「データプライバシー」、データをマッピングする「データ系統」、信頼できるデータを提供する「データガバナンス」、データ品質を保つ「データ品質と観測性」、データ環境の設定などができる「コアサービス」だ。

その品質は世界的に評価されている。2021年8月にフォーブスが発表した、もっとも優秀で価値のあるクラウド企業のランキング「The Cloud 100」で40位にランクインしたほか、さまざまな賞を受賞している。

2021年11月には、シリーズGラウンドで2.5億ドル(約345億円)を調達し、事後評価額は52.5億ドル(約7,300億円)に達した。他社が目を付ける前にいち早くデータガバナンス業界に注力し始めたこと、迅速なペースでプラットフォームを拡張し続けていることが成長要因かもしれない。

【14位】クラウドバンキングプラットフォーム「Mambu」


▲Mambuの公式ホームページより

2011年創業、オランダ・アムステルダムに拠点を構えるMambuは、SaaS型クラウドバンキングプラットフォームを提供するフィンテック企業だ。クライアントは銀行、フィンテック、小売企業など。与信判断、預金、融資、支払い処理、マネー・ローンダリング防止対策、本人確認、顧客管理といった一連の金融サービスのデジタル化を実現する。

Mambuの強みは、スピード・柔軟性・効率化の面で長けていることだという。ヨーロッパを中心にアフリカやアジアなど幅広くクライアントがおり、65カ国以上で200社にサービスを提供。ヨーロッパ初のモバイル専用銀行、N26もMambuを採用している。

2021年の第3四半期には、前年同期比120%以上の成長を達成。同年12月にはシリーズEで2億3500万ユーロ(約330億円)の資金調達を実施し、評価額は49億ユーロ(約6,900億円)に達した。

最新ニュースとしては、7月6日にVisaとグローバルなパートナーシップを締結したことを発表したばかり。この提携により、Mambuの顧客はVisa DPS(世界最大級のVisaデビット取引プロセッサー)とシームレスに接続し、エンドツーエンドのカード発行・処理を行うことができるようになるという。

【13位】中小企業向けHRソリューション「Personio」


▲Personioの公式ホームページより

2015年創業、ドイツ・ミュンヘンに本社を構えるPersonioは、中小企業向けにオールインワンのHRソリューションを提供する。人事、採用、給与計算、分析などの機能を備え、100の外部ソフトウェアと連携可能。人事プロセスをできる限り透明、かつ効率的にするのが特徴だ。Personioは自社の強みとして、カスタマーサービスの質の良さ、迅速な実装、データ保護とITセキュリティをあげている。

利用料金は、最低限の機能に絞られたEssentialは月額2.88ユーロ(約400円)〜、もっとも人気のあるProfessionalは月額4.43ユーロ(約600円)〜、すべての機能をフルで使えるEnterpriseはリクエストごとに見積もりを提示する。

創業から7年足らずで7つのオフィスを構え、約1,200人の従業員と約6,000人のクライアントを持つ。2022年6月にはシリーズEで2億ドル(約276億円)の資金調達を実施。2021年10月の資金調達とあわせてシリーズEの総額が4億7000万ドル(約650億円)となり、同社の評価額は85億ドル(約1兆1,700億円)に達した。

【12位】リファービッシュ・中古デバイス専門マーケットプレイス「Back Market」


▲Back Marketの公式ホームページより

 2014年創業、フランス・パリに本社を構えるBack Marketは、リファービッシュ、あるいは中古のデバイスを一般消費者向けに販売している。リファービッシュとは「整備品」を意味し、中古品ではあるが、専門家によって検査・クリーニング、必要に応じて修理されているものを指す。

同社のオンラインストアでは、スマートフォン、iPad、アップルウォッチ、AirPods、Macbookが定価の30〜70%オフで販売されている。Back Marketの場合、自社でデバイスを整備・販売するのではなく、Amazonや楽天のように第三者の販売者がデバイスを販売する電子商取引プラットフォームとなる。2021年5月時点で1,500の販売者がBack Marketでデバイスを販売しているそうだ。

2021年10月の時点で、アメリカ、イギリス、日本などを含む計16ヵ国でサービスを展開しており、日本では2021年3月からスタート。30日間の返金保証、12ヶ月の動作保証が付いている。

2022年1月には、シリーズEで5億1000万ドル(約704億円)の資金調達を発表、これにより、評価額は57億ドル(約7,900億円)に達した。近年、中古デバイス市場はヨーロッパで熱く、iPhoneに特化したフィンランドのSwappie、カメラやモニターなども幅広く扱うオーストリアのRefurbedなども勢いがある。

【11位】決済サービスプロバイダー「Mollie」


▲Back Marketの公式ホームページより

2014年創業、オランダ・アムステルダムに本社を構えるMollieは、BtoBで決済ソリューションを提供する。自社のWebサイトに統合して、複数通貨による複数の支払い方法を可能にするほか、ダッシュボードでの分析機能も持つ。120の外部ソフトウェアと連携も可能で、もちろんセキュリティにも配慮されている。

利用においては取引が完了した場合における成功手数料のみで、支払い方法に応じて手数料の%が設定されている。サブスクリプションにおいても、サインアップコストなどの最低利用料はなく、取引が完了した場合の手数料のみとなる。

