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”イノベーション立県”を目指す広島。3年間で10億円規模!「ひろしまサンドボックス」を軸に産学官による9つの実証実験を随時公開!

”イノベーション立県”を目指す広島。3年間で10億円規模!「ひろしまサンドボックス」を軸に産学官による9つの実証実験を随時公開!

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近年、地方自治体によるオープンイノベーションの取り組みが盛んだ。地場企業、スタートアップ、教育研究機関などを巻き込んだ産学官連携による、地域の課題解決に向けた実証実験の事例も多い。その中でも広島県は「イノベーション立県」を掲げ、湯﨑英彦知事の旗振りで様々な取り組みを進めている。

その施策の柱として、2018年より3年間10億円規模の予算を投じて始まったのが、「ひろしまサンドボックス」だ。広島県内外の企業や人材を呼び込み、AI・IoT等の最新テクノロジーを活用した実証プロジェクトを中心に、AI人材育成にも取り組む。

今回TOMORUBAでは、ひろしまサンドボックス事務局および実証実験が進む9プロジェクトについて取材を実行、順次公開していく予定だ。

広島県が保有するリソースを活かし、「イノベーション立県」の実現へ

西日本有数の産業拠点として戦前より発展してきた広島県。造船・鉄鋼・自動車といった重工業から、電気機械・電子部品・デバイスといった先端産業など、ものづくりが盛んである。世界遺産に登録された原爆ドームと宮島・嚴島神社、しまなみ街道といった観光資源も豊富だ。そして瀬戸内の温暖な気候と日当たりの良い斜面を活かしたレモンの栽培、島々に囲まれ穏やかな瀬戸内海で生産される牡蠣といった、特徴的な農業・水産業も営まれる。

このように、ものづくりを中心に豊富なリソースを要する広島県では、その強みを活かしつつ、新しい産業が生まれ育ち、社会経済情勢や市場の変化に、柔軟かつ的確に対応できる「イノベーション立県」の実現に向けてチャレンジを続けている。

これまで、スタートアップなど県内外の多様な人材が集まるイノベーション創出拠点「イノベーション・ハブ・ひろしまCamps」を2017年3月に、スーパーコンピューターなど最新技術の活用と人材育成を行う「ひろしまデジタルイノベーションセンター」を2017年10月に開設している。

そして、事業化を見据えたオープンな実証実験の場として、2018年度より始まったのが、「ひろしまサンドボックス」である。コンセプトは、「作ってはならし、みんなが集まって、創作を繰り返す『砂場』のように、何度も試行錯誤できる場」。2018年~2020年の3年間で10億円規模の予算が投入されていることからも、県の強い意志がうかがえる。


▲ひろしまサンドボックスの運営事務局を担っている広島県 商工労働局 イノベーション推進チーム。1/15には、同チームへのインタビュー記事を公開予定だ。

「失敗してもいい」オープンな実証実験の場を提供

ひろしまサンドボックススタートの背景には、第4次産業革命がある。AI・IoT・ビッグデータといったデジタル技術により、産業構造や就業構造の劇的な変化が見込まれる。しかしながら、県内のものづくり企業では、AI・IoT導入がほとんど進展していないと言われている。そこには、「個社ではスタートできない」、「ROIが不明」、「試行フィールドがない」、「IT人材がいない」といった複数の課題が絡み合う。

そこでひろしまサンドボックスでは、県内外の企業や大学など多様なプレーヤーが共創し、試行錯誤できるオープンな実証実験の場を提供している。その大きな魅力は、「広島県をまるごと実証フィールドにできる」こと、そして「失敗してもいい」ことだ。事実、実証実験に参画する企業・団体の多くが、「失敗を受け入れられるからこそ、果敢にチャレンジができる」と語る。

ひろしまサンドボックスのスタートにあたり立ち上げられた組織が「ひろしまサンドボックス推進協議会」である。体制として特徴的なことは、会員制であることだ。同協議会では、会員に対する知見および技術支援、会員間の交流支援、各種メディアでの情報発信を行う。そして、会員を中心としたコンソーシアムの組成や、プロジェクトの創出を支援する。2020年10月時点で、会員数は、企業・個人・大学・団体・官公庁など合計1358者。そのうち海外企業4者を含む県外参加は354者となった。同協議会では、デジタルテーマでのチャレンジを希望するパートナーを随時募集中である。

2018年のスタート後、まず行われたのが、自由提案型実証プロジェクトの公募だ。2度の公募で合計89件の応募があり、そこから9つのコンソーシアムによる実証プロジェクトが採択された。「自由提案型」と銘打つだけあり、テーマ領域は農林水産業、観光、交流・連携基盤、産業イノベーション、健康・福祉、交通と、実に多彩だ。各コンソーシアムメンバーも多様であり、地元企業や大学のほか、県外の大手企業、スタートアップ、基礎自治体などが名を連ねる。

