シノプス×熊本ロッキーが、精肉分野における食品ロス削減の実証実験を実施 製造・販売を貫くデータ連携で年間約1億円規模の改善効果を示唆
需要予測型自動発注サービスを提供する株式会社シノプスは、熊本県を中心にスーパーマーケットを展開する株式会社ロッキーと共同で、精肉分野における食品ロス削減の実証実験を実施した。農林水産省「令和6年度食品ロス削減緊急対策モデル支援事業」に採択された本取り組みでは、需要予測サービス「sinops-R」を製造(川上)と販売(川下)の双方に活用。原材料発注・製造計画の最適化と、消費期限に応じて価格を自動調整するダイナミックプライシングを組み合わせることで、年間約1億円超に相当する改善効果が見込まれるという。
製造段階からロスを抑える
実証の一つ目は、精肉を一括加工するプロセスセンター(PC)に需要予測情報を共有し、原材料の仕入れ・製造計画を最適化する取り組みだ。従来、PCでは店舗の見込み発注を基に製造量を決めていたため、需給のズレが食品ロスに直結する課題があった。
そこで、ロッキー全28店舗を対象に「sinops-R」で算出した需要予測をPC側に連携。製造計画に反映した場合の効果を検証した結果、製造段階の廃棄金額が3.0%削減、店舗ロス率は1.56pt改善、粗利率も0.8pt向上すると試算された。PCと店舗の両面を合わせ、約4,400万円相当の削減効果が期待できるとしている。
値引きを自動化するダイナミックプライシング
二つ目の実証は、販売段階でのダイナミックプライシングだ。精肉売り場では、値引き判断が担当者の経験に依存し、作業負荷や処理遅れが廃棄につながるケースも多い。今回の実証では、消費期限別に算出した値引率をPOSに自動反映し、値引きシールの貼付を不要とする仕組みを導入した。
1店舗で行われた検証では、ロス率が1.3pt減少し、値引き工数は83.3%削減。全28店舗に展開した場合、ロス額と人件費を合わせて年間約9,900万円の改善効果が見込まれる。消費者側も、売り場掲示や価格確認用タブレットにより、割引内容を事前に把握できる点が特徴だ。
複数事業者連携で実現した“サプライチェーン横断型”実証
本実証には、製造を担う株式会社アールミート、POSシステムを提供する株式会社ソリマチ技研、生産指示・ラベル印刷機を手がける西日本イシダ株式会社が参画。需要予測データを起点に、製造・販売・システムを横断して連携した点が成果につながった。
精肉から他カテゴリへ、今後の展開
ロッキーでは今回の成果を踏まえ、精肉部門への需要予測システムの本格導入や、PCでの原料単位の仕入量予測を検討していく。将来的には鮮魚や日配品など他カテゴリへの展開も視野に入れ、食品ロスと人件費のさらなる削減を目指す考えだ。
製造と販売を分断せず、データでつなぐ——。AI需要予測を軸とした今回の実証は、食品小売の構造課題に対する実践的な解となりそうだ。
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(TOMORUBA編集部)