2021年6月にシリーズCで8億ドル(約1,100億円)の資金調達を実施、評価額は65億ドル(約9,000億円)に達した。ヨーロッパのフィンテック市場で期待される成長企業といえる。

【10位】オールインワン、イベントプラットフォーム「Hopin」


▲Hopinの公式ホームページより

2019年創業、イギリス・ロンドンに拠点を構えるHopinは、オールインワンのイベントプラットフォームを提供する。少人数から大人数まで、オンライン、ハイブリッド、対面いずれのイベントにも対応し、人とつながることに重点を置いて開発されている。

例えば、ライブビデオを使った1対1のネットワーキングでは、バーチャル名刺を交換して、その後の交流に役立てられる。グループに参加しての交流、基調講演の視聴、インタラクティブな展示エリアの探検なども可能だ。

他ではあまり見られないユニークな機能も多い。講演者が参加できるプライベート・バーチャル・バックステージや、スポンサー向けにブランディングができる場所が用意されている。イベントの内装をブランドカラーに変更することもでき、イベントの世界観を演出するのに役立つ。無料でも利用できるが、大規模なイベントを実施する場合は、月額49.50ドル(約6,800円)〜となる。

コロナ禍にマッチしたサービスであり、その成長速度はすさまじい。2020年半ばに数十人だったチームが、2021年8月時点で47ヵ国に800人以上の従業員を抱えるほどに成長している。ユーザーは世界中で数十万人にのぼる。日本ではあまり聞かれないが、Webサイトは日本語版が存在する。

2021年8月にシリーズDで4.5億ドル(約620億円)の資金調達を実施、評価額は77.5億ドル(約1兆700億円)に達した。

【9位】配車、フード、グロースリーデリバリー「Bolt」


▲写真提供:Bolt

2013年創業、エストニア・タリンに本社を構えるBoltは、配車サービス、スクーター・電動キックボードレンタル、及びフードデリバリーを提供する。ヨーロッパ、アフリカの他、ラテンアメリカ、一部アジアでもサービスを展開しているが、日本には未進出だ。

人々が移動のために自家用車を購入する必要がなくなる未来を目指すBoltは、目的地までの配車のほか、短期での自動車レンタルサービス「Bolt Drive」も提供する。さらに、食事メニューを届ける「Bolt Food」、15分で購入した商品を届ける「Bolt Market」も。世界45か国以上でサービスを提供しており、1億人以上の顧客がいるそうだ。

創業当時、タクシーは待ち時間が長く、サービス体験が悪く、かつ高価だったという。これらの課題を解決する目的で、当時19歳のMarkus Villig氏が事業を立ち上げ、ヨーロッパ、アフリカ市場を中心に開拓していった。

2022年1月には、過去最大となる6億2800万ユーロ(約880億円)の資金調達を実施、評価額は74億ユーロ(約1兆420億円)に達した。この投資により、コロナ禍でスタートした新サービス「Bolt Market」において、2022年に数百店舗が稼働する予定だという。

【8位】決済サービスプロバイダー「Trustly」


▲Trustlyの公式ホームページより

2008年創業、スウェーデン・ストックホルムに本社を構えるTrustlyは、BtoBで決済ソリューションを提供する。11位で紹介したMollieの競合ではあるが、それぞれに強みが異なる。​​あらゆる支払い方法を可能にするMollieに対して、Trustlyは消費者がオンライン銀行口座から直接販売者に支払いを行えるようにする。同社は、ヨーロッパと北アメリカの6,300の銀行と提携しているそうだ。

消費者の利点は、カード情報などを入力する手間が省ける、口座からすぐに引き落とされるのでクレジットカードより安心して使えるなど。事業者側の利点は、消費者に対してクレジットカード支払いに変わる新たな支払い手段を低コストで提供できることだ。

2022年4月にはフィンランド、オランダ、スウェーデン、英国で新サービスのTrustlyExpressを開始。確認のステップを省いて、従来の約2倍の速さで支払い処理ができるという。

Crunchbaseの調べによれば、資金調達の総額は2890万ドル(約40億円)とのこと。2021年4月にはIPOで推定9億5,000万ドル(約1,300億円)を調達する予定を語っていたTrustlyだが、未解決の問題を解決する必要があるとして、同年5月にIPOの延期を発表。しかし、IPOの意欲は変わらないとした。

現在の評価額は不明だったが、グローバルメディアのReutersは、予定どおり資金調達を実施していれば、評価額が約90億ユーロ(約1兆2,700億円)に達すると見込まれると報道している。

※サービス利用料やサービス内容は、2022年7月下旬現在の内容となります。

サムネイル写真提供:Bolt

編集後記

いずれも現代社会で欠かせない市場であり、かつパンデミックが追い風になっているような気がした。どの企業も自社の強みを持ちユニークだが、個人的に使ってみたいと思ったのは、リファービッシュ・中古デバイス専門マーケットプレイス「Back Market」とイベントプラットフォーム「Hopin」。2台目のパソコン、あるいは仕事専用スマホなど用途が限られる場合は中古商品で十分だ。また、日本でイベントを行う場合、Zoomが中心だが、交流しやすいとは感じない。Hopinの実力をユーザーとして体感してみたい。本記事は前後編となり、7〜1位は後日掲載する後編で紹介する。

(取材・文・撮影:小林香織)   

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