ひろしまサンドボックスの活動についての記事を随時掲載

2018年度よりスタートした9つの実証プロジェクトは、現在大詰めだ。TOMORUBAでは、ひろしまサンドボックスの事務局、そして各コンソーシアムに取材を行った。立ち上げ背景にあった課題や、実証実験の内容と推進時の苦労、ひろしまサンドボックスからのサポート、社会実装に向けた展望などについて記事化し、随時公開していく。

●広島県、ひろしまサンドボックスの取り組み全体について(1/15公開予定)

事務局である商工労働局 イノベーション推進チーム 地域産業デジタル化推進グループに、ひろしまサンドボックスの概要や特徴、具体的な取り組み内容について伺った。

●【農林水産業】島しょ部傾斜地農業に向けた AI/IoT 実証事業(1/21公開予定)

レモン栽培が盛んな大崎下島が抱える、農業人口減少と高齢化の課題。その解決のため、IoT/AIを活用した栽培データの収集・分析、ドローンやロボットを導入したレモンづくりに取り組む。

●【観光】宮島エリアにおけるストレスフリー観光(1/28公開予定)

コロナ禍前には、世界中から年間約450万人が訪れていた宮島では、渋滞や混雑が日常茶飯事だった。そこでデジタル技術を活用して、観光名所ならではの課題解消に挑む。

●【交流・連携基盤】広島県民の医療や健康等個人情報にブロックチェーン型情報管理と情報信託機能を付与した情報流通基盤を構築する事業(1/29公開予定)

点在する個人データを安全に連携し、情報を一元化するためのプロジェクト。まずはヘルスケアデータ集約のために、アプリを開発し、県民一人ひとりの健康とQOL向上を目指す。

●【交流・連携基盤】異なるプラットフォーム間での有機的なデータ結合を行い、新しいサービス創出に取り組める、データ連携基盤の構築とその実証(2/4公開予定)

ひろしまサンドボックスが掲げる「分野を超えたデータ連携基盤」実現に向けた実証プロジェクト。情報提供サービス活用が、新たなイノベーションやサービス創出につながることを見据える。

●【産業イノベーション】つながる中小製造業でスマートものづくり(2/5公開予定)

大企業を中心に導入が進む「スマート工場」。しかし中小製造業では、予算などの問題により、思うように導入が進まない。そこで、ものづくり県・広島を支える中小製造業に導入しやすいIoT に取り組むプロジェクト。

●【農林水産業】スマートかき養殖IoT プラットフォーム事業(2/10公開予定)

牡蠣生産全国1位を誇る広島だが、近年は産業全体の存続を脅かしかねない課題も発生している。そこで、江田島市をフィールドに、データに裏打ちされた最適な牡蠣養殖方法の確立へ挑む。

●【健康・福祉】AI/IoT活用による保育現場の「安心・安全管理」のスマート化(2/12公開予定)

園児を見守る責任と事故への不安を常に抱える保育士の負担を軽減するために、センサーや専用タブレットにより、安全管理をスマート化。離職率の低下と、潜在保育士の掘り起こしに役立てる。

●【交通】通信型ITSによる公共交通優先型スマートシティの構築事業(2/19公開予定)

路面電車の軌道敷や、郊外から流入する自動車の増加などにより、様々な問題が発生する広島市都心部の交通状況。通信型ITSを活用し、「来たくて・すみたくなるスマートシティ広島」を目指す。

●【交通】海の共創基盤~せとうちマリンプロムナード~(2/24公開予定)

人口減少により、島しょ部では定期航路の廃止が相次ぎ、島民の移動手段が失われている。海上交通情報をクラウドで一元管理し、船舶の安全運航と海上ライドシェアにチャレンジする実証プロジェクト。


※eiicon companyがオンラインで開催する日本最大級の経営層向けオンラインカンファレンス「Japan Open Innovation Fes 2020→21」にて、スペシャルセッション「オープンイノベーション3.0 産官学連携から見えるみらいのカタチ featuringひろしまサンドボックス」を開催[2/26(金)12:30-13:40]。「ひろしまサンドボックス」を牽引する広島県知事・湯﨑氏をはじめ、9つの実証プロジェクトを代表する担当者がそれぞれの成果をプレゼンします。ぜひ、オンラインでご視聴ください。

視聴方法やスケジュールなど詳細はこちらをご覧ください。 https://eiicon.net/about/joif2020-21/  


▲スペシャルセッションの詳細はこちら▲

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シリーズ

「ひろしまサンドボックス」共創事例

【共創事例】「ひろしまサンドボックス」は、AI/IoT実証プラットフォームです。技術やノウハウを持つ広島県内外の企業や人材を呼び込み、様々な産業・地域課題の解決をテーマとして、共創で試行錯誤できるオープンな実証実験の場を構築。本企画では、様々な実証事例を取材形式でお届けし魅力に迫ります。