1. Tomorubaトップ
  2. ニュース
  3. スタンレー電気と東京大学、赤色レーザーダイオードで植物成長促進を世界初実証 「2025年農業技術10大ニュース」に選定
スタンレー電気と東京大学、赤色レーザーダイオードで植物成長促進を世界初実証 「2025年農業技術10大ニュース」に選定

スタンレー電気と東京大学、赤色レーザーダイオードで植物成長促進を世界初実証 「2025年農業技術10大ニュース」に選定

  • 16100
1人がチェック!

スタンレー電気株式会社は、東京大学大学院農学生命科学研究科の矢守航准教授らの研究グループと共同で、赤色レーザーダイオード(LD)を用いた植物栽培が、従来主流だった発光ダイオード(LED)を上回る成長促進効果を示すことを世界で初めて実証した。研究成果は農林水産省が選定する「2025年農業技術10大ニュース」に選ばれており、人工光型農業の高度化に向けた重要な一歩として注目されている。

植物工場の課題に挑む、新たな光源の可能性

気候変動の進行や農業人口の減少を背景に、安定的な食料生産を支える植物工場への期待は年々高まっている。一方で、普及拡大の大きな壁となっているのがエネルギーコストを含む生産コストの問題だ。特に人工光源は、生産性とランニングコストを左右する中核技術であり、これまで高効率かつ制御性に優れたLEDが主流となってきた。

本研究では、近年技術進化が進むレーザーダイオードに着目。効率性や出力制御性、配光技術の高度化が進むLDを植物栽培に応用することで、さらなる生産性向上と省エネルギー化が可能かを検証した。

光合成効率を最大化する「660nm」の単色光

研究の結果、光合成速度を最も効率的に高める赤色LDの波長が660nmであることを特定。この波長は、植物の主要な光合成色素であるクロロフィルの吸収ピークと高精度で一致する。

LEDが比較的広い波長帯域で発光するのに対し、LDは極めて狭い波長幅の単色光を高精度に出力できる点が大きな特長だ。タバコの葉を用いた実験では、赤色LD照射下での光合成速度が、同等波長の赤色LEDと比べ最大約19%向上。さらに、気孔の開閉や水利用効率といった生理指標においても、LDの優位性が確認された。

生育量増加とストレス低減、次世代光源としての有望性

12日間の連続照射試験では、赤色LD照射下の植物は乾燥重量や葉面積が有意に増加。赤色LED照射で見られた葉の黄化や光阻害といった生理的ストレス症状は確認されず、植物が光環境に対して高い耐性を示すことも明らかになった。

これらの結果から、赤色LDは「光合成において無駄の少ない、より効率的な光源」と位置づけられ、LEDに代わる次世代型の植物栽培用光源としての可能性を示した。植物工場における生産性向上と省エネルギー化への貢献が期待される。

学術と産業が連携し、社会実装へ

本研究は、東京大学が植物生理学・光合成研究の専門知見を生かした実験設計やメカニズム解明、論文発表を担い、スタンレー電気が赤色レーザーダイオードや照射システムの構築、波長制御や省電力化技術で支援する形で進められた。研究成果は学術誌『Frontiers in Plant Science』に掲載されている。

スタンレー電気はすでに、水産分野で魚の成長を促進する養殖用投光器を展開しており、今後は植物工場への実装可能性も含め、光技術による食料・エネルギー分野の社会課題解決を目指すとしている。自動車照明で培った光制御技術が、次世代農業の基盤技術として花開く可能性が現実味を帯びてきた。

関連リンク:プレスリリース

(TOMORUBA編集部) 

新規事業創出・オープンイノベーションを実践するならAUBA(アウバ)

AUBA

eiicon companyの保有する日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA(アウバ)」では、オープンイノベーション支援のプロフェッショナルが最適なプランをご提案します。

チェックする場合はログインしてください

コメント1件